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子どもが夢を実現する力を養う、「Jリーグ版[よのなか]科」に注目!

公開:2013年5月28日 更新:2013年5月29日

キーワード:コミュニケーション

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「サッカーに熱中するのはいいけど、本当にこのままで大丈夫?」「勉強も頑張ってほしいけど興味がなさそう……」といった心配は、多くの保護者が感じていること。それを少しでも解消するために、「Jリーグ版[よのなか]科」と呼ばれるキャリアデザインへの取り組みが参考になるかもしれません。プロのトップ選手育成を目的としたJクラブアカデミーでのプログラムですが、内容には「こんなやり方があるのか!」と共感できるはず。今回はプログラムの概要と狙いを中心に紹介します。
 
 

■なぜJリーグが[よのなか]科に取り組むのか

東京都内では義務教育初の民間人校長となった藤原和博さんが、就任先の区立和田中学校で実践した[よのなか]科。その目的や手法をベースに、アカデミー選手向けにアレンジしたものがJリーグ版[よのなか]科です。Jクラブアカデミーではオンザピッチの指導はもちろん、オフザピッチでの関わり方も重視しているそうです。
 
「プロを目指す選手には、サッカー業界全体について知ってほしいと考えています。万一プロ選手にならなかった場合も、サッカーを愛する人が選手とは違う立場で関わって、この業界を支えてほしいという思いもあります」。(吉田国夫さん/Jリーグ企画部人材育成・キャリアデザインチームチーフ)
 
ジュニア選手のキャリアサポートの目的は「考える力の醸成」や「『プロになりたい』という強い意思の醸成」をして、それをサッカーに生かすこと。このプログラムを経験することで、「絶対にプロになる!」と強く意志を持たせることを目指しています。そうした取り組みの一つが、2010年から始まった文部科学省の競技者・指導者等のスポーツキャリア形成支援事業の業務受託でもある「Jリーグ版[よのなか]科」なのです。(※)
※正式名称:Jリーグをテーマに、競技者としてのキャリアを考える「キャリア・デザイン・サポートプログラム」
 
「プログラムの主な受講対象は、各アカデミーに在籍する中学生年代です。全部で5回実施され、それぞれJクラブの経営、Jリーグの理念、Jリーグを取り巻く職業、その職業に必要な力、5年後のキャリアイメージといったテーマで実施しています。難しく感じられるキャリア教育も、子どもたちに一番身近なサッカーを題材にすれば、興味を持って取り組んでもらえると考えて作ったものです。多くのクラブの関心を集め、2010年に4クラブでスタートしたこのプログラムも、2013年は38クラブで実施予定です」。
 
プログラムでは、養成講座で目的や手法を理解したファシリテーターが、進行役を務めます。これはグループでの話し合い、学習に一定の方向性を与え、各回の趣旨に応じた結果につながるよう配慮したものです。またゲストティーチャーを招く回では、Jクラブの経営をそのクラブの社長に語ってもらうなど、社会人が自らの経験にもとづいて具体的に情報提供をする機会も設けられています。
 
さらに保護者もプログラム参加は歓迎とのこと。自分の子どもとは違うグループに入って、親でも教師でもない社会人という“ナナメの関係”から刺激を与える補佐役を担っています。このように社会人がそれぞれの役割で参加し、社会との接点やネットワークを生かした教育を実践しているのも、Jリーグ版[よのなか]科の特色となっています。
 
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■Jリーグ版[よのなか]科で育てたい力とは?

多くのアカデミーで実施されるようになった「Jリーグ版[よのなか]科」の狙いは
 
  1. Jリーグ産業構造の特性の理解
  2. Jリーグがさまざまな職種の仕事によって成り立っていることを知る
  3. 自らの将来のキャリア形成への意識向上
  4. 職業が持つ「社会的な意義と役割」、その役割を担う「能力やスキル」の必要性の理解
  5. 競技者としての人間性、社会性の形成、コミュニケーション能力の必要性の理解
 
となっています。
 
「さらに基本的な能力として、正解のない問いに対して、自分で情報を組み合わせ、他人の意見や経験も参考に、 最終的に自分が納得する答え“納得解(なっとくかい)”を導き出す“情報編集力”の養成にも力を入れています。ピッチで周囲の情報を多面的に捉え、瞬時に判断してプレーする選手にとって、自分で考える力は必ず役立つと考えているからです。もちろん子どもたちがサッカーを離れたときも必要な能力だと思っています」。
 
また話し合いでは失敗を恐れず自分の意見を述べ、違う見方・考え方を柔軟に取り入れ、自分の意思形成に役立てることも重視されるといいます。これもチームで闘う競技者はぜひとも身につけたい力でしょう。
 
「Jクラブのプログラムですから、世の中の仕組みや多様な職業を知って、『プロサッカー選手になるという夢の実現には、強い意思が大切だ』と気づく機会を提供するのが一番の目的です。それまで『サッカーさえ一生懸命にやればいい』と思っていた選手が、より具体的に『自分はどんなプロサッカー選手になりたいのか?』『そこで期待される役割とは?』『求められる能力とは?』などを考え始め、そうした夢の実現に向けて、強い意志を持って取り組むようになったケースも多いと聞いています」。
 
Jクラブアカデミー対象のプログラムですが、もともと現代社会で必要な“納得解”を生み出す情報編集力、ネットワークを広げるコミュニケーション能力を育てる[よのなか]科がベースですから、社会人教育にも最適なのは当然でしょう。この手法を家庭でまるごと実践することは無理でも、サッカーを題材に“情報編集力”に着目した育て方を考えるなどの応用は可能ではないでしょうか。次回はより具体的なプログラムの学び方を中心に、保護者が子どもに接するときのヒントも紹介していきます。
 
「Jリーグ版[よのなか]科」から知る、子どもを伸ばす接し方>>
 
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取材・文/山辺孝能 写真提供/FC東京

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