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子どもの習い事 サッカー×「?」 一番伸びるのはどれだ?

ピアノとサッカー? サッカーには音楽・芸術系習い事も効く!

公開:2014年1月20日 更新:2014年1月27日

キーワード:指導育成

1年のはじめにサッカーと「習い事」について考える連載をお届けしています。前回は、他のスポーツや運動の多様性がサッカーの上達にも効果があることをご紹介しました。今回は、運動とは直接関係のない習い事に注目してみましょう。
 
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ボールを蹴っている
 

■サッカーにも効く? 脳が活性化するピアノ

「ピアノが脳を活性化するらしい」
 
 こんな話聞いたことありませんか? 右手、左手を利き手の区別なく動かしながら、五感をフルに使って演奏するピアノは、勉強だけでなく運動にも効くと言われている、人気ナンバーワンの芸術系習い事です。ピアノというと厳しい練習に取り組む英才教育のイメージが強く、まさにピアノ一筋のイメージがありますが、習うだけなら昔やっていたというお父さんお母さんも多いのではないでしょうか。
 
 サッカーとピアノ。なんだか親和性が低いように見えますが、身体を左右バランスよく使い、脳を活性化させるピアノは身体を鍛えるだけでは追いつかない現代の「考えるサッカー」にも好影響をもたらす習い事と言えるでしょう。
 

■ピアニストがプロサッカー選手に?

 2007年、ニューヨークタイムズの紙面に、あるイスラエル人ピアニストの記事が掲載されました。ピアニストの名前はエリシャ・アバス。4歳で高名なピアニストに見出され、11歳の時に世界的名指揮者、レナード・バーンスタインと同じステージに立って演奏。ここまでは「ピアニスト」の話。「サッカーはどこに行った?」と思われるかもしれませんが、彼の人生はここから思いもよらぬ方向に進んでいきます。
 
 14歳の時、アバスに悲劇が襲います。突然精神を病んだ彼は、ピアノが弾けなくなってしまいます。そんなとき、心のリハビリのつもりではじめたのがサッカーでした。アバスがすごいのは、そのあとサッカーに打ち込み、なんとプロのサッカー選手になってしまったところです。子どもの頃からサッカーをやっていたかどうかは定かではありませんが、猛練習を必要とするピアノをやっていた14歳までは、サッカーに割く時間はなかったに違いありません。
 
 伸び盛りのゴールデンエイジ期を終えてサッカーに取り組んだ選手が3部リーグとはいえプロ選手に。にわかには信じがたい話ですが、アバス自身は「ピアノの練習で身に付いた勤勉さが、サッカーでも役に立った」と語ったそうです。
 アバスは2001年に現役を引退。ニューヨークタイムズの記事は引退後にふたたび歩み出したピアニストとして取り上げられた記事なのです。
 
 ピアノの練習がサッカーの技術向上に直接結びついたわけではありませんが、「学ぶのに遅すぎることはない」「どんなことも必死で取り組めば役に立つ」を地で行く元サッカー選手ピアニストのお話。ちょっと考えさせられますよね。
 
 日本のサッカー選手でピアノを習っていた選手と言えば、横浜・F・マリノスユースからトップ昇格、アルビレックス新潟シンガポールを経てヨーロッパに挑戦し、現在はロシアリーグ2部FCウファに在籍するFW斎藤陽介選手が「ピアノマン」の愛称で呼ばれていました。彼は高校2年生までピアノを習い、コンクールにも度々出場していたそうです。
 
試合中
 

■実は親和性の高い音楽と運動

 音楽と運動という観点から近年人気を集めているのがリトミックです。スイスの音楽家で教育家でもあった、エミール・ジャック・ダルクローズが考案したというリトミックは、音楽を通じて心身の発達を促し、自ら考える力やコミュニケーション能力を養うというものです。ボールを使ったりフープを使ったりして遊びながら音楽に合わせて身体を動かす幼児のクラスは、サッカースクールの幼児クラスにそっくり。音楽的素養を身につけてピアノ、運動能力を活かしてサッカーや体操、その両方を活かせるバレエやダンスなど、リトミックはあらゆることの基礎的な動きを学べるようです。指導者の中にもサッカーのベースに取り入れようと考える人が多いのも納得です。
 
 

■「習い事」取り扱い説明書

 運動能力は幼少期に多様な動きを経験して、感覚神経に刺激を与えることによって成長することはすでにご紹介したとおりですが、一見サッカーと関係のない習い事も、様々な感覚器官を刺激する点で、実は好結果をもたらすことがわかってきています。サッカーのためにはサッカーだけ、ピアノのためにはピアノだけ。旧来、道を究めるために必要とされてきたこうした偏った教育は、子どもの心を疲弊させ、燃え尽き症候群(バーンアウト)を生み出す原因にもなります。
 
もちろん何でもかんでも経験させればいいというわけではありません。
 
「子どもの可能性を限定しないために、できるだけ多くのことに挑戦させたい」
「のびのび育てるために極力習い事はさせたくない」
 
 どちらも子どもたちのことを一番に考えた親心です。週のスケジュールがすべて習い事で埋まり、毎日がダブルススクール状態の忙しい子どもが増えていると言いますが、これは確かに行き過ぎ。子どもたちも混乱してしまいます。逆にサッカー一筋! と頑張りすぎて、スケジュールをすべてサッカーで埋めてしまうのもよくありません。
注意していただきたいのは、「習い事」は親が「習わせたいこと」を押しつけるためのものではないということです。子どもの能力を伸ばすために習い事と出会うチャンスを与えてあげるのは素晴らしいことですが、子どもの気まぐれや、取り除ける理由以外で子どもが「やりたくない」と意思表示したものを無理矢理続けてもその子のためにはなりません。
 
親としては子どもたちが自ら進んでやりたいと思えることを上手に見つけてあげることが大切なようです。
 
 
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大塚一樹(おおつか・かずき)//
育成年代から欧州サッカーまでカテゴリを問わず、サッカーを中心に取材活動を行う。雑誌、webの編集、企業サイトのコンテンツ作成など様々 な役割、仕事を経験し2012年に独立。現在はサッカー、スポーツだけでなく、多種多様な分野の執筆、企画、編集に携わっている。編著に『欧州サッカー6大リーグパーフェクト監督名鑑』、全日本女子バレーボールチームの参謀・渡辺啓太アナリストの『なぜ全日本女子バレーは世界と互角に戦えるのか』を構成。
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文/大塚一樹 写真/新井賢一(ダノンネーションズカップ2013より)

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