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考える力

ものの見方と考え方を教えればサッカーを通じて成長できる 兵庫FC

2013年10月14日

キーワード:指導育成

全員に出場機会を与える事で、選手の能力を伸ばす兵庫FC。前回はなぜ、全員に出場機会を与えるかについて紹介しましたが、ただ試合に出すだけでは選手は伸びませんし、結果を残す事も出来ません。今回はどうすれば全員を成長させることが出来るのか、永浜和紀代表にお聴きしました。

<<結果よりも、全員が試合に出ることに価値がある 兵庫FC

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■指導者が喋らないことで、選手の考える力を育む

「うちのチームはだいたいの年間スケジュールが決まっていて、これをこなして行けばだいたいこのレベルに行くというのが分かる」
永浜代表が言い切るように、兵庫FCは設立から20年以上、県大会では安定した結果を残しています。
 
選手たちが育つ理由の一つはやはり、“総入れ替え”。出場機会が選手の力になるとともに、「考える力にもなる」と永浜代表は話します。
「サッカーになると、大人って色んな事を言うけど、自分では正しいと思っていても、それが正解とは限らないし、選手たちが自分で考える習慣を奪ってしまう。総入れ替えするとあんまり喋らなくてもいいので、楽なんですよ(笑)。普通のチームは前半が終わって帰ってきたら、ああだこうだ言って、また後半悪かったら、ああだこうだ言う。でも、うちの場合は良くても、悪くても全員入れ替えて、オンオフを切り替えたるだけ。先日のフットサルの大会も、『総入れ替えするよ』と言って前後半のメンバーを決めただけ。どうすれば上手く行くか、自分たちでミーティングしていました」と続けます。
 
“指導者が喋らない”という兵庫FCの方針は練習からも存分に伝わってきました。練習時間になると選手たちが自主的にボールを蹴り始め、スタッフはタイミングを見て、練習メニューを伝えるだけ。
「僕が喋る時間は徹底的に削る。2時間の練習のうち3分くらいしか喋らない」
喋らない練習の狙いついて、永浜代表は「例えば跳び箱を飛ぶ時に、『頑張って飛べ』、『いいジャンプをしろ』と言っても上手くいかないけど、『助走の最後の3歩で、“トントン、トン!”というリズムでジャンプに入る事が大事』とだけ教えてあげれば上手くいく。サッカーでも本能だけではできない、できるようになるためのコツというのは、教えてあげなければいけない。ただ、うちには幸い、コツを掴んでいる子がいっぱいいるので、『あの足を見てみ?』と言うだけで済む。そうした声かけをするだけで、自分で見て考える子供になるし、自分で学べる子供になっていく。サッカーの全部は教えられないし、サッカーを入り口に色んな子を学べる子にしていきたい」と説明します。
 
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■練習で大事なのは可視化と繰り返し

「サッカーを教えているわけではない。物の見方や考え方を教えている」
永浜代表の言葉の通り、“見て考える力”はサッカーだけでなく、日常生活でも役立つ力です。そして、見て考える事と同様に、“物事を論理的に考える力”の必要性についても話します。
「サッカーも仕事も、行き詰ったら、“何でやろ?”と論理的に考えないといけない。男は特にそう。モヤモヤしたら、絶対に失敗する。物事が上手く行かない時に『お前がダメだった』で済ますのではなく、『俺はお前があそこに走ってスペースを作ってくれたのは分かる。でも、俺はお前にスペースを使って欲しい』などちゃんと説明出来る人間でないと次から上手くいけない。何が駄目なのか分かる目を育てていかないといけない」
サッカーを通じた、子供たちのココロの育成が兵庫FCの強さの秘訣なのかもしれません。
 
論理的に話せる力は選手だけでなく指導者にとっても重要な要素です。永浜代表は「戦術について僕たちが言葉で説明しても伝わらず、選手は言葉にすることが出来ません。考える材料を与えて、後は子供たちで戦術を考えるやり方しています」と話します。
 
兵庫FCの練習はボードに書いて説明したり、学年ごとに取り組む内容や目標をプリントに纏めて配布するなど全て“可視化”しているのが特徴です。
「口ではなく、文字に書いて指導することが多いですね。文字でないと論理的にならない。人間の言葉は声の強さ、声色などいろんなことで子供が受けるイメージが変わる。生活体験が違うので、同じ言葉を言っても、伝わるイメージが人によって違ってくるのです。ボードなどに書くことで、一人一人のイメージが近づくようになります。頭で忘れても見れば思い出すことが出来るので、子供たちの引き出しに入るようになる」
 
そして、可視化とともに重要なのは“繰り返す”こと。
「ドリブル練習では並ぶ・順番を守るということから学びますが、練習には合図がありません。前の選手が動いたら、次にどのタイミングで動かないといけないから、自分の判断で動き出します。練習は選手を集めて、『さぁ、やりなさい』という方法は、やらされる傾向が強くなり自分で考えてプレーしているという意識は低い気がします。同じ練習を繰り返し、その練習を自分たちでどんどん進められるようになってから、指導者の狙いを伝えるようにしています。指導者がしゃべるのはここから。練習の方法を理解していない選手に、練習のねらいなどは要求できないと思います」
 
可視化した練習を繰り返すことで、“フリーになってボールを貰う”、“ボールが来たら近寄る”、“ファーストタッチでボールをどこに置くか考えよう”とか、“パスしたら、すぐに走る”といった基礎を身につけ、ワンツーなどの個人戦術が身につきます。こうした個人戦術のイメージをいつ、どのタイミングで出すかが兵庫FCの戦術になるのです。
 
次回は兵庫FCで実際に行われている練習メニューを紹介します。
 
誰かに認めてもらう事は、選手の成長のために必要不可欠 兵庫FC>>
<<結果よりも、全員が試合に出ることに価値がある 兵庫FC
 
 
兵庫FC//
1985年創立。全日本少年サッカー大会の兵庫県大会でも2009年から3連覇するなど、これまで7度の出場を誇り、関西を代表するクラブの一つとして知られる。これまでMF梶川諒太(現・湘南)など多くのJリーガーも輩出している。詳しくはコチラ
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取材・文・写真/森田将義

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