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年中夢求 「夢を叶える力」「よりよく生きる力」の育て方

主体的なチャレンジを後押しするのも信頼関係があってこそ。子どもの成長力を高めるただ一つの方法

公開:2019年8月 7日

キーワード:1日100分24時間をデザインやる気凡事徹底大津高校川崎フロンターレ巻誠一郎平岡和徳年中夢求植田直通、谷口彰悟車屋紳太郎部活動鹿島アントラーズ

誰にとっても1日は24時間。時間は有限で、使い方は無限だから、24時間をデザインして勉強も日常生活もサッカーのために還元する。練習時間は1日100分。当たり前のことを人並み以上に徹底してやり抜く「凡事徹底」を理念に掲げる大津高校。

九州の小さな公立高校のサッカー部を全国の常連に育て上げ、これまで巻誠一郎、植田直通、谷口彰悟、車屋紳太郎など約50名のJリーガーを輩出した名指導者・平岡和徳さん(大津高校サッカー部総監督/宇城市教育長)の新著「年中夢求」は、家庭教育、学校教育、地域教育を通して子どもたちの「夢を叶える力」「よりよく生きる力」の育て方についてつづった1冊です。

今回はその中から子どもたちの夢中を育てる、これからの学校教育について内容を少しだけお送りします。最終回となる第五回目は、子どものチャレンジする機会を奪う「過保護」など親のスタンスについてお送りします。子どもの成長力を高める方法とは。

<<第四回:成果を出すことよりも大事なこと。子どもの心に火をつける大人の接し方とは

 

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大人が良かれと思って手を出してしまうことが、子どものチャレンジする環境を奪ってしまうので気を付けてほしいと語る平岡氏

 

■過保護になっていないか?

――30年以上の教師経験を通して、保護者に求めることというか、こういうことで協力してほしい、理解してもらいたいというものはありますか?

平岡 過保護にならないことが一つですね。大事なのは、見えないところで、本人たちが自発的にやることから発生する人間力です。チャレンジすること、前向きに、ポジティブに取り組んでいく主体性だと思います。しかし過保護だとそこにブレーキがかかり、ポジティブに取り組もうとする機会や環境も奪ってしまうんです。最善を尽くしているつもりで実はチャレンジする環境を奪う親が増えていくと、子ども達が成長できる場所はなくなってしまいます。

愛情は注いでいいし、保護も必要です。しかし本当にそれがベストなのか、チャレンジする場所を奪っていないかを、いつも判断しなければいけないと思います。ですから、子どもが何かにチャレンジできたかどうかは、親としてのスタンスが正しいかどうかを確認することになると思います。

 

――「それは危険だから、やらせないでくれ」というのではなくて、チャレンジできたかどうかを見るべきだと。

平岡 親が安心するのは、弁当箱がカラになって帰ってくることや、泥だらけの練習着を持って帰ることだったりしますね。それで、「子ども達がチャレンジして頑張ったんだなぁ」と感じられると思うんです。もちろん、確認の仕方は親によって違うと思います。たとえば15歳で家を出て下宿へ送り出すのであれば、その時点で特別の信頼関係ができていているとも言えます。家庭教育の中で判断できる材料を積み上げた結果として、子どもが自ら「自分はあそこに行ってチャレンジしたいんだ」と言ってくるということは、そこまでの家庭教育が成功しているということだと思います。その決断そのものが大きなチャレンジなんですから。

 

――ということは、幼い頃でも、子どもが何かやりたいと主張するのであれば、その欲求を尊重する方が良さそうですね。

平岡 その手前に、「この子はこれが好きなんだな」「これに興味を持っているんだな」と、親にしかわからない部分をきちんと見て、家庭で共有し、それを理解しておかなければいけないでしょう。親だからこそ分かるという部分をたくさん持っていれば、子どもは安心できます。食べられないものが出されたときも、「アレルギーなのでだめなんです」と退けてやれば命を守れますが、そのことを知らない、言わないでアレルギーのものを食べたら、アナフィラキシーショックになるかもしれませんよね。そこにも、安心で安全な場所かどうかという、親と子どもの信頼があるわけです。

やはりその子のストロングな部分、ウィークな部分は、関わる大人全員が共有しておくべきだと思います。

 

■自分や他人を「責める」のではなく、問題を「攻める」

平岡 どうすれば「よりよく生きる」ことができるか、子ども1人ひとりに対する配慮を変えていかなければいけないと思います。子ども達は誰1人同じではないし、双子でも違いますから。サッカーの指導でも、個性に応じて、タイミングを見てポジションを変えたり、適材適所を意識しながら子どものやりたいことにチャレンジさせたり、自由な発想を優先した方が成長力は増すんです。

型にはめると、その指導者以上の選手はできませんし、個性も消されてしまいます。それを無理やり作ろうとすると、大好きで夢中に頑張っていたこともどんどん嫌いになって、その場所に居ることすら嫌になってしまう。そこで環境を変えられればいいんですが、学校を簡単に変えるわけにはいきませんし、合わない先生とずっと一緒なら、その子の未来に対してはリスクにもなりかねません。

 

――自分ではどうにもできないことに直面して、次の段階へ進めないということもありますね。

平岡 人間というのは、何かがうまくいかなくなると、環境のせいとか、他者のせいにしたくなるものです。でも、そういうふうになっている時は、その空間の成長が止まっている時なんですね。人のせいにしたり、環境や物のせいにしたりするときは、親も子どもも停滞している時です。そうではなく、自分のフィルターを通して目の前の出来事を受け入れて、自分を責めず、人も責めず、問題を「攻める」ことが大事なのかなと思います。自分を責め過ぎても人を責め過ぎても結果は変わらないわけですから、発生した課題や問題を攻めていくという、前向きでポジテイブな方向を意識することが重要だということです。

 

本当に授業に夢中になっている子は、「ここはどうしてこうなるんですか?」「ここをもうちょっと詳しく教えてください」というふうに、終わってすぐ、目の前の疑問や問題に対して質問ができるでしょう。それはスポーツも、芸術も音楽も同じで、興味が湧いて、自分から進んで取り組めているサインのひとつなんですね。

最終的に「夢中になる」ということは、人を責めたり自分を責めたりするのではなく、発生する問題に対して前向きに攻めていけることではないかと思います。

 

<<第四回:成果を出すことよりも大事なこと。子どもの心に火をつける大人の接し方とは

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取材・文・写真:井芹貴志

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