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インタビュー

小学生で「サッカーに向いていない」「プロになれない」の判断は早すぎ! ゴールデンエイジに伸びるために経験した方がいいこと/U-19影山監督インタビュー後編

公開:2020年12月14日

キーワード:U-19ほかのスポーツコミュニケーション能力ゴールデンエイジスペインロールモデルコーチ内田篤人影山雅永空間認知

ファジアーノ岡山やアジア各国で代表チームに関わり、現在はU-20ワールドカップを目指すU-19日本代表を率いる影山雅永監督。前編ではコミュニケーション能力や子どもたちの本能を目覚めさせることについてお話を頂きました。

後編では親と子どもの関わり方について伺いましたのでご覧ください。

 

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(C)松尾祐希

 

■昔に比べ足元の技術は高いが運動能力が低下している現代の子どもたち

前編では大人たちのスタンス次第で子どもたちの本能を呼び起こし、自ら意見を発する場を作れる可能性についてお話をしました。子どもたちの技術は以前と比べて向上したのは間違いありません。

「技術は格段に高くなりました。ロングキックをあまり使わなくなって来たのでそこはレベルが上がっていないかもしれませんが、ファーストタッチの能力、インサイドキックの質。止めて蹴る能力はすごく高いです

影山監督が認めるように子どもたちのレベルは目を見張るものがあります。

一方で現代の子どもたちは屋外で活動する機会が減り、部屋の中で遊ぶ時間が多くなりました。その影響は少なからずあり、身体を動かす機会が減ったことで運動能力の低下が叫ばれてきました。外で遊ばない傾向は海外も同様で、問題点として上がっているそうです。

影山監督が以前研修で訪れたオーストリアのレッドブル・ザルツブルグでは、育成年代の施設に一工夫を凝らしており、その光景は今でも鮮明に覚えていると言います。

外で遊ぶ子どもが減ってきているので、オーストリアのレッドブル・ザルツブルグは面白い施策をしていました。プロとは別にアカデミーの施設を持っている中で、ピッチの周りに遊具がずらりと並んでいたんです。クラブの方に理由を尋ねると、『今の子どもたちが山や川などで遊ぶ機会が減っているから遊具を設置した』と仰っていました。アスレチックから落ちないようにしたりして、週に1回は遊具で遊ばせているそうです。運動不足の問題は世界中で起こっているのだと感じました」

 

■スポーツへの欲求は高まっている

しかし、影山監督は新型コロナウイルス感染拡大の影響による休校、チーム活動停止によって、外で身体を動かしたいという欲求が高まっているとも感じているそうです。

「外で遊びたいという理由から、子どもを連れて外遊びをしていた方も多いですよね。みなさんも休校中は親子連れの方を公園でたくさん見かけたと思います。その中で、僕が住んでいるエリアではサッカーをやっている子が一番多かったかもしれません。

『改めてサッカーはすごい』と感じましたが、コロナ禍でステイホームを余儀なくされたので、子どもたちは外で遊びたいという欲求が出たと思います。これまでのように思い切りスポーツができない時期があったことで、よりスポーツへの欲求は高まったのではないでしょうか」

 

■サッカー強国スペインでは12歳までクラブ所属禁止のチームも。その理由とは

こうした状況に置かれたからこそ、親が子どもとどのように関わるかは重要です。では、親御さんはどのように向き合っていくべきなのでしょうか。影山監督は言います。

「サッカーだけやって英才教育をしてうまくなることを肯定する人もいます。

しかし、子どもたちはいろんな可能性を秘めています。様々な研究により、いろんなスポーツをやっている子どもの方が最終的に一流の選手になる傾向があるそうです。

今年1月にU‐18日本代表でスペイン遠征を行なった際に、私はリーガエスパニョーラのレアル・ソシエダで研修を受けました。そこで多くの事を学んだのですが、バスク地方では12歳までクラブに所属することを禁じていました。

いろんなスポーツをやってほしいという観点から、クラブに所属するのは13歳からというバスク独自の法律があるそうです。サッカーを本格的に学ぶのは13歳からと決まっているのは、本当に素晴らしい考えだなって思いました」

様々な競技にもトライさせることで、子どもたちの運動に関係する神経が刺激されます。バレーやキャッチボールをすれば落下地点や空間把握能力が高まりますし、他のスポーツから得られる学びはたくさんあります。

積極的に子どもたちにスポーツに触れさせることは健やかな身体の発育にも繋がり、サッカーを上達させる一因になるのは間違いありません。

 

■小学生年代でサッカーに向いていない、プロになれないの判断は早すぎる

プロ選手になるためには幼い頃からその競技に触れていた方がいいのかもしれませんが、あくまで一例です。サッカーでも、中学校からキャリアをスタートさせてプロの世界へ飛び込んだ選手もいます。

だからこそ、影山監督はゴールデンエイジという言葉に対し、必要以上に影響されて欲しくないと言います。

「中学年ぐらいだとまだ発育的にも将来どんな選手になるのか分かりません。ゴールデンエイジという言葉を勘違いされる親御さんも多いのですが、12、3歳ぐらいでその年代のトップレベルにいないからプロになれないということはありません。

中学生からサッカーを始めてプロになった選手たちもいるので、技術が身に付けられない訳ではないのです。

ゴールデンエイジは神経も発達する時期なので、より多くボールに触れた方が技術を身に付きやすいのは間違いありません。ただ、技術の向上は努力次第で何歳からでもできます。自分も引退してからの方が上手くなっているぐらいですから。

なので、小学校3、4年生でサッカーに向いているか、プロになれる可能性があるかなど、将来を判断するのは早いと思います。子どもたちは大きな可能性を秘めています。

小学生の時にトレセンに入っていなくても、高校で伸びた事例は多くありました。中学まで違うスポーツをやっていたけど高校から始めて、素晴らしい才能を持った選手もいます」

様々な場所でサッカーに携わってきた影山監督。自身も小学校5年生の息子を持つ親として、子どもとの向き合い方を考えてきました。

その中で重要なのは、大人たちがコミュニケーションを取る環境や様々な角度でスポーツに触れられる場を設け、子どもたちの才能をより磨くことだと言います。

心身を鍛えれば、サッカーだけではなく、1人の人間として大きく羽ばたくきっかけにもなります。子どもたちの可能性をより広げるためにも、大人たちのアプローチが重要なのかもしれません。

 

 

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影山雅永(かげやま・まさなが)
福島県の磐城高校を経て筑波大学に入学。同期の井原正巳氏(現・柏レイソルヘッドコーチ)、中山雅史選手(アスルクラロ沼津)らとプレーし、卒業後は古河電工(現・ジェフユナイテッド市原・千葉)に入団。Jリーグでも活躍し、1995年は浦和レッズ、翌年はブランメル仙台(現・ベガルタ仙台)に籍を置いた。引退後は筑波大学の大学院で学び、1998年にはワールドカップに初出場した日本代表で対戦国のスカウティングを担当。その後はケルン体育大学などで学び、2001年からはサンフレッチェ広島でコーチを務めた。以降はアジア各国でA代表や育成年代の監督を歴任。2009年からはファジアーノ岡山のヘッドコーチに就任し、翌年からは監督として指揮を執った。2017年からはU-18日本代表監督(U-20ワールドカップを目指すチーム)となり、昨年5月のFIFA U-20ワールドカップ・ポーランド大会ではチームを2大会連続となるベスト16入りに貢献。現在はU-19日本代表監督として、来年開催予定のFIFA U-20ワールドカップ・インドネシア大会を目指している。

(取材・文・写真:松尾祐希、JFA)

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取材・文・写真:松尾祐希 プロフィール写真:(C)JFA

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