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スペイン人に聞く。日本人コーチの疑問

選手のレベルが均一でない"町クラブ"での指導法は?

公開:2012年3月 8日 更新:2013年6月 6日

キーワード:スペイントレーニングバルセロナ知のサッカー練習育成

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サッカーサービスが監修・制作したDVD『知のサッカー』は、育成年代の指導者から大きな反響を呼び、多くの感想や質問がサカイク編集部に寄せられました。そこで多くの日本の指導者に共通する疑問について、サッカーサービスのジョアン、カルレス、ダビッドの3人に答えてもらいました。
 
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今回のテーマは、サッカーサービスが提唱するグローバルメソッド(試合とほぼ同じ状況を再現することによって、サッカーで大切な『状況把握』『判断』『実行』の3つをバランスよくトレーニングすることができる方法)を、指導現場に落とし込む際の疑問についてです。
 
グローバルメソッドについての解説記事はこちら>>
 
【質問内容】
日本の町クラブでは、技術レベルの高い子と低い子が混在しています。グローバルメソッドで練習する場合、ある程度のトラップ(ボールコントロール)能力を持った子でないと、ミスが出て練習にならないと感じます。
 
トラップ能力が低い子どもであっても、グローバルメソッドで練習をしながら、トラップ能力を高めたほうがいいのでしょうか。それとも先にアナリティックトレーニング(反復練習)をして、トラップ能力をある程度身につけてから、グローバルメソッドの練習をしたほうがいいのでしょうか。
 

■カルレス:数的優位の状況を作る

グローバルメソッドで、様々なコンセプトをトレーニングすることは可能です。そのなかで必要なのは、子どもたちのレベルに合わせて、練習メニューをオーガナイズ(構築)することです。たとえば、トラップ(ボールコントロール)を身に付けたいのであれば、攻撃側が数的優位となる状況を作ってトレーニングをします。
 
数的優位なのでプレッシャーもそれほど厳しくなく、ボールを止める時間もスペースもあるので、トラップのトレーニングとして有効です。また『ボールをコントロールする』という技術面だけでなく、『いつ、どこへ』コントロールしたほうがいいのかを学ぶこともできます。アナリティックトレーニングでは『どのようにコントロールをするか』という技術面だけの練習になり、状況把握と判断が欠けてしまいます。
 
グローバルメソッドでは、技術の動作部分で完璧を求めることはできないかもしれませんが『いつ、どこへ、どのようにコントロールするか』を同時に学習することができます。複合的なトレーニングで身に付けた技術は、実戦で発揮しやすくなります。
 
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■ダビッド:レベルに応じて人数などの条件を改善する

ボールコントロール(トラップ)を身につけたいのであれば、アナリティックトレーニング(反復練習)で鍛えることも可能です。実際に、サッカーサービスでもトレーニング全体の2割はアナリティックトレーニング(反復練習)を用いています。たとえば、選手2人が向かい合って立ち、その前にコーンを置きます。ボールを持った選手が向かいの選手にパスをし、ボールを受ける選手はコーンの横にトラップをして、向かいに立つ選手にパス。受ける選手はコーンの横へボールを通してパス……という動きを繰り返します。これがアナリティックトレーニング(反復練習)です。
 
しかしカルレスが言うように、この練習でも『ボールをコントロールする』という技術は学ぶことができますが、『いつ、どこへ、どのように』コントロールするかという、状況把握、判断の部分は鍛えることができません。トレーニングの例としては、攻撃側に数的優位を作ったトレーニング(3対2)などで、トラップだけでなく、状況把握、判断、すべてを同時にトレーニングします。
 
3対2だとミスが出て、トレーニングにならないのであれば、攻撃側を1人増やす、あるいは守備側を1人減らす、フリーマンを入れる、ゴールの数を増やすなどして、難易度を調整します。そのなかで、「ボールコントロール」というテーマに沿った場面が出るように、練習メニューを改善していきます。
 
 

■ジョアン:グローバルメソッドがサッカーのレベルアップに直結する

アナリティックトレーニングでは、トラップをしてパス、トラップをしてパスという動作は学ぶことができます。一方、グローバルメソッドでは、相手(敵)がいるので、動作を学ぶのと同時に、選手は『いつ、どこへ、どのようにトラップするか』を考える必要性が出てきます。トラップをミスすれば相手にボールを奪われてしまうので、ボールを受ける前に周りを見ないといけません。
 
アナリティックトレーニングの場合、相手がいないので、ボールを受ける前に周りを見る必要もなければ、判断の必要性もありません。唯一、動作をしっかりと実行するだけです。テクニックはアップするでしょうが、技術を実戦で活かすための『判断力』は身につかないでしょう。グローバルメソッドは、我々が考える「賢い選手」を育てるためのトレーニング方法であり、サッカーのレベルアップに直結するものです。
 
 
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ジョアン・ビラ・ボスチ(写真:中央)//
Joan Vila Bosch
FCバルセロナでクライフと共にプレーし、引退後はバルサの下部組織で14年間監督を務めた。現在はバルサのメソッド部門ディレクターとして、下部組織におけるトレーニングの進化・改善、コーチの指導を担う。監督時代はシャビ、プジョルなど現在のバルサの中心選手を育てた。
 
カルレス・ロマゴサ・ヴィダル(写真:右)//
Carles Romagosa Vidal
FCバルセロナ下部組織の監督として5年間活躍し、ボージャン、ピケ、セスク・ファブレガスらを指導。また、スクールディレクターを務めた経験を持つ。現カタルーニャ・サッカー協会 副テクニカル・ディレクター兼プロジェクト・コーディネーター。
 
ダヴィッド・エルナンデス・リヘロ(写真:左)//
 David Hernández Ligero
現在、サッカーサービス社においてテクニカル・ディレクターとしてクラブコンサルティングを担当。また、プジョルのパーソナルトレーナーを務めた経験を持つ。カタルーニャサッカー協会副テクニカル・ディレクターやVic大学「フットボール方法論」教授などを兼任する。
 
 
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取材・文/鈴木智之、写真/小川博久、取材協力/株式会社Amazing Sports Lab Japan

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