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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

お父さんコーチは指導者失格? わが子をひいきするから?

公開:2019年5月24日 更新:2019年5月27日

キーワード:えこひいきお父さんコーチキック力移籍足が速い選手起用

自分の子がいるU-10チームの指導者。大きくて足も速いし重要な戦力として起用していたつもりだけど、監督から「自分の子ばかり出さないように」といった注意喚起が。それ以降息子を起用しづらくなった。わが子を贔屓しているように見られないためにはどうすればいい? とお悩みのお父さんコーチ。

今回も、これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんがアドバイスを送ります。

「わが子をどう使うか」を考えている限り、息子さんも他の子も伸びない、という助言の真意とは。(取材・文:島沢優子)

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U-10年代で学ばないといけない事があるのです(写真はイメージです。ご相談者様、ご相談内容とは関係ありません)

<<練習しているのに勝てない。メニュー間違ってますか?

<お父さんコーチからの質問>

はじめまして。

自分が教えている年代(U-10)には自分の息子がおります。監督、コーチ全てパパコーチ(自分の子が所属)というチームです。

先日、監督の方から名指しではありませんが「自分の子を見たい、試合に出したいという気持ちはわかるが割り切って選手起用するように」と全コーチに注意喚起がありました。
それを聞いて、息子をひいきしていると捉えられているのかなと感じてしまい、移籍を考えだしました。

私個人としてはそんなつもりはなく、むしろは自分の子が出ていたほうが良い試合展開になるため、あくまでも重要な戦力として起用しているつもりでした。

ですが、監督からの注意があってからは、私が采配をしない試合では出場機会が減ってしまい、息子だけでもチームを移そうかとも思っています。私自身も息子を起用しづらくなってしまいました。

息子の能力的な部分では、チーム内では1番大きく、足の速さも1、2番手。ドリブルはあまり上手ではありませんが止める、蹴るはしっかりしていると思いますし、蹴るに関しては1つ上のカテゴリーレベルと周りからは言われます。

親だから贔屓目があるかもしれませんが、わが子も伸ばし、ほかの子も平等に起用しているように見られるようになるにはどんな風にすればいいか、ご意見お聞かせください。

よろしくお願いいたします。

<池上さんのアドバイス>    

ご相談いただき、ありがとうございます。

日本の少年サッカーは、ご相談者様のようなお父さんコーチに支えられています。ご自分のお子さんの所属チームでボランティアで指導している方です。サカイクの読者にもたくさんおられるかと思います。みなさん、似たような悩みを抱えているようです。

ほかの選手と同じ目線でみて、同じように扱っているのに、と周囲からの誤解に苦しんでいるようです。その悩みは一見、「わが子との距離の取り方」に見えます。しかし、私はそこが問題ではないと考えます。

何よりご相談者様が考えているような使い方をしていると、息子さんは上達しないと思います。

ここではアドバイスを三つさせてください。

■U-10年代で大事なのは、大きさや速さ、キック力ではない

ひとつめ。

ご相談文の最後のほうに、チーム内でお子さんが1番大きく、足の速さも1、2番手で蹴るに関しては1つ上のカテゴリーレベルだと書かれています。

10歳以下、小学4年生くらいのレベルでは、体が大きくてしっかり蹴れる子がいると危ない局面を一発のキックで返せます。一見、良くできたディフェンスに見えます。また、それが攻撃だとしたら、その選手は遠くからでもシュート打てるので、ある意味、労することなく点が入ってしまいます。

では、このようなサッカーで子どもが伸びるのかといえば、答えは残念ながらノーです。

ボールがきたらドカンと蹴る。
すぐにドリブルをしてしまう。
一対一で仕掛けることは必要ですが、そこにパスを誰につながくかという発想がない

どうしようもなくてドリブルを選ぶ、という順番になっていないでしょうか。

そうではなく、全員がパスを回しながらみんなで攻撃を組み立てる。全員で集中して守る。ボールを奪ったら、簡単に蹴りださずにカウンターへつなげる。

それがサッカーです。

足が速いとか、キックが蹴れるから、といった考え方は、あまりおすすめできません。

まずは、この年代で学ばないといけないものを、コーチであるご自分の中で明確にしましょう。味方と何をするか、誰をどう使うかという思考を植え付けることが重要です。

■チームとして1番の目標は何か

二つめは、勝つことが一番の目標になっていないか振り返ってみてください。

できる子にこんなことを任せれば、このチームは良くなる、勝てるといった発想ではなく、他の子もそれができるようにチームを底上げしてください。

少年サッカーの指導でもっとも優先すべきは、みんなが伸びるように指導することです。それを忘れてはいけません。

だからこそ、「いいところにいる子を速く見つけてパスしてごらん」「パスを出したら走ってもう一度もらってごらん」と声掛けする指導をしてほしいのです。

これは憶測になりますが、息子さんにいつもボールが集まって、息子さんがプレーしている、そんな図式になっていないでしょうか。

ほかの子も含めて、全員がいつも違うポジションでやっている。4種はそのような指導をしたほうが、息子さんのためにもなります。

ワイドアタッカーも、センターバックも、いろんなポジションをやらせる。そして、先発もあるし、ベンチスタートもある。試合に出る順番も同様に固定しません。

次ページ:今の考えでは息子さんも他の子も伸びない

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文:島沢優子

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