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インタビュー

「あんたの人生なんやから、好きなことをやりなさい」元日本代表DF中西永輔の背中を押した母の一言

2016年7月26日

キーワード:お母さんお父さん中西永輔四日市中央工子育て少年時代

ふたりのサッカー少年の父として、子育てに取り組む中西永輔さん。現役時代はジェフユナイテッド市原(当時)や横浜F・マリノスでプレーし、フランスワールドカップに出場するなど第一線で長く活躍しました。彼がプロを目指し始めたのは、小学4年生のとき。高校時代は幼なじみの小倉隆史さん(現名古屋グランパス監督)、中田一三さん(FC.ISE-SHIMA監督)とともに「四中工(四日市中央工業)三羽烏」と呼ばれ、鳴り物入りでジェフに加入しました。Jリーグができる前からプロになりたいと思い、夢を現実のものとした中西さんですが、ご両親は子どもの夢をかなえるためにどのようなサポートをしてくれたのでしょうか?(取材・文・写真 鈴木智之)
 
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■プロ入り前、母親が背中を押してくれた

――中西さんの少年時代はJリーグができる前で、日本リーグの時代でしたよね。プロのサッカー選手になりたいと思ったのは、いつ頃だったのですか?
 
両親に「プロになりたい」と言ったのは、小学4年生の時でした。1982年のワールドカップ・スペイン大会を見るために、親に夜中に起こしてもらったのをいまでも覚えています。多くのサッカー少年と同じように、ぼくもテレビでワールドカップを見て「あの舞台に立ちたい」と思いました。華やかな世界に憧れたんですよね。ただ、当時は日本にプロリーグがなかったので、プロになるには海外に行くしかなかったですし、中学校に上がるに連れて現実が見えてきて「プロは無理だな」と思うこともありました。
 
――とはいえ、四日市中央工業時代の活躍がプロの目に止まり、高卒でジェフユナイテッド市原(当時)に加入しました。
 
ぼくが高校生のころにJリーグができて、日本でプロのサッカー選手になることが現実味を帯びてきたんです。もちろん、最初はまさか自分のところにプロからオファーが来るとは思いませんでしたが、高校3年生のときに数クラブから声をかけていただきました。母親と一緒に強化担当の方の話を聞いたのですが「ジェフが一番、あんたのことを思ってくれているんとちゃうか」と言われ、最終的には「あんたの人生なんやから、好きなことをやりなさい」と背中を押してくれました。
 

■負けず嫌いは母親ゆずり

――お母さんのサポートが大きかったのですね。
 
うちの母親は強烈な人でしたからね(笑)。とにかく負けず嫌いで、何でも「1位にならなアカン」と言われていたので、運動会やマラソン大会がぼくにとって大きなプレッシャーで、毎回「負けたらどうしよう」と思っていました。小学4年生のときにマラソン大会で3位になってしまったことがあったのですが、母親に「なんで負けてんのよ!」とカミナリを落とされて、しばらくトラウマになりました(笑)。いまでこそ笑って話すことができますが、当時は本当に嫌で怖かったですね。
 
――中西さんといえば、1対1の局面での粘り強さが印象的ですが、勝負にこだわる気持ちは、小学生時代に培われたものだったんですね。
 
そうかもしれません。言い方はわるいですが、母親には「やられたらやり返せ」と言われていました。だからこそ、ピッチの中では絶対に負けたくない。ボールを持てば相手を抜いてシュートまでもっていく。守備では「絶対にボールを奪ってやる」という気持ちでプレーしていました。日常生活は普通ですが「ピッチに入ると人が変わったようになる」と言われたこともありましたから。
 

■「負けて泣くくらいならもっと一生懸命やんな!」

――中西さんが小学生のころ、お母さんが試合を見に来ることはあったんですか?
 
母親は周りから「応援団長」と呼ばれるぐらい、試合を見にきては声を出していました(苦笑)。ぼくが所属していた少年団は、それほど強いチームではなかったんです。ところが、ある大会で決勝戦まで行くことができて、ぼくが先制点を決めて1対0でリードしたんです。それまではよかったのですが、相手チームにいた小倉隆史に活躍されて、結局、1対5で逆転負けしました。小学生なので、負けて悔しいから泣きました。そうしたら、母親がツカツカと歩み寄ってきて、チームメイトやコーチがいる前でぼくをパチンと平手打ちするんです。「あんたなぁ、負けて泣くくらいなら、もっと一生懸命やんな!」とすごい剣幕で。ぼくとしては「いや、オカン。一生懸命やったのに負けたから、悔しくて泣いてるんや」と思いましたけど、口には出せず(笑)
 
――強烈なエピソードですね。
 
これもいまでは笑い話ですが、母親が応援団長と周りに呼ばれていたのは、ぼくだけじゃなくチーム全員を応援していたからだと思うんです。「走れー!」「負けるなー!」という叱咤激励を、ぼくだけでなくチームのみんなにしていた。それが刺激になっていました。
 
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取材・文・写真 鈴木智之

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