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サッカー豆知識

日本サッカーがFIFAランキング201位の国から学ぶこと

2014年9月 2日

キーワード:アジアカンボジア大会指導社会育成

先日、カンボジアサッカー界では初となるジュニアユース国際大会「YAMAHA CHALLENGE INTERNATIONAL FRIENDLY MATCH」が開催された。カンボジアの首都プノンペンから車で約1時間、タケオ県トンレ・バティにあるナショナル・フットボール・トレーニング・センターにて、3日間(8月22日~24日)にわたり行われた大会の模様をレポートする。同大会を通して見えてきた日本がカンボジアから学ぶべき点とは?

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協力: GFA Soriya、長谷川雅治(F.C. Asia Project)
 

■いま熱い!カンボジアサッカー界の取り組み

日本、カンボジア、シンガポールから6チームが参加した同大会。優勝は、地元強豪クラブのU-15プノンペン・クラウンFCが勝ち取った。
 
日本から参加のU-14岐阜県選抜はアウェイの環境にも関わらず、魅力的なパスサッカーを展開。勝ち点ではトップに並んだものの、得失点差で2位となり、目標としていた優勝を逃した。
 
これまでも、カンボジアでサッカー育成の国内大会は行われていたが、海外からチームを招いての国際大会を開催することは文字通り史上初の試みであった。国の経済発展に伴ってスポーツ環境の整備が徐々に進んでおり、政府はそのマイルストーンとして2023年にSEA GAMES(東南アジア競技大会)の開催を決めた。この自国開催の国際スポーツ競技会でメダル獲得を義務づけられた種目が、サッカーなのである。
 
この目標に向けて、FIFAなどの援助を受けて全寮制のナショナル・フットボール・トレーニング・センターを建設。2023年に23歳になる子供たちを集めてU-14カンボジア代表が組織された。子供たちは地元の学校に通いながら、サッカーの集中的なトレーニングを受けている。日本のJFAアカデミーに近い仕組みづくりと言えるだろう。
 
カンボジアは約20年間にわたる内戦によって、それまで高い水準を保っていた文化は失われ、世界の最貧国の仲間入りをしてしまった。スポーツ環境も同様で、現在でも校庭や体育館がない小学校は多く、子どもたちがスポーツを楽しむ環境にはほど遠い。サッカーは最新のFIFAランキングで東南アジア最下位(201位)。そんな社会環境の中で立ち上げられたU-14カンボジア代表の監督が、ベガルタ仙台で14年間育成年代を指導してきた経験を持つ壱岐友輔さんだった。
 
 

■カンボジアサッカーの現在地

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「モイ!モイ!(ゆっくり、落ち着いて!)」
 
マイボールになると壱岐監督から、カンボジア語で選手に指示が飛ぶ。
 
「味方がボールを持ったら、どこにポジションを取りますか? 普通はパスコースをつくるために相手チームの選手のギャップに入りますよね。でも、ぼくのチームの子は勝った経験が無いから、状況が悪くなるとすぐに怖くなって相手選手の後ろに隠れちゃうんですよ(笑)」
 
大会序盤、初めての国際大会に慣れない選手たちはうまくボールを繋ぐことができず、簡単に奪われては失点を重ねた。そんな中でも壱岐監督は笑顔を絶やさず、「大丈夫、点は取り返せる、簡単だよ!」と語りかけ選手を安心させようと努めた。
 
カンボジアの一般家庭はまだまだ世帯収入が低く、子どもは両親に代わって家の仕事をこなすため、自分の育った町や村以外のことは知らない、というケースは少なくない。かつての日本がそうだったように3世帯の同居は当たり前で、それゆえに家族の結束は固く、子どもだけが親元を離れて全寮制のアカデミーに入るなど想像もつかないお国柄なのだ。
 
「ぼくも、はじめはそういう情報を聞いていたから不安でした。実際、僚の部屋が気に入らないと言って1日目で帰りたがる選手もいました。そこで、センター自体がひとつの家族になるような、アットホームな雰囲気を作るように心がけました。父親役のセンター長、母親役の食堂のおばちゃん、お兄ちゃん役はコーチや通訳、ぼくは先生役。子どもたちには、スタッフ全員が君の家族と思いなさい、と伝えました。夜も一緒に過ごして話したりとか。そうこうしているうちに、週末は家に帰ってもいいよ、と言っても帰らなくなったんですよ」
 
2、3ヶ月ほど家に帰らない子どもに対しては、ホームシックにかかっていないか観察しながら、タイミングを見計らって家に帰るよう指示することもあるという。施設内にはビリヤード場やサッカー以外にも遊べるスペースを作り、お盆休みにはチーム全員でシハヌーク・ビル(海沿いのローカルリゾート)に出かけたりもした。壱岐監督はスタッフと意見交換しながら、センターの雰囲気を変えるように努める。
 
「センターのスタッフとは、毎月ミーティングをしています。カンボジア人は仕事が適当なところがありますが、フットボールセンターのスタッフはクオリティが高いというか、かなり頑張ってくれています。ぼくのオーダーに対して最大限の努力をしてくれる。たとえば食事。まず、牛乳とオレンジジュースを毎日のメニューに加えました。それと、朝練がある日も簡単な軽食で済ませていた朝食を改善したくて、もう少しご飯物にしてくれとオーダーすると、すぐに聞き入れてくれました。練習後は、すぐに食べさせたいので、コックには練習中からスタンバイしてもらっています。グランドも芝を刈ってくれと言えばすぐに刈ってくれます。幹線道路さえもメンテナンスが行き届いていない国で、ここはすぐに直してくれる。グランドのコンディションは、間違いなくカンボジアでナンバー1です」
 
そのような周囲のサポートもあって結束を強めたチームは、大会が進むにつれて国際試合に慣れていきチームを立て直し、勝ち点7(2勝1引分け)を獲得。U-14岐阜県選抜に次ぐ3位に滑り込んだ。
 
 
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協力: GFA Soriya、長谷川雅治(F.C. Asia Project)

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