親子でチャレンジ

2014年2月11日

ごはんポイントで栄養管理! 親子でできる勝つ身体作り

 お父さんお母さんに質問です。昨日の晩ご飯のメニューはなんでしたか? 毎日食べているはずの食事ですが、あまり意識せずに食事をとっていると一日前に何を食べたのかさえ思い出せないことがあります。「食育」が話題になり、サッカーキッズを子どもに持つお母さんたちは栄養価やエネルギーの高い食物、消化の良い食材に気をつけているようですが、カロリー計算までは難しい! というのが本音ではないでしょうか?
 
 
 今回は自宅で簡単に、子どもたちと楽しみながらできるアスリートのための「食べる練習」の基準になるその名も『ごはんポイント』をご紹介します。
 

■難しいことは抜きで炭水化物に注目! 栄養管理士が考えた『ごはんポイント』

「炭水化物、たんぱく質、脂質は三大栄養素と呼ばれていて、人間が生きていくために欠かせない栄養素です。一般的に炭水化物が60%、たんぱく質が15%、脂質が25%。これが理想の比率といわれています」
 
 こう話すのはごはんポイントの生みの親であるWACアカデミーチームサポート事業部ヘッドコーチで栄養管理士の村越智行さんです。こういう話をすると「なんだか難しそう」と構えるお母さんもいると思うのですが、今日紹介する『ごはんポイント』は、ものすごく簡単。子どもたちだけでもきちんと自分の身体が管理できるように作られています。
 
「ごはんポイントという共通の興味により親子のコミュニケーションを深め、子どもは『ごはんポイントの意識+出されたものを全部食べる』という構図で食事バランスを揃えていきます」
 
 え? 炭水化物だけ? バランスは? カロリー計算しなくていいの? そんな声も聞こえてきそうですが、現代っ子、特にスポーツをしている子どもたちは炭水化物が足りていない子どもが多いそうなのです。
 
「ごはんポイントを作る際に、そのほかの栄養素についてもすべて細かくポイント化して計算してみましたが、細かく計算するのは私たちでも大変でした。そこで炭水化物に絞ってみたところ、炭水化物を意識し続けることで、食事に対する意識のきっかけになることが多かったのです」
 
 村越さんは、「食事のように毎日続けてこそ意味のあるものは複雑なことをして続かないよりも、単純なポイントに気をつけて継続させた方がいい結果を出す」と言います。
 
WACアカデミーでは中学・高校生を対象にチームサポートを行い、その一環としてごはんポイントを使った栄養指導を導入。サッカーでは全国大会出場校、野球では甲子園出場、ラグビーの花園、ハンドボール、陸上はインターハイ出場など、多くのチームを全国大会出場に導いてきました。
 
 

■食べることも練習だ! 子どもたちに身につけてほしい食習慣

「いまの子どもたちは食が細い!」「代表合宿では食べる練習からスタートする」
 
 これらは、U-17日本代表トレーナーとして96ジャパンにも帯同した並木磨去光トレーナーがことあるごとに言っていることです。トレーニングの基本は食事なのに、バランス以前に絶対量が足りていない選手が多すぎる! サッカーだけでなく、多くの部活動では身体作りのためにどんぶりご飯を日課にしたり、練習後の補食を用意したりして「食べるトレーニング」という意識を選手に持たせるようにしていると言います。
 
「小学生はそんなに必要ないと思うかもしれませんが、食は習慣です。量を食べる、回数を食べる、エネルギーを使ったら補充するという習慣を小学生のうちから意識することはとても大切なことです」
 
 村越さんは小学生のうちにはじめることが将来的に他の選手との大きな差になると言います。
「まずはごはんポイントを意識する。それだけでずいぶん変わってきますよ」
 
 さて、この『ごはんポイント』。一体どんなものなのでしょう?
 

■ごはんポイントの正体

「最初の目標は自分が一回の食事でゲットしたごはんポイントを数えられるようになることです」
 ごはんポイントとは、炭水化物50gを1ポイントとするポイントのことです。
 
 白米なら約150g(だいたい茶碗一杯だそうです)の中に炭水化物が50g含まれているそうですから、茶碗一杯のご飯を食べれば1ポイントのごはんポイントをゲットしたことになります。
 
 名前は“ご飯”ポイントですが、炭水化物を含んでいる食品なら、ごはんポイントを得ることができます。
 
 一覧表にあるように食パンは2枚で1ポイント、コーンフレークは大盛り一杯で1ポイントゲットできます。
 
 
 
 白米を食べる茶碗をどんぶり(米1合)に変えれば、ごはんポイントは2つきますから、白米中心の食事がいかに効率よくごはんポイントをゲットできるかがよくわかりますよね。
 
「食事に偏りが出るという心配もあるかもしれませんが、白米だけ黙々と食べる子どもはいませんよね。お母さんはごはんポイントを中心におかずとなる副菜でバランスをとるようにすれば、極端に偏った食事にはなりません」
 
 お昼ご飯は多くの子どもたちが、栄養バランスが考えられた学校給食を食べるわけですから、朝と夜はお母さんがごはんポイントを意識してバランス良く。これで栄養のバランスも整えられます。
 

■体重から判断する適性ごはんポイント

 ごはんポイントは毎日記録することでその効果を発揮します。
 
 その日とったごはんポイントを毎日つけていると、体重の変化や練習量の変化など小さな変化に気がつくようになります。
「体重や体調の変化を自分で把握することは一流アスリートなら誰でも当たり前にやっていることです。子どもたちでも、体重の変化や練習量の変化などと共にごはんポイントを記録しておくことで『あんまり食欲がないな』『今日はたくさん食べたな』と、本人や保護者の方が一目見てわかるようになるのです」
 
 各年代の日本代表でも体重を毎日計測し、記録するのは当たり前のことです。自分の適正なごはんポイントを知るためにも体重計に乗る習慣を身につけるようにしましょう。
 
 下の表は今回特別に小学生用に算出してもらった、体重でわかる適性ごはんポイントです。小学生のうちは急激に体重が増えたり、身長が伸びたりする時期でもあるので、成長の要素も考慮に入れなければいけませんが、だいたいの目安としてこれくらいごはんポイントを取ることを心がけましょう。
 
※クリックすると拡大画像をご覧いただけます。
 
 
 
 ごはんポイントの詳細については次回に続きますが、まずは炭水化物に特化したごはんポイントを数えること、体重を毎日測る習慣をつけること、この二つからはじめてみましょう。
 
 次回は試合や練習の準備を含めた“食行動”とごはんポイント、理想の食スケジュールなどについてお話をお聞きします。
 
ごはんポイントで生活が変わる? 食事でアスリートを作る方法>>
 
 
村越 智行(むらこし ともゆき)
 栄養管理士。2000年 関東学院大学経済学部経済学科卒業後、佐伯栄養学校栄養学科、フィットネスクラブ、スイミングインストラクター、スタジオレッスン業務などを経て、07年、森永製菓ウイダー事業本部で栄養指導業務に携わる。13年より現職でごはんポイントを中心とした栄養指導、チームサポートを行う。ラグビートップリーグ、高校ラグビー部の花園出場、高校サッカー、総体・選手権出場、高校野球部甲子園出場、高校陸上、総体出場、高校ハンドボール総体出場などをサポートしている。
 
WACアカデミー
高校、大学の部活動ならびにプロチームへのメンタル指導、栄養指導、モチベーション指導を行っている。
サッカー:全国高校サッカー選手権出場チーム
野球:甲子園出場チーム
ハンドボール:インターハイ出場チーム
ラグビー:プロトップチーム、花園出場チーム
バスケットボール:関東大学リーグ1部チーム
陸上競技:インターハイ出場選手
 
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