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こころ

『110%目標』で子どものやる気を高める!

2012年2月21日

キーワード:コミュニケーションコーチングメンタル

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サカイクでおなじみ、メンタルトレーニングコーチの大儀見浩介さんが、東京・世田谷のバディサッカークラブにて、サカイクプロデュースの保護者向けセミナーをおこないました。その模様を前編、後編の2回に分けてお届けします。
 

■『やる気の出し方』を子どもに教えていますか? 

セミナー会場に集まったのは、バディに通う小学生の子どもを持つ親御さん。お母さんが大半ですが、お父さんの姿も見えます。セミナーのテーマは「やる気の高め方」。やる気は専門的な言葉でモチベーション(動機づけ)と言います。
 
大儀見さんの「子どもたちにやる気を出せ!と言ったことはありませんか?」との問いかけに、参加者のみなさんは大きくうなずきます。「でもちょっと待ってください。やる気ってなんでしょう?」大儀見さんはそう言って、最前列に座っていた小学生に問いかけます。「やる気を出せって言われたら、どんなことをする?」小学生は考えますが、答えが浮かばないようです。それもそのはず、やる気の高め方を知らないからなんです。
 
「保護者の方やコーチの方は、子どもたちに『やる気を出せ!』と言いますが、やる気の高め方を具体的に知っている人は、ほとんどいないと思います。実はそれって、泳げない子どもに『泳げ!』といって、プールに突き落としているのと同じ事なんです。やる気を出せと言うからには、親や指導者は、子どもに『やる気の出し方』を教えてあげる必要があると思いませんか?」
 
やる気を出す方法――。
それがメンタルトレーニングの基礎となる「目標設定」のプログラムです。
 
「それでは、やる気を高める方法について、お話したいと思います」。大儀見さんがスクリーンを指さして「こちらを見てください」と言うと、複雑な迷路が映し出されました。「いまから迷路をやってもらいます。スタートからゴールまで、どのぐらいかかるでしょうか?」スタートの合図とともに、参加者のみなさんは迷路を進んでいきます。ゴールにたどり着いた人は手をあげます。早い人で1分ほどです。
 
「それでは次の迷路です。こちらもやってみてください。ヨーイ、スタート」。この迷路の曲がり角には、矢印がついています。それをたどっていくと、ゴールまで迷うことなく到達することができ、早い人は20秒ほどでゴールすることができました。
 
「矢印をたどっていけば、すぐにゴールまでたどり着くことができましたよね? 目標設定は、ゴールへの道筋を作ることなんです。ゴールへ到達する方法がわかれば、自然とやる気も高まっていきます」
 
「プロ選手になりたい」という目標があったとして、なんとなくイメージしているだけではやる気は高まらず、何をしていいかもわかりません。そこで、「プロになる」という目標から逆算して考え、10年後、5年後、4年後、3年後、2年後、1年後、半年後、3ヶ月後、1ヶ月後、来週、今週、今日と目標をたてます。それが「目標設定」です。目標にも長期、中期、短期とあり、それらをクリアしていくことで、最終的な目標に到達するイメージを持ちます。
 
それぞれ立てた目標が、迷路の矢印に当たるものです。つまり、将来的な目標を達成するためにどうすればいいかという、中期、短期の「道しるべ」なのです。それを日々、意識することによってやる気が出て、練習やプレーの質が高まっていきます。
 
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■やる気を高める目標設定の仕方

「ここで目標の立て方を説明します。コツは『がんばればできるかも』と思える目標を立てること。それを『110%目標』と言います。いままで60点しかとれなかったテストで、急に「100点をとりなさい!」と言われたとしても「そんなの無理だよ」と思ってしまい、やる気も出ませんよね。それよりも、「66点でいいから。それ以上取れなくてもOKだから」と言われると、「これならできそうだな」とやる気が出て、70点、75点と目標以上の結果に結びつくこともあるんです」
 
これは心理学の研究でも明らかにされているそうです。勉強だけでなく、サッカーの目標もいきなり「全国大会優勝!」と大きな花火を打ち上げるのではなく、自主練を毎日する、Aチームに入る、地区大会で5ゴールをあげる……と、「がんばればできそうだな」と思えるところから、クリアしていくごとに目標を上げていくと、やる気が高まるとともに、結果に結びつきやすくなるそうです。
 
「大切なのは、できたか、できなかったかという結果ではなく、目標に向かっていく過程(プロセス)です。良い過程を経ることで、良い結果を得る。この考えをぜひとも覚えておいてほしいと思います。とくに小学生のうちは、結果だけにこだわるのではなく、将来のことを考えて、少しずつ成長していく姿を積み重ねて行ってほしいと思います。それをサポートするのが、コーチであり保護者の方の役目です」
 
保護者のみなさんは大儀見さんの熱い語り口に、聞きいっていました。なかには「目標設定はサッカーだけでなく、ビジネスにも役立ちますね」と感想を伝えていた人もいました。大儀見さんによると、「メンタルトレーニングはスポーツだけでなく、ビジネスや教育、健康など、様々な場面で役立てることができます」とのこと。親子でいっしょに聞けるセミナーは、それぞれの立場で得るものがあったようです。
 
次回の後編は「保護者の子どもやコーチに対する関わり方」をお伝えします。
 
この記事の後編を読む>>
 
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大儀見浩介//
おおぎみ・こうすけ
メンタルトレーニング・コンサルタント。東海大学体育学部にて応用スポーツ心理学を学び、サッカーだけでなく、新体操女子U18日本代表や教育、受験対策など、様々な分野でメンタルトレーニングを指導している。著書に「クリスチアーノ・ロナウドはなぜ5歩下がるのか~サッカー 世界一わかりやすいメンタルトレーニング」(朝日新聞出版)、「心理戦術が日本サッカーを進化させる」(白夜書房)がある。公式HP『Mentalista
 
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取材・文/鈴木智之 写真/サカイク編集部

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