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バルセロナ発!賢い選手を育てる指導法

子どもたちが「興味を示すプレー」に対して指導を行う

公開:2012年5月25日 更新:2013年6月 6日

キーワード:スペイントレーニングバルセロナ知のサッカー練習育成

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『知のサッカー』でおなじみ、FCバルセロナのメソッド部門責任者をつとめるジョアン・ビラ氏。今回も引き続き「年齢に応じた指導の重要性」について解説してもらいました。
 
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■6、7歳の子どもはエゴイスティック

前回まで年齢に応じた指導の重要性について話をしました。例にあげたように、6、7歳の子どもはエゴイスティックなメンタルを持っていて、自分がサッカーのプレーでしたいことと、そうでないことがはっきりしています。スペインの中くらいのレベルの子どもたちはボールの周りに集まり、攻撃でも守備でも「自分のやりたいプレー」をすることだけを考えています。ドリブルをしている選手に対して、指導者が「パスをしよう!」といっても、ボールを離したがらず、自分でシュートを打つことが頭の中を占めています。
 
そのような状況の子どもにパスの仕方、サポートの仕方を説明しても、積極的に理解しようとはしてくれません。一方で、ドリブルやシュートについては、興味を示してくれます。ドリブルであれば、ボールを取られないために気を付けることなどを教えます。それは「スペースがあるときはボールを離しても良いが、相手が近くにいるときには、自分の足元にボールを置いたほうがいい」というようなことです。このような指導内容であれば、子どもたちは集中して、指導に興味を示してくれるでしょう。なぜなら、私が指導している内容が、自分がしたいプレー(ドリブル)に直結するからです。ほかにも、ボールをキープするときの腕の使い方について指導をした場合、興味を示してくれるでしょう。子どもたちにとって、ボールを取られないことは重要なことだからです。
 
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■組織プレーへと移行するのは10~12歳

子どもたちがやりたいこと、知りたいことについて指導をすれば、興味を持って耳を傾けてくれます。とくに6~9歳といった低年齢の時期は、子どもたちが吸収できるであろう、興味を持っている内容を指導することが重要だと考えています。エゴイスティックな気持ちが強い年代の子どもに、ドリブルをして相手を引き寄せ、フリーの味方にパスをするといった「味方のためにプレーする」ことを理解させるのは難しいと思います。指導者が「パスをしろ」と命令すればやりますが、なぜパスをしなければいけないかは、なかなか理解することができないでしょう。
 
10~12歳になると、チームメイトと助けあってプレーすることに意識が向き始めます。チームとして完全にプレーしているわけではありませんが、エゴイスティックなプレーが減り、組織プレーへと移行する時期でもあります。この年代の子は、チームメイトと協力する気持ちが芽生えているので、それをつなげる『パス』のトレーニングをする必要性が出てきます。なぜパスをするのか、なぜパスが有効なのかをしっかりと理解した上で、パスをすることができるようになります。うまくパスをするためにドリブルでボールを運び、相手をひきつけることによってチームメイトがフリーになり、より広いスペースでボールをもらうといったプレーを理解することができます。
 
私は選手時代、指導者に多くのことを教えてもらいました。12歳のときの指導者は、私にサッカーのすべてを教えようとしました。14歳のときの指導者も同じです。そこで、どのようなことを学んだかというと……なにもありませんでした。いいドリブラーになれたわけでも、よいパサーになれたわけでもありません。しかし、学校では6歳の時に足し算、引き算を教えてくれました。1年間、それだけをやっていました。そして身につきました。ある特定の年代でひとつのことをしっかりと教えてくれる人がいたからです。サッカーも同じように、ある特定の期間に限られたことをしっかりと指導することが大切なのです。
 
 
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ジョアン・ビラ・ボスチ//
Joan Vila Bosch
FCバルセロナでクライフと共にプレーし、引退後はバルサの下部組織で14年間監督を務めた。現在はバルサのメソッド部門ディレクターとして、下部組織におけるトレーニングの進化・改善、コーチの指導を担う。監督時代はシャビ、プジョルなど現在のバルサの中心選手を育てた。
 
 
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取材・文/鈴木智之、写真/小川博久、取材協力/株式会社Amazing Sports Lab Japan

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