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運動能力

スローインから考える「サッカー以外の競技や遊びをすること」

2012年10月18日

キーワード:スローイン

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「ボールを蹴るのはみんなうまいんですけどね」あるコーチがこうつぶやきました。「子どもたちが遊ばなくなった」「体育が苦手な子が増えた」いろいろなところで耳にする子どもたちの運動能力の低下。スローインができない子どもが増えているといいます。
 
 

■サッカーに上半身はいらない?

「手を使わない」というのが絶対的なルールのサッカー。そのなかで、GK以外のフィールドプレイヤーが唯一、手を使ってするプレーがスローインです。子どもたちのサッカーを見ていると、スローインが上手く投げられずに、何度もやり直しをさせられて、ファウルスローを取られるシーンをよく目にします。普段あまり練習していないと、少し上の大会に行ったときにファウルスローを取られて動揺してしまうこともあるようです。かと思えば、スローインをセットプレーの戦術に組み込んで徹底的に利用するチームもあります。これには賛否ありますが「サッカー選手だから足下のボールさばきだけが上手ければいい」というわけではありません。
 
 身体が強いだけ、足が速いだけではなく、身体の芯から出てくる強さや速さがボールスキルにも大きな影響を与えます。たとえばかつての中田英寿選手のように大柄な外国人選手に当たられても身体を上手くコントロールして当たり負けしない、香川真司選手のようにストップ&ゴー、サイドステップの一瞬のスピードで相手の裏をとる。上半身の使い方も含めた基礎的な運動能力は、サッカーのテクニックにも関わってくる重要なものです。
 
 

■やり投げとスローイン

 長崎・国見高校が平山相太選手、中村北斗選手(北斗選手のお兄さん、隼人選手はプロ野球選手)、兵藤慎剛選手らを擁して優勝を果たした2003年全国高校サッカー選手権で、当時2年生の城後寿(現・アビスパ福岡)が取材陣に囲まれていました。当然、平山選手に注目が集まる大会だったのですが、城後選手のロングスロー、下級生ながら身体を生かした粘り強いディフェンス(当時はストッパーでした)に取材陣も興味を示したのです。そこでは城後選手が中学時代にサッカーと並行して陸上競技の「やり投げ」をしていたこと、しかもジュニアオリンピックで4位になったことが語られました。その後、城後選手は持ち前の身体の強さを武器にDFからFWまでこなすスーパーアスリートに。現在、アビスパ福岡で独特の存在感を持つストライカーとして活躍しています。
 
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■相乗効果に期待! いろいろなスポーツをしてみる

「昔は投げ方っていうのは教わらなくてもできたんだよな。遊びでも一度は野球をしたことあったからなあ」
 
 これもサッカーコーチのつぶやきです。ボールを投げるというのはかなり特殊な動きのようで、昔はサッカー部でも校庭で行われた野球に参加することで片手投げとは言え“投げる”ことを体感する機会がありました。最近はサッカーの技術があっても他のスポーツをしない子どもたちが多いようで、どこかアンバランスだというのです。アメリカではアメフトやバスケット、野球、寒い地域ならアイスホッケーをかなりのレベルまで掛け持ちでやることは珍しくありません。あのマイケル・ジョーダンもMLBに挑戦していましたね。
 
 プロスポーツの世界では、トレーニングの一環として他の競技を取り入れることが多くなってきています。「サッカーはサッカーをたくさんすることで上手くなる」これも真理なのですが、普段使わない回路にアクセスして身体を動かすことで運動能力がアップしたり、本来の競技にプラスの影響を与えるというのが、いまのトレーニングに対する考え方の主流です。身体感覚を柔軟に吸収できる子どものうちにいろいろなスポーツをやることも、実はサッカーの上達の秘訣なのかもしれません。
 
 スローインの正しい投げ方やコツというのは確かにありますが、日々の練習の中に取り入れているチームもあります。ではなぜ、スローインが苦手な子どもが増えているのか。それが冒頭の「子どもたちが遊ばなくなった」「体育が苦手な子が増えた」につながっているのではないでしょうか。下半身の力を上手く上半身に伝えてスローインを遠くに飛ばす。上半身の力を上手く使って強いボールを蹴る。上半身と下半身をつなぐスイッチが、グラウンドを駆け回る遊びや、他の競技をすることで得られるのかもしれません。
 
 
大塚一樹(おおつか・かずき)//
育成年代から欧州サッカーまでカテゴリを問わず、サッカーを中心に取材活動を行う。雑誌、webの編集、企業サイトのコンテンツ作成など様々 な役割、仕事を経験し2012年に独立。現在はサッカー、スポーツだけでなく、多種多様な分野の執筆、企画、編集に携わっている。編著に『欧州サッカー6大リーグパーフェクト監督名鑑』、全日本女子バレーボールチームの参謀・渡辺啓太アナリストの『なぜ全日本女子バレーは世界と互角に戦えるのか』を構成。
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文/大塚一樹 写真/サカイク編集部

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