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考える力

最近、流行中!? 海外遠征で得られるメリットとは?

2014年6月 2日

キーワード:サッカー遠征

近頃、ジュニア、ジュニアユース年代において、チーム単位で海外遠征に行くところが増えてきました。安くない遠征費を払ってまで行く海外遠征のメリットとは? 今回は9年前から、毎年スペインに遠征しているSCHフットボ-ルクラブのジュニアユースチームの総監督を務める中野泰延氏に、話を伺ってきました。

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photo by terren in Virginia Spring Soccer Penguins vs. Manatees
(取材・文/鈴木智之)

 

■海外遠征はどのレベルの子どもにも有意義である

――SCHフットボ-ルクラブがスペイン遠征を始めたきっかけは何だったのでしょうか?
 
私が指導者として、スペイン研修に行ったのが始まりです。行ってみて、「こんなにいい経験ができるんだ! なんて楽しいんだ!」と思いまして。選手たちにもぜひ経験させてあげたいなと思ったのがスタートですね。いまチームでは、中2から中3に上がるときの春休みに2週間ほどスペインに遠征に行きます。
 
――9年前に、チーム単位で海外遠征に行くところは少なかったと思います。保護者にはどのように説明したのでしょうか?
 
最初は、保護者の方々を説得するのが大変でしたね。「うちの子は日本代表クラスの選手でもないのに、スペインに遠征行く必要があるんですか?」と訊かれることもありました(笑)。そこで、「日本代表クラスの選手でなければ、海外遠征を経験してはいけないわけではありません。どのレベルの選手も、サッカーに対する思いは同じです。海外でプレーすることでいろいろなことを学び、それが人間としての成長につながるかもしれません」と説明したところ、「それならば」と理解していただきました。うちのチームは強制ではありませんが、毎年ほぼ全員が参加します。私自身が何回も行って刺激を受けているので「絶対にいい経験になりますから」と確信を持って、保護者に伝え続けています。
 
――私の知り合いのチームには、海外遠征に興味があるのですが、最初の一歩を踏み出せない指導者が多いです。金銭面はもちろんのこと、保護者に対してどのように説明すればいいのか、現地でのアテンドはどうするのか…といった不安を抱えている指導者も多いですね。
 
うちの場合は現地のコーディネート会社に頼んで、試合を組んでもらったり、通訳等のアテンドをしてもらっています。毎年、MIC(地中海国際サッカートーナメント)に参加したいと思っていて、大会が日本の春休みに開催されるときは出場しています。最初は、「2年に1回ぐらい遠征ができたらいいよね」と話をしていたのですが、行ってみたらすごく好評だったので、それなら毎年行こうと。いまでは「スペイン遠征に行けるから、SCHに入りたい」と言ってくれる選手もいます。もし、海外遠征に行きたいけどどうすればいいかわからない、と悩んでいるチーム関係者がいるのであれば、うちが初めて実施したときに、保護者にどう説明したかなどの資料をお渡しすることもできます。あとは学校との関係も大切で、子どもたちが通う中学校に、遠征に行く前に届けを出して、帰ってきたら報告書を作って送っています。学校側からやってくださいと言われたわけではないのですが、せっかくの機会なので、サッカー以外にも良い経験をしてきましたと報告しています。
 

■ピッチ外でも、学ぶことはたくさんある

 
――具体的に、海外遠征に行くメリットはどのようなものでしょうか?
 
普段、日本ではできない経験ができること。これが一番大きいのではないでしょうか。ピッチの中のことはもちろんですが、オフザピッチの部分での経験も大きいですね。うちは毎年、懇意にして頂いているメルカンティルというチームに所属する子どもの家庭に、ホームステイをさせてもらっています。選手は2人1組で各家庭にお世話になるのですが、ホームステイの良さは、文化を肌で感じられることです。通訳がいないなかで、どうやってコミュニケーションをとるか。自分たちで「こういうものが好まれるんじゃない?」とリサーチして、おみやげを選んでいました。夜ごはんはホームステイ先で食べるのですが、食事の量にやられる選手が多いです(笑)。「出されたものは、残さずに全部食べよう」と言っているのですが、量がすごいんですよ。最初にサラダが出てきて、次に前菜。そしてパスタ。日本だとそこで終わりなのですが、その後にステーキが出て、最後にデザートまである。食事の量の多さには、毎年洗礼を受けています。これはホテルでも同様です。
 
スペインの子どもを見ると、同年代の日本の子どもよりかなり大きいんですね。彼らは中学年代で一気に背が伸びるそうで、食事量が多いからというのも理由の一つだと思います。うちの選手たちはそれを見て「食べないと強く大きくなれないんだな」と感じています。それは僕らが普段口で言うよりも、スペインに行ったことで実感するようです。
 
――ホームステイをするとなると、言葉の問題が出てきます。それについてはどのように対処しているのでしょうか?
 
せっかく行くので、楽しむために最低限のあいさつや単語のプリントを作って、スペイン語の勉強をします。簡単なテストをすることもありますが、これを機会に他の国の文化や言葉を知ってくれればいいなと思って。あとは出発前に、バルセロナの文化や歴史、言語についてなど、テーマは何でもいいので、レポートを作成してきてもらいます。全て主体性を持って取り組もう!「テストがあるから、決まりだから。」ではなく、良い遠征にする為に!と伝えています。
 
ピッチで輝いている選手は、自分は遠征でこういうことをしたいと書いてきます。キャプテンの選手は「今回のスペイン遠征は、楽しみながらも何を意識して取り組むかが大事だと思っています。スペイン語の勉強を始め、遠征の準備、公共の施設でのマナー、練習でのアピールなどいろいろあります。向こうでオファーをもらえるように精一杯がんばっていきたいです。そして良い刺激を受けたいです」と書いていました。ほかにも「サッカーだけでなく、日本と違う文化を学びつつ日本の文化を教えてあげることや、チーム全体の戦術、個人ではボールコントロール、判断力、メンタル、なによりもチャンスが来なくても辛抱強く待ち、ワンチャンスを決められる冷静さをつけて日本に戻ってこられるように、一日一日を大切に過ごしたい」と書いた選手もいました。提出物の内容はピッチのパフォーマンスと比例しますね。しっかりプレーできる選手は、しっかりとした内容のレポートを書いて、目的意識を持ってスペインに行っています。
 
――近年は多くのチームが“選手の自立”をテーマに指導していて、試合会場に選手たちだけで行かせるといった取り組みをするところも増えてきました。海外に行くと、日本にいては起き得ないことがあるわけで、そのときにどう考えて行動するか、経験の部分は大きいですね。
 
そう思います。うちのスペイン遠征は、試合や練習以外のフリータイム時に、「何時にここに集合ね」という形で自由行動にすることも多くあります。バルセロナの中心部はそれほど危険ではないですし、「必ず3人以上のグループで行動すること」としているので、みんなでああだこうだ言いながら、自由時間を過ごしています。今回は「自分達だけで昼食を!」と言う事で、選手達だけで食事に行きました。食事のときの約束事で、1:他のグループと同じ店には入らない。2:3人とも違うものを頼む。3:写真をとってくる、というルールがあるんですね。そうすると、チェーン店でファストフードを食べるグループもいれば、地元のレストランでパエージャを食べる選手もいます。子どもはすぐ順応しますから、お店に行って「ウノ・ポルファボール(ひとつください)」と指をさしてコミュニケーションしていますよ。
 
海外遠征はピッチ内外で良い経験ができる貴重な場です。後編では試合で感じたスペインサッカーの印象についてお聞きしていきます。よろしくお願いします。
 
 
状況判断の重要性を体感できる! 海外遠征の意義とは?>>
 
 
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●中野泰延(なかの・ひろのぶ)
SCH.FC ジュニアユース統括/U-15監督
日本サッカー協会公認A級コーチ
神奈川県サッカー協会常任理事
神奈川県CJYサッカー連盟理事長
神奈川県サッカー協会3種クラブ技術委員長
SCHフットボールクラブ
HP http://www.sch-fc.com
Facebookページはこちら
 
【リンク】
スポーツライター鈴木智之氏が主宰し、SCH中野監督も学ぶスペイン語、英語を中心とした語学スクール
『渋谷ランゲージコミュニティ』
Facebookページはこちら
 
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取材・文/鈴木智之

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