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技術や熱量の差で3学年ミックスの縦割りグループ分け、学年ミックスで気を付けないといけないことは?

公開:2023年2月26日 更新:2023年2月27日

キーワード:1年生トレーニング学年ミックス教える異年齢3年生

同僚コーチの提案で、1~3年生の学年ミックスチームに分けることになった。技術や熱量でグループ分けをしたが、学年ミックスの練習をする際に気を付けることは? とのご相談をいただきました。

上の学年の子も下の学年の子も成長するというメリットは知られていますが、チームの底上げをするためには、どんな点に気を配ればいいのでしょうか。

今回も、ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、ご自身が現在指導している現場の例を踏まえてアドバイスします。
(取材・文 島沢優子)

池上正さんの指導を動画で見る>>

 

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(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません

 

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<お父さんコーチからの質問>

地元サッカーチームでU-8コーチを指導しています。

U-10コーチの提案により、1~3年生の中でグループ分け(A~C)を行い、各カテゴリーでそれぞれに見合った練習を行うという試みを実施しようとしています。

技術力やサッカーへの熱量でグループを分けましたが、実際のところ私自身はグループ分けに納得がいっておりません。理由は様々ありますが、私自身1年生の子に対し良い環境になるのではと踏み切った以上、取り組んでいこうと思っています。

そこで、学年ミックスの練習で注意すべき点などがございましたら、ご教示お願い致します。

 

 

<池上さんからのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。

学校などでも横割りで活動することが多い子どもたちを縦割りでグループ分けすることは、基本的に悪いことではないと私は思います。

 

■学年ミックスの課題、指導者が気を付けないといけないところ

ただし、技術の優劣でレベル分けしてしまうと、技術が伸びるのがゆっくりな子どもたちが良いプレーをみる機会が減ってしまいます。そこをどう考えるのかは、ひとつの課題でしょう。

もうひとつの課題は、指導の対象が1年生から3年生という最も難しい年代ということ。私自身いろいろ経験してきましたが、この三つの学年は一番扱いにくいと感じています。縦割りの場合、上のほうの学年に下の学年の子をお世話してもらう流れをつくるとうまくいくのですが、3年生に1年生の面倒をみましょうと言っても無理です。

私が運営しているスクールで縦割りのゲームをやろうとすると、1年生は「1年生だけでやりたい」と言ってきます。なぜならば、上の学年である3年生が下級生にパスしないからです。したがって1年生だけで試合をやると、パスできます。それぞれの性格や成長の進み具合などをみて正確にグループ分けしたとしても、非常に難しいようです。

要するに、3年生にはそういった特徴があるのです。サッカーを始めてそれなりの年月が経って、できることが増えてきた。ゴールする面白さがわかってきた。

そうすると、指導者の練習のやり方次第で変わってはくるものの、日本の場合は多くの3年生がボールを持つと自分でドリブルで行きたがります。レベル別に分けるのは悪くないのですが、子どもたちの状況で違ってくることは予想できます。

 

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■縦割りのメリット、チームの底上げにつながるために大事なポイント

縦割りにするのであれば、まずはコーチたちがそのメリットを理解しなくてはいけません。下の学年の子は上手なお兄さんとサッカーをするのはプラスです。これに対し、上の子も下の子に丁寧なパスを出してあげるなど、彼らを使うことを覚えればプラスになります。

そのあたりを深めずに、上手い子は上手い子だけ、技術がまだついていかない子はそこに固めるという発想ではチームの底上げにならないかもしれません。

私の練習では、選手同士でコミュニケーションを図るよう伝えます。例えば「先に名前を言ってからパスしよう」と呼びかけます。そのほうが自分にパスが来ることを予想できてわかりやすいはずです。

ほかにも「外に開いて」とか「裏に走って」といったコーチングをするよう指導します。そうすると実際にうまくいくので、子どもたちはみんな納得してくれます。

とはいえ、すぐにできるわけではありません。6年生の子どもがパスミスをした際に「約束おぼえてる? 名前、呼んだ?」と尋ねると「呼んでいない」と言います。「〇〇君、いくよ」って言ってパス出せば? と話しても、そこを覚えておいてプレーできません。ずっと考え続けられないようです。

であっても、時間をかければ、名前を呼んで相手に合わせたパスが出せるようになります。上級生にとっても、異年齢でやる意味は大きいのです。

 

■時には上の学年に挑戦させたり、学年対抗戦などの調整をしよう

とはいえ、前述したように3学年でサッカーをするのは難しいものです。3年生が勝手にやってしまう、ということはきっと起こるでしょう。その場合、3年生を6年生と一緒にやる時間も設けてください。3年生が6年生からパスをもらってゴールするといった体験をしてもらうのです。

例えば、3~6年生の縦割りでゲームをする際「3年生がゴールしたら3点ね」といった工夫をすると、子どもたちは勝ちたくて3年生にボールを集めるようになります。加えて、私は「君たち3年生は、1年生にどうしてあげたらいいかな?」と子どもたちに問いかけます。

そのように働きかけたとしても、子どもは毎日気持ちが変わります。3年生がうまくできない日もあります。そんなときは3年対1年、3年対2年というような学年対抗戦を行ったりします。

そうすると、1年生は懸命に守ろうとしますが、体格差やスピード、技術の差はあるので1年生は歯が立ちません。点差がついてきたら、「じゃあコーチが1年生のほうに入ろうかな」と私が入ったりして調整します。

 

次ページ:その人数でないと獲得できない技術、成長がある

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コーチからの【チーム指導の悩み】に池上正さんがお答えします(例:年代がバラバラなチームの練習メニューなど)※記事になります
※質問の文言を記事にさせていただくことがあります。その際はプライバシーには配慮します。
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