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チームでの経験が、卒業生の社会での自立や挑戦の原動力に 「サッカーで輝く社会人の育成」を目指す札幌中央FC

公開:2025年7月10日

キーワード:サカイク認定パートナー制度札幌中央FC

「プロサッカー選手を100人育てるより、サッカーで輝くことのできる社会人を100人育てたい」と掲げる札幌中央FC。

社会で活躍する卒業生たちを輩出し、育成の体現につながっている取り組みについて、明 真希代表に話をうかがいました。
(取材・文:木村芽久美)

 

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■勝利至上主義だった指導スタイル。子どもの声をきっかけに、子どもの主体性を尊重する育成主義へ

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元々、高校までを東京で、大学は北海道の大学に進み、その後北海道リーグで選手として活躍していた明さんは「指導者が代わってしまい、コーチがいなくなってサッカーが楽しくなくなった」という子どもたちの声をきっかけに、退職金でサッカーゴールを購入し、札幌中央FCを設立します。

当初は育成を掲げていたものの、遠征の移動バスで『スクールウォーズ』を流すほど、勝ちにこだわる熱血指導スタイルだったそうで「育成の本質を知らなかった」と振りかえります。

しかし徐々に子どもたちの声に誠実に耳を傾け、チーム内でコミュニケーションを丁寧に重ねていき、子どもの主体性を尊重する、現在のような育成主義になっていったのだそうです。

 

■挨拶・時間・持ち物管理などの社会的マナーを重視する一方、人間性の育成も大切に

札幌中央FCでは準備や後片付け、用具管理を子どもたちで行い、高学年が低学年を自然にサポートする体制が根付いているのだそうです。

「ビジネスマナーなんて大きなことを言うつもりはないですが、きちんと挨拶ができること、時間が守れること、必要な持ち物は必ず持ってくることをチームで約束しています」

ところが先日体育館練習で室内シューズを忘れた子がいたそうです。「いつ持ち物の準備をしているの?」と明監督が聞いたところ、チーム内で徹底している前日準備が出来ていなかったのです。

その時、ある子が「監督、僕のフットサルシューズを貸してあげていいですか?」と、自分の予備シューズを貸す提案をしてくれたのだそうです。忘れた子には準備や持ち物の大切さについて指導した上で、その子の提案を受け入れ、了承したのだといいます。

規律には厳しくする一方、日頃から子どもたちがリラックスして取り組める雰囲気づくりや失敗も学びとして活かし、仲間同士でサポートし合うことを大切にしているのだそうです。子どもたちが安心できる環境、指導者との信頼関係があって、人間性が養われるのだといえます。

 

■社会で輝く人材育成を体現。指導者や社会で活躍する卒業生を輩出

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チームには指導者になって戻ってくる卒業生もいるそうで、戻ってきて指導に関わる「循環」ができています。

また、卒業生たちは多様な進路を選択していて、世代別女子日本代表候補として選手として活躍したり、Jリーグの育成組織クラブで活動後に国立大学現役合格者もいます。
あるOGは救命救急士になり、他にも北海道庁職員や美容師、コンサルタント業など、それぞれ多方面で活躍しているそうです。この中から指導者として関わる子たちも多くいます。

「みんな自分の子なんですよね、結局」と話す明監督は、卒業後もコミュニケーションを取り合っているといいます。

愛情深く、子どもたちと真摯に向き合っていることが、社会で輝く人材育成の実現につながっているのです。

 

■最終的に子どもたちに結びついてほしいのは、感謝の気持ち。今後の目標は、地域の誰もが楽しめるグラウンド作り

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明監督は、特にサッカーをさせてくれた保護者に感謝の気持ちを持ってもらいたいといいます。

「子どもたちにはサッカーをやりたいんだったら勉強をちゃんとやろう、家の手伝いをしようって常々言っています」

今後の目標は、保護者にも一部協力してもらい、購入した念願の人工芝のグラウンド
を、選手たちの小さな弟妹たちをはじめ、誰もが楽しめる場所にしていきたいそうです。

具体的な構想としては、チームでは障がいや特別支援学級の子どもも受け入れていることから、サッカーに限らず車椅子でも遊べる砂場の導入を検討しているそう。

元々U-15でも男女混合チームにするなど多様性を尊重していて、インクルーシブなチームとしての進化も目指しています。

卒業生たちにもチーム運営に関わってもらうビジョンがあり、「このチームでの経験が、サッカーから離れてもそれぞれの人生の軸になってくれたら嬉しい」と話し、サッカーで子どもたちの人生が豊かになるような活動をこれからも続けていきたいと笑顔を見せます。

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取材・文:木村芽久美

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