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サッカー豆知識

2018年8月10日

「夏にサッカーが上手くなる」は嘘!? 子どもの身長を伸ばしたいなら夏休みは「休み」が正解

キーワード:いわきFC姿勢小俣よしのぶ猫背背骨身体を大きくする身長を伸ばす

夏休みは学校がないので、自由な時間がたくさんあります。サッカーの練習も十分にできますが、全国的に異常気象とも言える暑さの中、練習に励むことはサッカーの上達につながるのでしょうか? 

サッカーに必要なスピードとパワーを、猛暑の中で繰り返し発揮するのは至難の業です。暑さゆえに、サッカーの上達には逆行する「ローパワー」「ローテンポ」で行わなくてはいけなくなり、トレーニング効果が上がらないどころか、熱中症など命の危険に関わる可能性もあります。

よく「夏に選手を追い込むことで伸びる」という言葉を聞きますが、夏に選手を体力面で追い込むことは、成長期にある子どもたちにとって、身体の成長という面では逆効果のようです。その理由を小俣よしのぶ氏が説明します。
(取材、文:鈴木智之)

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5年後、10年後のいい選手を育てることを目標の掲げているいわきFCは、夏休みは長期オフ(写真提供:いわきFC)

■「寝る子は育つ」は本当だった

「国立成育医療研究センターによると、0歳児を対象にした調査では、夏の時期に身長の伸び率がもっとも高かったことが、データから明らかになっています。私の体感からも『夏に身長が伸びる』のはそのとおりだと思っていて、日光の照射時間が長いことが影響していると思います」

日光を浴びると『成長ホルモン』が分泌されやすくなると言われています。成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されるもので「寝る子は育つ」という言葉がありますが、その理由は「寝ている間に成長に必要なホルモンが分泌される結果、身体が大きくなる」という意味があるのです。

「寝る前にスマートフォンを見てブルーライトを浴びたりするとメラトニンという睡眠を促進する物質が低下します。また、ブルーライトは自律神経の調整も狂わせるようです。睡眠時には副交感神経が優位になるのですがブルーライトの影響で交感神経が優位になってしまい睡眠の質を悪くするようです。成長ホルモンはノンレム睡眠のときに分泌されやすいので、睡眠の質はとても重要です。成長期にある小中学生は、9時間程度は寝てほしいと思っています」

また、夜に十分睡眠が取れていても、日中も30〜60分程度のお昼寝をすることも身長の伸びに効果があるのだそうです。その理由の一つは、疲れをとることと成長ホルモンを分泌させること、もう一つが背骨への負担を軽くすることだそうです。身長を構成している骨で最も重要なのが背骨です。人間は地球上で生活をしているので重力の下で活動しています。これは言い換えると上から重しを乗せられているような状態です。

小俣さんは長年、ドイツ、特に旧東ドイツの育成システムの研究をされてきました。東ドイツの研究(※)によると背骨の成長具合や形状が身長などの身体形態発育、さらに障害などに影響することが分かったそうです。日中グランドなどに長時間立って走ったり飛んだり跳ねたりすれば背骨への負担が高くなります。まだ成長過程の子どもは背骨が弱いのでトレーニングの負荷や重力などに耐えられないため、横になって休み時間を作ると身体への負荷が軽減されることもあると教えてくれました。

※東ドイツの強化育成システムの研究成果は、現在、多くの国でさまざまなスポーツで応用されています。当然、ドイツサッカーの強化育成にも利用されています。

今年は特に猛暑続きで体力が奪われがちなので、眠らなくても昼食後に横になるだけでも疲労回復の面でも良さそうです。

また、猫背の場合も背骨にかかる負荷の影響で身長が伸びにくくなるのだそうです。子どもは無意識に親の真似をしますので、ぜひご家庭で親御さん自身が背筋を伸ばすことを意識してみてください。

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横になることで身体への負担を軽減。お昼寝も効果あり (写真提供:いわきFC)

■大きくなりたいから「いっぱい食べる」は逆効果

成長期の子どもの身長を伸ばす、身体を大きくするために必要なもののひとつが睡眠(休息)。そして「栄養」です。栄養を摂り入れて、十分な休息をとることで身体は成長していきます。

「運動をしすぎると、身体にストレスが溜まります。大人もそうですが、疲弊した状態が続くと危ないですよね。とくに夏は暑く、食欲が落ち、疲労が溜まりやすいので注意が必要です。エネルギーは食事から吸収するのですが、運動に使い過ぎると、身体の成長に必要な分がなくなってしまいます。『それならば量をたくさん食べればいいのでは?』と思うかもしれませんが、お米やパスタなどの糖質を一度にたくさん摂ると血糖値が急上昇します。血糖値を抑制するためにインスリンが分泌されるのですが、これは成長ホルモンの分泌を抑える効果もあるので、成長の観点からすると食べ過ぎはよくないんです。特に就寝前の食事は避けましょう」

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食べすぎるのは成長の面では逆効果(写真はサカイクキャンプ)

「過ぎたるは及ばざるが如し」という言葉がありますが、「運動しすぎ」「食べ過ぎ」など、過剰にしすぎてしまうと、本来の目的である「身体を大きくする」「サッカーがうまくなる」という目的から外れてしまうことにもなりかねません。

適度な運動、適度な食事。そしてしっかりと睡眠をとること。この3つを夏休みに意識しておけば、夏の間に身体は成長していきます。毎日、朝から晩までヘトヘトになるまでサッカーをするのはやりすぎですし、身長を伸ばす、体作りの点からは良いことだとは言えません」

次ページ:長期休暇を練習オフにしたら平均で2cmアップ

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文:鈴木智之

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