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子どもの習い事 サッカー×「?」 一番伸びるのはどれだ?

サッカー×英語? コミュニケーション能力が高まる語学系の習い事

公開:2014年1月27日 更新:2014年1月31日

キーワード:コミュニケーション語学力

 サッカーに効く習い事について考える連載の3回目は、語学にスポットを当てます。いまや世界に飛び出していくのが当たり前になった日本のサッカー選手たち。彼らが口を揃えて必要だというのが「語学力」です。机では学べないサッカーをうまく使った語学習得の場が増えているようです。
 
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U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2013
 

■いまやサッカー選手に不可欠な語学力

 サッカー選手として活躍するためには何が必要でしょうか? サッカーの技術、才能、スピード、個性、自分だけの武器を持つことも大切なことです。日本の選手が海外で活躍するのが当たり前になったいま、これらの要素とともに必要不可欠になってきているのが「語学」の能力です。
 
 ACミランでプレーすることになった本田圭佑選手は入団会見を英語で行いました。用意された例文を読み上げるのではなく、記者からの質問にも答える語学力。語学といえば、日本代表のGK、川島永嗣選手も忘れてはいけません。選手とのコミュニケーションが必要なGKは、即座に意思の疎通が図れなければいい仕事ができません。川島選手は英語とイタリア語は日常会話レベル。スペイン語、ポルトガル語、フランス語、オランダ語もサッカーのコミュニケーションや簡単な会話なら理解できる語学の達人です。
 
 川島選手は海外で活躍できる秘訣について「選手としての技術の高さ、いろいろなことに柔軟に対応できる精神、そして一番は語学だと思う」と語っています。
 
「サッカーは世界共通語」
 
 ボールひとつあれば世界中の誰とでも仲良くなれてしまうサッカーは確かに世界で通じる共通言語です。しかし、チームメイトとのコミュニケーションや細かい戦術、監督の意図を理解するために語学は必須の条件です。瞬時の判断を問われるピッチの中でいつまでも通訳を介してプレーしているわけにはいきません。頭が柔軟な子どものうちに、英語やそのほかの語学を学ぶことは、サッカー選手としても重要なことなのです。
 
U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2013
 

■英語の知識ゼロからはじめるコミュニケーションを鍛える英会話

「How are you?」
「I’m fine!」
 
 都内のフットサル場に集まった小学生が、コーチと英語で挨拶をしています。「I’m sleepy」「I’m hungry」なかにはおきまりの挨拶ではなく、いまの気持ちを素直に表現している子どもたちの姿もあります。バオムサッカークリニック芝浦校では、アメリカ育ちのコーチが、サッカークリニックの前の時間を利用して、英語のコミュニケーションを取り入れた授業を行っています。代表を務める前村大樹コーチはまだ20代。「サッカーだけでなく子どもたちのいろんな可能性を広げたい」と、アメリカから帰国してきた長岡央士コーチとともに英会話のコースを試行錯誤で実施しています。
 
「大切なことは英語が話せるようになることよりも、コミュニケーションできること。教科書ではなく、もっとソーシャルな英語を、身体を使いながら学んでほしい」
 
 長岡コーチは、日本の子どもたちの「シャイ」な一面を見て、英語を話すことでもっとコミュニケーション能力が高まるのではないかと、別の相乗効果にも期待しています。
 
「サッカーと似ているところがありますよね。失敗を恐れて話さない。モジモジしてしまう。そうじゃなくて間違ってもいいし、身振り手振りでもいいから、まずはやってみること、伝えようとすることが大切だと思います」
 
 英語で話す長岡コーチの傍らで極力子どもたちの英語での理解を妨げないようにヒントを与える役の前村コーチも、コミュニケーション能力はサッカーにも共通するスキルだと言います。この日授業を受けた小学2年から4年生だという子どもたちは、英語の基礎知識はほとんどない子どもたち。授業をはじめた昨年10月から毎週少しずつ覚えた単語を組み合わせて「まずは自分の意見を言うこと」からチャレンジしていました。
 
IMG_0510.jpg
 

■長友成功の秘密? コミュニケートするサッカー選手

 長友佑都選手がイタリアの名門インテルで活躍できた理由にコミュニケーション能力を挙げる人も少なくありません。驚異の運動能力、スピード、圧倒的なスタミナ・・・ずらり並ぶ長友選手の評価のなかに、チームメイトとのコミュニケーション能力があるのです。インテルの選手たちがこぞってパフォーマンスする「お辞儀」は有名ですが、選手からもファンからもチームの一員として認められ、有機的な活躍ができているのは、語学はもちろん長友選手のコミュニケートする能力がずば抜けているからこそなのです。
 
 語学の達人、川島選手は世界に挑戦する日本人アスリートを語学面からサポートする「グローバルアスリートプロジェクト」の発起人の一人でもあります。自身も苦労した「言葉の壁」を打破するサポートをしていこうという試みを、サッカー界でもすでに川崎フロンターレが「グローバルアスリートプロジェクト」の一環で、小学3~5年生を対象にサッカーをツールとして楽しみながら英語を学ぶ「英語×サッカー教室」を開催しています。ネイティブとバイリンガルの講師が少人数で英語を指導する教室は大好評。ぜひ他のクラブにも広がってほしい取り組みです。
 
 コミュニケーションが重要視されるいま、先ほどご紹介したバオムサッカークリニックのように地域のスクールやクラブの中にも、英会話を取り入れたメニューを提供する場も今後増えてくるはずです。
 
U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2013
 

■子どもはみんな天才? 壁さえ取り払えばすぐに話せる!

 いまや当たり前となった海外サッカークラブのスクールでも、練習中は英語やスペイン語が飛び交います。現地コーチが派遣されるキャンプなどでは通訳を介してトレーニングが進行しますが、取材に伺うとスクール終盤には子どもたちの方から積極的に英語やスペイン語が飛び出してくるから不思議です。大人は「英語を知っているかどうか」にこだわって、頭でものを考えてしまいますが、子どもたちは知識不足や発音よりも、伝えること、伝わる楽しさを重視します。恥ずかしさという壁を取り払ってあげれば見よう見まね、聞きまねで言葉は出てくるものです。
 
 英会話教室でも、子どもたち向けにはゲームの要素や体操の要素を取り入れたプログラムを用意しているところが多いと聞きます。目的を持った言葉のコミュニケーションができれば、語学の習得はより早いのかもしれません。
 
 これは川島選手が推進する「グローバルアスリートプロジェクト」の目的にも明記されていることですが、習得した語学はセカンドキャリアでも活かせます。子どもたちも他の言語が話せるようになればこれからの人生にプラスになりますし、たとえ話せるようにならなくても、コミュニケーションの大切さを学ぶことで、内向的な性格が少し外向きになったり、積極的に学ぶ姿勢を身につけたりといった副次的な効果も得られます。
 
 サッカーに効く習い事。将来、世界的なプレイヤーになるための準備として、語学系の習い事はいかがでしょう?
 
取材協力:バオムサッカークリニック(Baum Soccer Clinic)
 
 
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大塚一樹(おおつか・かずき)//
育成年代から欧州サッカーまでカテゴリを問わず、サッカーを中心に取材活動を行う。雑誌、webの編集、企業サイトのコンテンツ作成など様々 な役割、仕事を経験し2012年に独立。現在はサッカー、スポーツだけでなく、多種多様な分野の執筆、企画、編集に携わっている。編著に『欧州サッカー6大リーグパーフェクト監督名鑑』、全日本女子バレーボールチームの参謀・渡辺啓太アナリストの『なぜ全日本女子バレーは世界と互角に戦えるのか』を構成。
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取材・文/大塚一樹 写真/大塚一樹・サカイク編集部(U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2013より)

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