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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

「そうじゃない」「○○へ出せ」指示命令ばかりのベテラン指導者のやりかたを改善する方法はある?

公開:2023年2月10日 更新:2023年2月13日

キーワード:コーチングベテランコーチ低学年指示命令考える力肯定する

「そうじゃない」「左のスペースへ出せ」など指示命令ばかりのベテラン指導者の声掛けを受けている子どもたちから笑顔が消えた。

まだU-8だしサッカーが嫌いにならないよう、改善してほしいけど何かアイデアはない? と悩むコーチからご相談。

今回も、ジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんが、ベテランコーチとの対立リスクを避け、少しずつ改善するための方法を伝授します。
(取材・文 島沢優子)

池上正さんの指導を動画で見る>>

 

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(写真は少年サッカーのイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません

 

<<主要メンバー病欠により苦肉の策で「勝つための作戦」を授けたが、そのやり方は間違いか。指導者としての選択を教えて

 

<お父さんコーチからの質問>

「そうじゃない」「ちがーーう」「もっと前」「左のスペースへ出せ」等の指示命令コーチングをされる定年を迎えたコーチ歴が長い指導者がいます。

試合や練習時のミニゲーム中にこのような声かけをされた子どもたち(U-8)からは笑顔がなくなり、楽しくサッカーができていません。

半年ほど前に、このような声かけではなく子ども達が良い判断でプレーしようとしたときにそれをまずは認めてあげて肯定してあげるような声かけをお願いしたのですが改善されず困っています。

この年代に期待して張り切っているようですが保護者さんからの反応も良くなく。

一部の子は聞く耳持たず「また何か言ってるわ」程度で受け流す事ができるのですが、全員がそうではないのでフォローが大変です。

そのコーチの方がいないときは笑顔でサッカーをおもいっきり楽しんでいるので少し安心なのですが、このまま改善されないとサッカーが嫌いになってしまわないかと心配です。

何か改善方法のアイデアはないでしょうか。

 

 

<池上さんからのアドバイス>

ご相談ありがとうございます。

過度な指示命令は、子どもが自分で考える機会を奪ってしまうことになりかねません。ご相談者様が指摘されているように、子どもたちが委縮してしまい楽しくサッカーができなくなるのは避けたいものです。

では、どうすればいいのでしょうか。

 

■新しい学びを得た指導者たちが未来を変えていく可能性がある

私がかかわっている地域のサッカー協会では、子どもたちを指導する人たちを対象にした独自のライセンス制度を設けています。そこで私はスクールマスターとして講習会を行っています。

参加者は中堅から若いコーチが多いようです。彼らは変化が非常に早く、それぞれの学びたい気持ちが伝わってきます。今まではこうしていたけれど、実はそれは間違っていたのだとすぐに認めることができます。良い傾向だと思います。

一方で、ベテランの人たちはこのライセンス制度にはあまり興味を示さないようです。制度運用を進める人たちにとって悩ましいところでもあるのですが、そのような変化を好まない人たちと、新しい学びを獲得した若い人たちがつながってくれると新しい未来が開けそうです。

若い人たちが少しずつ働きかけてくれれば、今後5年くらいの期間の間に変化できる可能性は大いにあると考えています。

 

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■リスク回避のためにもお伺いを立てるような言い方で少しずつ働きかけよう

ご相談者様も、ぜひ少しずつ働きかける感覚でこの問題に向き合っていただけるといいなと思います。

基本的には、このベテランの指導者と話し合う必要はあるでしょう。ただし、議論が決裂するなどすれば、もしかしたら自分がチームをやめなくてはいけないことにもなりかねません。

残念ながら日本は、意見が違う者同士がすぐに対立してしまう傾向があります。特に、ベテランの方が「若いくせに」とはじき出されてしまう文化があります。

もしご相談者様が「このクラブから出てもいい」と思うなら、きちんと方法論を話し合えばいいと思いますが、そうでないのなら、そういったリスクを回避するためにこのベテランコーチに対し少しずつ働きかけてください。

例えば、ここはこうじゃないでしょうか? とお伺いを立てるような姿勢で聞いてみます。あくまでも「こういうやり方もありますね」という言い方です。

 

■「○○のところはやれてるよ」など、子どもたちを肯定する言葉をかける

ほかにも、このコーチが「そうじゃないだろう」とか「こうしろ」といった否定や指示命令的な声をかけているときに、ご相談者様たちが「いいぞ。うまくいってるぞ」とか「大丈夫だよ」「○○のところはちゃんとやれてるよ」などと言ってあげると、子どもたちは自分たちは肯定されていると感じます。

また、「そうじゃないだろう」という否定は抽象的な声なので、私ならそんなときに「今、何見てた?」とか、例えば「左のスペースは見えてる?」と問いかけます。

もしくはプレー後などに子どもに説明してあげましょう。いまこうなっていたけど、なぜだかわかる? そんなうに対話して「これはどう?」「どう思う?」と子どもに決定権をもたせましょう。

ずっと指示されていると子どもは考えなくなるので、考える力を耕す役目を担ってあげてください。

 

■支持を分解して伝えると同時に、他の選択肢があることも示す

コーチが指示していることの意味を恐らく子どもたちはあまり理解していません。したがって、そこを分解して伝えるのと同時に、それがわかったうえでほかにも選択肢があることを伝えてください。

「君たちならどうする?」
「ほかにどんな方法がある?」
「どうしたいと思った?」

そんなふうに問いかけ続けていると、「いまこうだったから、コーチに言われたところにはパスできなかった」などと自分の主張を言えるようになるかもしれません。そんなふうに言えたり、考えられる子どもをぜひ育ててください。

 

次ページ:教員を目指す大学生でさえ、自分で考える経験が少ない

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コーチからの【チーム指導の悩み】に池上正さんがお答えします(例:年代がバラバラなチームの練習メニューなど)※記事になります
※質問の文言を記事にさせていただくことがあります。その際はプライバシーには配慮します。
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