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あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]

2018年4月20日

指導で子どもと一緒にプレーするときは全力でプレー? 手を抜くべき?

プレーを見て技術を習得させるため子どもたちのゲームに入るが、自分がいると必ず勝ってしまう。ある程度手を抜くべきなのか、それとも全力で相手をすべきか悩んでいる若いコーチ。ジェフ時代のエピソードや欧州と日本の少年サッカー監督の違いなどに触れ、ヒントを送ります。

これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんはどのようなアドバイスを授けたのでしょうか。(取材・文:島沢優子)

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※写真はサカイクキャンプの写真です。質問者及び質問内容とは関係ありません

<<上手い子がほかの子をバカにする状況を変えたいが......アシスタントコーチの苦悩

<お父さんコーチからの質問>

勝負事で、コーチはある程度手を抜くべきなのか? それとも、厳しさを伝えるため、全力で相手してあげるべきなのか。

私はいま24歳で、小学3年生~中学3年まで指導をしています。

私自身、大学でもサッカーを続けていたので一緒にプレーをしています。そのほうが、プレーを見せることができると思っているからです。

しかし、ミニゲームなど私自身が入りボールを持つと、相手のチームの子どもにボールを触らせず得点を決めることができ、私自身がいるチームが勝ってしまいます。

指導者はどの程度のレベルで相手してあげたらよいのか、何か良いアドバイスがあれば是非よろしくお願いします。

<池上さんのアドバイス>

ご相談、ありがとうございます。

「勝負事で、コーチはある程度手を抜くべきなのか? それとも、厳しさを伝えるため、全力で相手してあげるべきなのか」

ご相談の冒頭、二つの選択で迷っておられると書かれていますが、どちらも違っているかもしれません。

■コーチの役目とは何なのか

ジェフで育成コーチをしていた時代のことです。
ブラジル人で育成のプロフェッショナルであるジョゼとともに、ボールをとられないドリブルとターンを教えていました。練習が終わり、次にゲームになりました。

ところが、子どもたちはトレーニングしたターンやドリブルを試合のなかでまったく試そうとしません。

そこで「じゃあ、Aコーチ、入ってください」と、サポートをしてくれていた若いコーチに試合に入ってもらいました。

ところが、そのコーチは自分の技術を見せるのに懸命で、練習したことを見せようとしません。例えば、バックターンの練習をしたいのに、フロントターンしかしない。そんな様子でした。

ジョゼも困った顔をしています。見かねた私は「はい、Aコーチ、退場。Bコーチ、お願いします」と他のコーチを指名しましたが、みんななかなか見本を見せてくれません。
「おいおい、君たちがやらないと、子どもたちが(ゲームで何をやらなければいけないかを)理解できないでしょ

仕方がないので、最終的に私がゲームに入る。そんなことがありました。

私が何をお伝えしたいのか、もうおわかりだと思います。
コーチが子どもの練習やゲームに入る場合、そのメニューの意図を伝え、スキルを復習できるようにその技術を見せてあげる。それが大きな役目です。

決して自分の得意なプレーや技術を見せるためだけではありません。

■自分たちで課題の解決に向かわせるプレーを選択する

それなのに、特に若い指導者が子どもたちのなかに入ると、自分でプレーしてしまいがちです。なかには、自分のプレーに酔いしれてしまうようなケースもあります。

そうなると、子どもはなかなかボールに触れず、シュートを打つこともできません。誰のための練習かわからなくなってしまいます。

ご相談の方が書かれている「ミニゲームなど私自身が入りボールを持つと、相手のチームの子どもにボールを触らせず得点を決めることができ、私自身がいるチームが勝ってしまう」状態になってしまうわけです。

本来なら、前述のように練習したことを意識させるために一緒にプレーしなくてはいけません。

私の練習を見たことのある方はご存知だと思いますが、私もミニゲームなどで子どものなかに入ります。子どもを使ってゴールをとらせたり、「こんなときはパスしたらいいね」とヒントを与えたり、ワンツーを促したり。そのときのテーマに則したプレーをします。

もしくは、ボールをとられたら「みんなで取り返せ~」とか、奪ったら「みんなで攻めよう!」「どこが空いてる?」といった声掛けをします。チーム全体に足らない部分を、外からではなく一緒にやりながら指摘したり、実践して見せてあげるわけです。

さらにえば、個人の課題を解決するきっかけをつくることもできます。


例えば、ひとりでドリブルしたり、ボールを持ったら離さない子どもはどこのチームにもいますね。そんな子に対しては少しばかり厳しめに守って、その子の個人プレーを止めてあげてください。それをしながら、パスの必要性を訴えたり、「サッカーはみんなでやるもの。チームプレーが大切なのだ」といったサッカーの基本を理解させたりします。

そんなふうに、チーム全体や個人が抱えた課題解決に対応するように、コーチはプレーを選択しなくてはいけないのです。

では、テーマ以外でそのコーチがもつスキルを子どもたちに見せる場面はどこでしょうか。

次ページ:少年サッカーにおける指導者、日本と欧州の大きな違い


■レベルの異なる子どもたちを指導する少年サッカーにおけるコーチの重要性

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※写真はサカイクキャンプの写真です。 質問者及び質問内容とは関係ありません

それは「ボールをとられない技術」です。私たち大人がボールを持つと、子どもたちは一斉にボールを奪い返しに来ます。そのときに、彼らを次々かわして抜け出し、もっとも条件の良いところにパスをする。

そんなスキルを見せてあげてください。すると、子どもたちは眼で技術を理解してゆきます。

いかがでしょうか。
少年サッカーの指導は、ある意味、さまざまなレベルの子どもたちひとり一人を理解しながら、チーム全体のことも把握し、進むべき道を示さなくてはいけません。

日本はコーチになりたての人にジュニアを指導させる傾向があるようです。一方、欧州では、若いコーチが成人を指導し、最もキャリアを積んだベテランコーチが育成年代をみます。そこが日本とまったく違います。

なぜなのか。
その意味をぜひ考えてみてください。

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池上 正(いけがみ・ただし)
「NPO法人I.K.O市原アカデミー」代表。
大阪体育大学卒業後、大阪YMCAでサッカーを中心に幼児や小学生を指導。2002年、ジェフユナイテッド市原・千葉に育成普及部コーチとして加入。幼稚園、小学校などを巡回指導する「サッカーおとどけ隊」隊長として、千葉市・市原市を中心に年間190か所で延べ40万人の子どもたちを指導した。
12年より16年シーズンまで、京都サンガF.C.で育成・普及部部長などを歴任。京都府内でも出前授業「つながり隊」を行い10万人を指導。ベストセラー『サッカーで子どもがぐんぐん伸びる11の魔法』(小学館)、『サッカーで子どもの力をひきだす池上さんのことば辞典』(監修/カンゼン)、『伸ばしたいなら離れなさい サッカーで考える子どもに育てる11の魔法』など多くの著書がある。

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コーチからの質問に池上正さんがお答えします

※質問の文言をご紹介させていただくこともあります。その際はプライバシーには配慮します。

あなたが指導しているチームの年代を教えてください必須

文:島沢優子

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