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JFAグラスルーツ推進部部長が行く!あなたの街のサッカーチーム訪問

2017年4月 7日

「子どもたちが実践経験を積むために」進級時に部活かクラブユースを選べる仕組みを作った公立高校

キーワード:JFAみんなPlayエンジョイグラスルーツ幕張総合高体連

日本サッカー協会(JFA)グラスルーツ推進部の松田薫二部長があなたの街のサッカーチームを訪ね歩くこの連載。
 
今回訪れたのは千葉県にある「幕張総合高校」。1996年に3つの高校が統合された生徒数2,000名を超えるこの公立高校は、全国的に見ても他にはない新しい取り組みを行っていました。
 
その新しい取り組みとは、サッカー部の島田洋監督と一緒に同部OBたちが中心となってNPO法人「幕総クラブ」を立ち上げ、生徒たちの活動の幅を広げると共に地域に根差したコミュニティ活動の一つの選択肢を作ること。今回は島田監督がクラブを創立した理由と現在の活動についてご紹介します。(取材・文:木之下潤)
 
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<今回訪問した幕総クラブは以下の賛同パートナーです>
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■NPO法人だからこそ学校を使うことができる

開口一番、松田部長がクラブを立ち上げた理由をたずねると、島田監督はこう答えました。
 
「最近は、各都道府県でも公立校の学校解放事業(学校の体育施設を学校教育に支障のない範囲において地域住民のスポーツ活動に提供すること)を実施するところが増えました。でも教員への負担が増え、尻込みしている学校も多くはありません。ただ公立校はグラウンドや様々な設備がそろい、いろんな生徒たちが集まる場所です。日本のスポーツの普及と発展に大きく寄与しているのは間違いなく、『それを利用しない手はないな』と思って幕総クラブを設立しました」
 
なぜNPO法人だったのか。理由は、公立校は税金を使って運営されているため、営利団体への貸し出しができないからです。そこで「幕総クラブ」を特定非営利活動法人にすることで場所の貸し出し問題をクリアし、「幕張総合高校」を地域の人たちにうまく開放しようという考えのもと立ち上げられた総合型スポーツクラブなのです。
 
「最初はうちのサッカー部のOBたちに、卒業してもみんなでサッカーを楽しめる場所があればいいなと思って社会人チームを作りました。立ち上げた頃は地域の子どもたちを集め、大人と子どもが一緒になってボールと戯れるサッカー教室を開いていました。クラブというコミュニティの活動を通して彼らに地域への関心が高まるきっかけになればと考えたからです。当然、チームの練習場としても使おうと」
 
幕張総合高校のサッカー部に入団した生徒は、1年時は全員がサッカー部に所属します。そして、学年が上がるタイミングで毎年自らの意思で部活動かクラブチームでサッカーをするか、どちらかを選択するというとてもユニークな手法をとっています。2016年度には幕総クラブのU-18チームがJユースカップ関東予選でベスト8という成績を残すなど少しずつ結果が出始めていますが、島田さんはユースチームを作った理由をこう語ります。
 
「今でこそ県内でもユースチーム『FC.MAKUHARI』が知られるようになりましたが、もともとは社会人チームが先にできたんです。ユースチームは幕張総合高校サッカー部の入部希望者が増え、高体連、いわゆる部活動の大会やリーグ戦では試合に全く出場できない子が出てきたから作ったのです。もちろん、地域貢献活動を目的に立ち上げたクラブだから、他校の高校生の選手も在籍していますし、ジュニアユースには様々な地域から中学生が集まっています」
 
頷きながらその話を聞く松田部長の顔には優しい笑顔が浮かんでいました。
 

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(写真提供:NPO法人 幕総クラブ)

■生徒たちが自分の選んだ場所で可能性を広げていく

一般的には、幕総クラブのユースチーム『FC.MAKUHARI』は幕張総合高校サッカー部の2軍だと目に映るかもしれません。しかし選手たちはそんな捉え方をしておらず、選択肢の一つだと考えているようです。
 
取材当日、新学期から3年生を迎える『FC.MAKUHARI』の選手たちが数人、練習前に教室で自習をしていたので、松田部長がクラブチームの選手たちに選んだ理由を聞いてみました。
 
ある選手は、「僕は2年生に上がる時にFC.MAKUHARIを選びました。1年生の間は試合が少なく、試合を経験していなかったため、クラブチームの方が公式戦の試合数が多いから『出場のチャンスがあるかな』と思って選びました。実際に公式戦にも出場できるようになったし、仲間とも楽しくサッカーをやれています」とクラブチームへ移籍した経緯を教えてくれました。
 
ほかの選手も「3年生に上がるタイミングで僕はFC.MAKUHARIでの活動を選択しました。2年過ごせば、だいたい部内でどの選手が主力になるかが何となくわかってきます。それでサッカー部に残るよりはクラブチームの方が試合の経験ができそうだったので、3年生ではFC.MAKUHARIでがんばろうと心に決めました」など、自らの意思でクラブチームに移ることを決め、その決断に納得していると語ってくれました。
 
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今年3月に卒業したOBには、2年生をFC.MAKUHARIで過ごし、3年生に進級したときにサッカー部に戻った選手もいたそうです。その選手たちはクラブチームで実戦経験を積むことで実力と自信をつけ、3年生に上がる時に「選手権で勝負したい」と再びサッカー部を選んだと言います。島田監督は「その結果、あの子たちは試合に出場したんですよ」と嬉しそうに語ってくれました。
 
松田部長は選手たちが自分の意思で選んだステージで試合経験を積み、サッカーを楽しんでいることに目を細めます。
 
「高校生年代は強豪校に選手が集まることが多く見られます。だから、サッカー部とクラブチームがあって活動環境を選べることはいいことですね」
 
その意見に島田さんも大きくうなずきます。
 
「子どもたちは公式戦を経験すれば絶対にうまくなるんです。私自身もわかってはいたんですが、幕総クラブを立ち上げて、改めてそのことを再認識させられました。ユースチームを作った当初は『みんなが満足できればいいかな』と思っていたのですが、選手たちは自らのレベルに合った場所で公式戦を経験していけば必ず上手くなるんです。それは卒業生たちが証明してくれています」
 
次回は、幕総クラブのサッカー以外の活動や将来の展望などについてお話をうかがいます。
 
 

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文:木之下潤

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