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JFAグラスルーツ推進部部長が行く!あなたの街のサッカーチーム訪問

2017年1月27日

「障がい者を教えることは、健常者を教えるうえでも役に立つ」障がいを特別扱いしないサッカーコーチの言葉

北海道・石狩市を中心に活動するシーガルサッカークラブを、日本サッカー協会グラスルーツ推進部の松田薫二部長が訪れたのには理由があります。松田部長は日本障がい者サッカー連盟の専務理事も務めており、同クラブが障がい者チームを備えていることに興味を持ったからです。
 
連載2回目は、松田部長が同クラブの代表を務める智田季之さんと一緒に、障がい者サッカーの現状と未来を考えていきます。(取材・文 原山裕平)
 
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<今回訪問したシーガルサッカークラブは以下の賛同パートナーです>
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<<とあるコーチが少年サッカーチームにハンディキャップ部門をつくった理由
 
■障がい者は10人いれば、10人違う
松田「シーガルサッカークラブが健常者と障がい者のチームを両方備えていることに、非常に興味を持ちました。障がい者サッカーが一番進んでいるのはイングランドなんですね。1500くらいチームがあって、そのうちの1300チームくらいが、健常者と同じクラブの中にあるんです。健常者も障がい者も区別なく、混ざり合っている。日本もそういった環境になればと願っているんですが、それを智田さんは具現化されているわけですよね?」
 
智田「チームを立ち上げた当時は、まだ障がい者チームも小学生が中心で、ジュニアユースチームの練習が終わった後に、隣のミニコートで練習をしていたんです。そこに練習を終えた中学生の子たちに4人ずつくらい当番で入ってもらって、一緒に練習やゲームをやらせたんです。バイト代じゃないですけど、弁当をあげるからって(笑)。一緒にやらせると、子どもってすぐに受け入れるんですよね。偏見もなく一緒に一生懸命ボールを追いかけていましたよ」
 
松田「荒川区の中学生の知的障がいの大会に、小学生の健常者のチームが出場して、本気で試合をやっていたのを見たことがあります。そういうふうに子どもの頃に混ざり合う環境があれば、大人になっても偏見が植え付けられなくなる。サッカーにはそういう力があると思うんです」
 
松田部長は、障がい者チームを持つことは、子どもたちだけでなく指導者にも大きな影響があると言います。
 
松田「障がい者は10人いれば、10人違う。何ができて、何ができないか、それぞれをしっかりと見てあげないと指導できないんです。一人ひとりをしっかりと見ることは、健常者を教えるうえでも役に立つと僕は思うんですよ。そういうところにかかわることで、障がいに対する理解や、偏見をなくすことにもつながっていくはず。だから僕は、こういうチームがあるということを、JFAグラスルーツ推進・賛同パートナー制度の中で発信できればと考えています」
 
智田「これは正しいか分からないですけど、知的障がいや、幼児の部門を指導できないと一人前じゃないなと思っています。最低限のことを身に付けている小学校高学年や中学生を見るほうが、ずっと簡単なわけで……」
 
松田「そうなんですよ。それくらい一人ひとりをしっかりと見て、どうやって動かしていくか。そういうことができないと、良い指導者にはなかなかなれないですからね」

 

■同じ環境で特別扱いしないこと

では、智田さんは具体的にどのように障がい者を指導しているのか。そもそも、障がい者にかかわったことがない人はどのように接していけばいいのか。そうした疑問に対し、智田さんは次のように回答してくれました。
 
智田「あまり特別には考えていません。そもそも障がいって、昔はそれほど大げさに捉えられていなかったじゃないですか。人にはそれぞれ個性があり、その集合体として社会がある。それを勝手に分けてしまったのは、こちらの都合なんですよ。本来は隔たりを作るべきではないですし、サッカーもそれと同じ。いかに、みんなと一緒にやらせるかが一番大事なんです。同じ環境で特別扱いしないことですね。どう接していいか分からないとか、怪我したらどうしようとか、そう考える方が多いとは思いますけど、変に構える必要はなく、できることをやらせればいいと思います」
 
とはいえ、障がい者を指導することは、健常者を教えることに比べて苦労もあるはず。指導するうえで特別に気を遣っていることを聞くと、智田さんはゆっくりと、大きな声で、繰り返し、繰り返し教えていくことが大事だと教えてくれました。
 
智田「一番気にかけているのは、何かを説明するときに散らばった状態では集中が欠けてしまうので、全員が見える範囲でなるべく大きな声で、ゆっくり話すことくらいですかね。もちろん一括りに知的障がいと言っても、脳に障害がある子もいれば、運動機能的に問題がある子もいます。したがって、誰もが同じだけ伸びるわけではないですけど、普通にサッカーを教えてあげようとする姿勢は、彼らには伝わるんです。初めからできないと決めつけるのではなく、できるはずだと信じて、繰り返し、繰り返し教えていけば、ゆっくりだけど着実に伸びていくものです。そうやっていくなかで本人たちができたと実感してくれば、こちらとしては満足ですね」
 
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■障がい者が、生涯サッカーをやれる環境を作っていきたい

智田さんの強い想いで障がい者チームは発足しましたが、一クラブだけでは越えられないハードルもあるといいます。指導者の数、活動場所、あるいは対戦相手を見つけることや大会に参加することも、決して低くないハードルとなっています。そこには地域やその土地のサッカー協会といった組織としての協力が求められてきますが、現状、知的障がいサッカーを取り巻く環境は、まだまだ発展途上にあると言えます。
 
それでも智田さんには、高い目的意識をもってこのチームを率いていくという覚悟がありました。
 
松田「今後はどういう風に、知的障がいチームを運営していこうと考えていますか?」
 
智田「今、高等養護学校には、どこにもサッカー部があるんです。そこまではプレーできる環境があるのですが、問題はそのあとですね。うまい選手だけを集めてプレーさせるチームはあるんですが、そうでない選手をどうカバーしていけるか。我々のようなクラブチームがそれぞれの地域にあるのが理想ですが、現実はそうではないですし、続けたくてもできない子はたくさんいると思うんです。だから、私は今、障がい者施設を回って、チラシを配り、こういうチームがあるということをアピールするようなことをしています」
 
松田「障がい者が、生涯サッカーをやれる環境を作っていきたいわけですね」
 
智田「そうですね。これはね、なくしちゃいけないと思うんですよ。別に僕のところじゃなくても、他の地域にあればそれでいいんです。ただ、ここは僕が生きている限りは、つぶしてはいけないと思っています」
 
健常者も障がい者も分け隔てることなく、一つのクラブとして、サッカーをプレーできる喜びや面白さを伝えていく。北国で活動するシーガルサッカークラブには、雪を解かさんばかりの智田さんの熱さがありました。
 

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