JFAグラスルーツ推進部部長が行く!あなたの街のサッカーチーム訪問

2017年5月25日

「生涯サッカーに寄り添う人間を増やす」その第一歩であるジュニア年代の育成は楽しさを教えることが大切

サッカージャーナリストの永井洋一さんが代表を務める、『特定非営利活動法人 港北フットボールクラブ』はJFAグラスルーツ推進・賛同パートナーとして賛同するテーマ「みんなPLAY!」を30年前から実践しているクラブです。
 
3年生から参加する公式戦では『サッカーの巧拙にかかわらず全員を出場させ、チームとしての結果よりも個々の成長を見守る』をモットーとしています。2回目の今回は、30年間持ち続けている育成の矜持についてより深く伺いました。(取材・文:鈴木智之)
 
 
<今回訪問した港北FCは以下の賛同パートナーです>
 
 
<<「勝つために運動能力の高い子を優先するのは育成の本質ではない」港北FC永井監督のぶれない信念
 

■人生のサイクルの中でサッカーを好きでい続けてほしい

JFAグラスルーツ推進部の松田薫二部長が試合会場に赴いた際にも、子ども達全員が試合に出場し、見事勝利を収めました。代表の永井さんは「うちのクラブには、競技志向の強い近隣クラブから漏れた子たち、小学校3、4年生からサッカーを始めたい子たちが集まってくるんです。そういう子たちにサッカーを教えて、育成していくのが私の仕事だと思っています」と語ります。
 
その話を聞いた松田部長は「たしかに少年サッカーは競技化が進んでいますが、サッカーを始めたばかりの子、あまり上手ではない子でも楽しくプレーできる環境も必要です。なぜ、永井さんはそのような考えになったのですか?」とたずねます。
 
「昔、日産ユース(現・横浜F・マリノスユース)の監督をしていたのですが、選手がみんな上手なので、簡単に試合に勝ててしまうんですね。最初は鼻高々だったのですが、あるとき『自分が指導者じゃなくても勝てる』と思ったのです。私が考える良い指導者は、能力の低い子たちであっても伸ばすことのできる人。運動能力の高い選手を集めて競争させて、プロのような活動をすれば、誰だって勝つだろうと。そう思ったわけです」
 
永井さんの言葉は明快です。30年に渡り、信念を持って育成に携わってきた矜持が垣間見えます。
 
「それに、サッカーを続けていても、プロになれるのはほんの一握り。スポーツに関わって食べていくことすら難しいのが現実です。そう考えると、たとえばこの試合会場にいる子どもたちが、中学、高校、大学、社会に出てもサッカーを続けて、シニアでもプレーをする。結婚して子どもができたら、子どもにもサッカーをさせて、自分は良い観戦者になって、良い日本サッカーのサポーターになって、サッカーを支える人になってほしい。その第一歩であるジュニア年代を、僕ら育成の指導者は受け持っているわけじゃないですか」
 
「そのとおりだと思います」と、松田部長がうなずくと、永井さんは続けます。
 
「子どもの頃にサッカーをしていたけど、試合にも出られなかったし、コーチも怖かったのでうんざりという子を一人でも減らすことが重要で、せっかく子どもの頃にサッカーに出会ったのだから、サッカーをやっていて良かったなというマインドを持ってもらうことが大切だと思います」
 

■できない子の気持ちを思いやる姿勢を身につけさせる

永井さんのチームに、運動能力が低く、足の遅い、いわく「他のクラブに入ったら、すぐに辞めてしまうような子」がいました。その子が最近、キックのインパクトの仕方を身につけたようで、試合ではロングシュートにチャレンジしていました。
 
「その姿を見ると、サッカーを教えていて良かったなと思います。私は、下手な子に対して文句を言う子は叱ります。キミだって、生まれたときからサッカーがうまかったわけじゃないよね? 練習をしてうまくなったんだよね。彼はいまからうまくなるんだからって」
 
今はチームの中で上手い部類に入る子でも、進学したり、何らかの理由でチームを移籍した場合に必ずしも同じ立場にいられるとは限らないという考えのもと、このような指導をしているのだそうです。
 
今は「上手な子」でも環境が変わるともっとうまい子がたくさんいて「下手な子」になることもあります。そういったときに、弱い方の立場の気持ちを理解していると自分で対応する力があるから、と子どもたちが人生の中で壁にぶつかったときのことも見据えて育成をしている永井さん。
 
松田部長はその話を聞いて、「永井さんのクラブはいろんなレベルの子どもの受け皿になっていますよね。それはすごく価値があることだと思います」と感想を述べます。
 
 
サッカーに生涯寄り添う人を増やすにはどうすればいいか。
 
永井さんはその視点を持ち、子ども達に接しています。そのためにはまず、サッカーを楽しいと感じてもらうこと。さらに他人との比較ではなく、昨日の自分と比べて、どれだけできるようになったのか。真剣勝負の公式戦にみんなが出ることで課題を確認し、うまくなるために練習する。そのプロセスにサッカーの上手い、下手は関係ありません。誰にも等しく大切な行為です。
 
港北FCの「私達のグラスルーツ宣言」は「誰でも絶対に成長することができる!!」です。3年生から4年生、4年生から5年生と学年が上がるに連れて、たしかな成長の跡を見ることができる。港北FCはそんなクラブだと言えるのではないでしょうか。
 

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