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子どものタイプによって響く指導が違う! 指導者に伝えたい3つのタイプ別「やる気と能力を最大限に引き上げる接し方」

公開:2023年7月 5日 更新:2023年7月 6日

キーワード:コミュニケーション共感タイプ声かけ子どものタイプ指導者独立タイプ直感タイプ

同じ親から生まれた子でも、本来持つタイプによって声かけが響く子と響かない子がいたり、同じように接しても反応が違ってイライラしたり......という事があると思います。

それは、親と子の持つ特性のタイプが違うから。自分と子どものタイプを理解することで、わが子が受入れやすい言葉を選んで伝えられるようになるため、子どもに響きやすくなったり、親自身のイライラが軽減されることを前回の記事で紹介しました。

今回は指導現場でのタイプ別コミュニケーション術をご紹介します。子どものタイプを理解してアプローチすることで、選手は自分の特性に気づき自信を持って伸びていくのです。
(構成・文:小林博子)

 

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<<前回の記事:子どものタイプを知って親のストレス軽減! 3つの素質タイプ別コミュニケーション術

 

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■3つの素質タイプとは?

まずは前回の記事で解説した3つのタイプについておさらいします。教えてくれたのは、統計心理分析学ツールの理論をもとに、子どもの素質や特性を3つのタイプに分けて多くの子どもと親の関係性の改善アドバイスをしてきたJr.アスリート分析アドバイザーの河野真杞さんです。

特性別3タイプとは、「共感」「独立」「直感」の3タイプ

子どもの特徴
「共感」タイプ
・仲間への気遣いや優しさを人一倍持っている
・信頼できる仲間と一緒なら頑張れる
・注目される場面で緊張しやすい
・自分より周りの意見や気持ちを尊重する
・新しい環境や集団に1人で入るのが苦手

 

「独立」タイプ
・個人プレーが得意
・自分のペースを崩さない
・思ったことをストレートに言葉にしがち
・具体的な目標があると頑張れる
・他人への関心度が低め

 

「直感」タイプ
・本番に強くここぞというところで力を発揮できる
・理想が高く、大きな夢や展望がある
・俯瞰でものごとを捉えることが得意
・上下関係を大切にする
・努力や反省は大の苦手

 

<<前回の記事:子どもの素質別3タイプの詳細

 

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■指導現場で役立つ、タイプ別子どものやる気を引き出す言葉

それぞれのタイプで大きく変わるのが響く言葉。特に褒める際に使う言葉や褒めポイントが全く異なり、やる気スイッチをオンにしてあげられるかどうかが変わります。サッカーや野球でも、指導者が使う言葉次第で子どもの目の色はガラリと変わるはず。具体的にご紹介します。

河野さんによると、人の特性は「共感」「独立」「直感」の3つのタイプに分かれるそうです。これは子どもだけに限らず、親や指導者も同じです。それぞれの特徴をご紹介します。なお、さらに詳しくご覧になりたい場合は前回の記事をご覧ください。

 

共感タイプとは、まず良好な信頼関係を築くこと!
慕っている指導者や、応援してくれる親、大好きなチームメイトを喜ばせたい気持ちが人一倍強いのが特徴です。そのため、共感タイプのやる気スイッチは、まずは信頼関係をしっかり築いておくことが大前提。信頼している指導者からの優しい励ましの声かけがあれば「監督に喜んでもらうために頑張ろう!」というやる気スイッチが入ります。

なお、緊張しがちで、自分一人で責任を背負うのが苦手でもあります。大事な場面で不安そうにしていたら「みんながいるから大丈夫」「昨日願掛けの勝ち飯を食べたからきっとうまくいくよ」など、周りの環境や条件が整っていることを伝えて背中を押してあげてください。

 

独立タイプには具体的な場面を褒める言葉が必要
対して独立タイプは、抽象的な褒め言葉が嫌い。漠然と「凄いな!いいぞ!」などの言葉だけで繰り返し褒めると「コーチはどこをどうみてそう言っているの?」とドライな反応をされてしまう可能性大です。そんな独立タイプさんは、「あのシーンでああしたのは良い判断だったね」など、良い動きをした場面を具体的に伝えると自己肯定感が上がり、イキイキとします。

また、おすすめなのは「次はどうしたい?」といった"ネクスト"を考えさせてあげること。それが自分の意思で次の行動を定めることが好きな独立タイプさんには最も効果的なやる気を引き出す言葉です。

 

直感タイプに響く言葉は「君ならやってくれるはず!」
「君ならやってくれるはず!」「ここはお前しかいない!」という本番強さに期待する言葉によってさらに奮起します。試合後は「大事な場面で活躍できるのはさすがだね」など直感タイプさんの得意分野を褒めてあげるのもいいでしょう。さらに、直感タイプは賞賛されることが大好き。「天才的なプレーだった!」など、ともするとこそばゆくなってしまうような褒め言葉を素直に喜ぶかわいらしいところもあります。

また、「いつか世界で活躍したい!」という大きな夢を持っている直感タイプさんには、自分達の試合動画より、動画配信サイトにある海外のスーパープレイ集などを見せると、気分が盛り上がりやる気スイッチが入りやすいでしょう。

 

■タイプ別、試合に負けた時、ミスした時の接し方

続いて失敗したときや、試合で負けてしまった際にしてしまいがちなNG行動についてもタイプ別にご紹介します。これも3つのタイプそれぞれ、全く違うのが驚くところ。失敗を糧に次に繋げるためにも、より効果的な行動をしてあげたいところです。

なお、3つのタイプすべてに共通して「だからお前はダメなんだ」といった人格そのものを否定する言葉は最もよくありませんのでご注意ください。

 

共感タイプは隣にいてあげる
負けや失敗を誰よりも気にするのが共感タイプ。「大切な仲間のために」「信頼してくれているコーチのために」「活躍を喜んでくれる親のために」と、周りの人を喜ばせることがモチベーションの彼らにとって、失敗は大きなダメージとなり心を重くしてしまいます。

そんな共感タイプには、失敗にはあえて触れずにドリンクを手渡したり、「お疲れさま」と笑顔で頭をぽんぽんとたたいて軽いスキンシップをしたりするのが良いでしょう。ベンチでしょげていたら横に座って優しく声かけしてあげるのもいいでしょう。

こんなフレーズが心に響きます
「サッカーはミスをして当たり前のスポーツだよ」
「次頑張れば大丈夫!そんなに気にするな」

 

独立タイプは注意やアドバイスが苦手、本人なりの「納得解」へ導く
失敗も成功も、自分で考えて消化したい独立タイプ。悪かったところはコーチから指摘されるよりも、自分の言葉で考えて反省し、次につなげたがります。

そこでおすすめなのは、試合のビデオを見ながら自分の動きをふり返らせ、「あのシーンではどうすればよかったと思う?」など、考えのヒントを与えて次の目標をみつけさせること。自分なりの納得できる解に辿り着けば、頑張る糧が手に入り、あとは自分1人で努力してくれます。

なお、共感タイプに効果的なスキンシップは逆効果。「そんなことをしても結果は変わらない」とイライラされてしまうかもしれません。

こんなフレーズが心に響きます
「今日のミスは次の試合で必ず取り返すぞ!」「今日と同じミスをしないためには、次までに何を練習しておけばいいと思う?」

 

直感タイプは振り返りが嫌い、早くも「次」の話をする
負けや失敗など自分にとってマイナスな過去は、試合が終われば忘れる(忘れたい)直感タイプ。感性でその場限りの行動をするので、あとから反省するという行動を嫌がります。そのため、振り返りや反省は面倒なだけ。チームの反省会でも上の空かもしれません。

そんな直感タイプに効果的なのは、「次の試合では活躍できる」と思える景色をイメージさせること。憧れの選手が同じシーンでは失敗せずむしろスーパープレーになったという動画があれば最適です。

こんなフレーズが心に響きます
「あの場面、メッシはこうやって切り抜けたらしいよ」
「君なら次はきっとできる! メッシのプレーを見てイメトレしよう!」

 

■特性に合わせた接し方は、良好な関係性構築のきっかけに

3つのタイプごとに、褒め方や失敗への声かけのコツに大きな違いがあります。同じことをしても素直に聞いてくれる子とそうでない子、成長に繋げられる子とふてくされてしまう子など、全く違う反応をする理由は、受け手である子どものタイプの違いかもしれません。

また、その違いがわかると接し方がぐんとラクになるのも事実。選手と良好な関係性を築き、サッカーでも伸ばしていくためにぜひ実践してみてください。

次回の記事では、選手のタイプ別サッカーノートの書き方の特徴やアドバイス方法を具体的にお伝えします。

 

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河野 真杞(こうの まこ)
親子関係/チームスポーツ専門 心理タイプ分析アドバイザー

自身の子育ての悩みから、3000万件以上のデータを活用して日本で開発された統計心理分析ツールに出会う。子ども達のやる気・自信・自己肯定感をまっすぐに伸ばしたいという思いから、子どもと接する大人を対象に、子どものタイプに適した関わり方を伝えたいと考え、心理タイプ分析アドバイザーの活動を開始。子育てに悩む親やスポーツをしている子どもの親、スポーツチームの指導者に対してセミナーや個別相談等を行い、これまでに延べ300名以上をサポート。現在は、大学・高校の運動部のメンタル・チームワーク構築をサポートする"High Performance Analysis"という事業を立ち上げ、担当チームの全国大会初進出、選手権優勝などの結果にも繋げながら、学生達の自己肯定感・協調性・他者理解力の向上に取り組んでいる。著書に『子どものやる気を引きだす親 うばう親』(キノブックス)。

High Performance Analysisのページはこちら
https://www.hpa34.com/

 

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取材・文:小林博子

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