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インタビュー

ボールだけで通じ合えるなんて幻想! スペインでの経験から安永聡太郎が確信する、日本人が磨くべきスキル

2017年10月11日

キーワード:SC相模原コミュニケーションスペインリーガ主張安永聡太郎考える

J3のSC相模原で監督を務める安永聡太郎さんは、5人のお子さんのパパでもあります。子育てで重要なことは「自らの意見を発し、ディスカッション(討議、自分の意見を述べる)をする」ことだと言います。前編ではその重要性について語って頂き、お子さんに対する接し方についても伺いました。
後編ではそういった考えや方針にたどり着いた原体験や、2007年から専属講師を務めている「JFAこころのプロジェクト」を通じて感じ取った現代の子どもに対する印象に迫ります。(取材・文:竹中玲央奈、写真:新井賢一)
<<前編:「どう思う?」の問いかけがカギ! 5児の父である安永総太郎の子育て論
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(スペイン語習得の原動力についても語ってくれた)

■言い返したくてスペイン語を覚えた

安永監督はプロ4年目のシーズンにリーガ・エスパニョーラ2部のUEリェイダに期限付き移籍をし、1シーズンを過ごしました。そこでチームメイトが練習中で意見を交わしあっているのを見て日本との違いを感じたそうです。
「海外の人と比べて日本人はディスカッション(討論、意見交換など)が得意ではないと思うんですよ。特に年上と意見をぶつけ合うことがなかなかできない。本来は、お互いの意見を擦り合わせてより良い答えを出すのが望ましいのに、年下が言い返したら "反抗"と捉えられてしまう。それだけでなく、意見を否定されると人格を否定されたように受け取ったり......。年齢に関係なく『俺はこう思っているんだよ!』という主張を日本人はしなさすぎるかなと感じました」
しかし、スペインに渡って間もないころは意見を交換するどころかスペイン語もほとんどできない状態です。その中で安永監督は周りの指示に対して「はい」と答えて従うしか無く、悔しい思いをしたと振り返ります。
少しの間、引きこもっていましたね。思っている事が言えないのが悔しくて。だからとにかく『スペイン語で言い返してやりたい!』という思いでスペイン語を勉強しました。そして、ある程度ピッチ上で言えるようになったんです。ただ、そこから勉強しなくなっちゃったので"ある程度"以上は上達しなかったんですが......。それでも、『俺はこう思っているんだ、こうしたいんだ』という自分の考えを主張できるようにはなりました」
「よく、『サッカーはボール1つで通じ合える』みたいなことを言いますけど、それはマラドーナなどのレジェンド級の選手が言う話であって、言葉ができない、まして全く異なる文化圏で育った日本人が海外に移籍した場合、言葉が分からないとうまくコミュニケーションをとれないと思います。相手の要求を理解し、自分の意思を伝えるためには言語でのコミュニケーションは大切です」
そういった経験から、安永監督は言葉を交わし合ってコミュニケーションを取る重要性を強く感じており、前編でも触れたように息子さんにもしっかりと意見を述べる機会を与えているのです。
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(選手たちにもきちんと言葉で指示を伝える)

■意見を主張をする子どもが少なく感じる

自らの育った環境やスペインでの経験なども含めて、安永監督は自らの意見を考えて述べる重要性を強く感じています。ただ、それだけではなく、JFAこころのプロジェクトにおける"夢先生"の活動で多くの少年少女と触れ合う中でも同様の考えが生じたと言います。
安永監督が2007年から講師として参加している「JFAこころのプロジェクト」は、公益財団法人 日本サッカー協会が主宰する、子どもの心身の健全な成長に寄与することを目的に取り組んでいる活動で、サッカー選手をはじめとするアスリートが「夢先生」として小学生に「夢を持つことの素晴らしさ」、「それに向かって努力することの大切さ」などを伝えています。
「多くの小学生と接してきた中で感じたのは、真っすぐな子、物わかりの良い子は間違いなく多かったと思います。最近の子どもは協調性も抜群です。ただ、自分の考えをもって発信できる子が昔より少ない印象があります。おそらく『夢先生』の活動で接した中で、毎年3,000人くらいに会っていましたが、その中で印象に強く残る子は4、5人くらいかな......。最近はいい意味で、ドラえもんに出てくるジャイアンみたいな存在の子がいない。ガキ大将で自己主張が強く、それでいて人情に篤いような子がね。この1年間(学校を)回って、王道と自分の意見を主張できてリーダーシップを備えているような子どもは1人か2人ぐらいしか見当たらなかったと思います。それも、3~4人程度の小さなグループの中でのリーダーシップであって、全体のリーダーとなるような子はいなかったように思います」

■リーダー不在の原因は大人にある

自ら考え意見を発信し、周りを引っ張っていくような"リーダー"という存在をなかなか見なかったと安永監督は振り返り、なぜそうなってしまったかというところにも考えを述べます。
「もしかしたら、今の子供たちは思いのままに行動すること、自由な思考、自己主張という枝を小さいときに折られているのかもしれない。規律を乱すと怒られ、従うことを強いられてしまって、小さいうちに意見を言える土壌がなくなる。大人がそこで全部芽を摘んじゃうから、前に出ていくこと、主張することができないのかもしれないですね」
「そうなってしまう原因が、子どもたちが長い時間を過ごす学校や先生にあるのかといえば、それが全てではないと思います。僕も先生の立場になったら、子どもたちが自由な考えで起こした行動や質問の一つひとつに対応するのは大変だから、小さな芽のうちに全部摘んでしまった方が楽だと考えるかもしれません。結局、大人が『物わかりの良い子』を生み出しているのだと思います」
そういう意味でも、安永監督が実践しているように、家庭における普段の生活からお子さんの行動に対して「どうしてそうしたか」「何を思ってやったのか」「どうしたかったのか」という点について積極的に聞いて、自分の意見を言うことができるようにしてあげることは重要なのでしょう。
次ページ:指導する時、明確に提示していること

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文:竹中玲央奈

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