JFAグラスルーツ推進部部長が行く!あなたの街のサッカーチーム訪問

2016年6月13日

なぜ、うまい子しかサッカーをつづけられないの? だれもがサッカーを楽しくつづけるために、わたしたち大人にできること

「なぜ、うちの子は遠くまで遠征にいって試合に出られないの?」
「なぜ、サッカーが上手くない子はサッカーが続けられないの?」
 
サッカー少年を子に持つお父さんお母さんの中には、きっとこんな悩みを持つ人も多いのではないでしょうか? 現在、日本サッカー協会でグラスルーツ推進部の部長を務める松田薫二さんも、ずっとそこに疑問を持ってきたひとりです。当連載は、そんな疑問を持つ松田部長があなたの街のサッカーチームを訪問し、少年サッカーの課題解決に努めていきます。プロローグとなる今回は、松田部長がどのように少年サッカーと向き合っているのか、その想いに迫ります。(取材・文 川端暁彦)
 
自身の息子もサッカー少年団に所属していたグラスルーツ推進部・松田薫二部長。
 

■本腰を入れて草の根から変えていく

2014年5月15日、日本サッカー協会は「Football For All サッカーを、もっとみんなのものへ。」と題するグラスルーツ宣言を発表しました。その内容は以下の通り。
 
年齢、性別、障がい、人種などに関わりなく、だれもが、いつでも、どこでも。
私たち日本サッカー協会は、サッカー、そしてスポーツの持つすばらしさをもっともっと、たくさんのみなさんと分かち合い、育みたいと考えています。
 
・だれもが、サッカーの楽しさに触れられるように!
サッカーとのすばらしい出会いやきっかけを、たくさんご用意します。
 
・だれもが、サッカーをもっと身近に感じられるように!
自分のニーズや希望にあったサッカーの選択肢を、次々と増やします。
 
・だれもが、心からサッカーを楽しめるように!
安全に、安心してサッカーを楽しめる環境を、しっかりと整えます。
 
 
トップレベルの強化組織というイメージの強い日本サッカー協会ですが、実際のところ協会に登録されている選手のほとんどがアマチュアであることは言うまでもありません。要するに、そうした草の根(グラスルーツ)に向けて「プレー機会の確保と拡大」を協会として取り組むことを宣言したことになります。まさしく「草の根なくして強化なし」という方向性です。
 
とはいえ、言うは易し、行うは難し。
 
実際にこの宣言を実効的な形に整えていくのは容易なことでありません。そこで日本サッカー協会はグラスルーツ推進部を新たに立ち上げ、この難題に挑むセクションと定めました。その初代部長となったのが松田薫二さん。アルベルト・ザッケローニ監督時代の代表チームを陰で支えていた男に白羽の矢が立ちました。就任の経緯について、松田部長はこう語ります。
 
「グラスルーツ宣言を出して推進プロジェクトが立ち上がりましたが、やりながらハッキリしたのは『本当にやろうとしたら、片手間でできるようなことではない』ということ。ちゃんとした事務局を立ち上げて、本腰を入れないと話が進まないということです。私はもともとプロジェクトのメンバーでしたが、グラスルーツ推進部をきちんと立ち上げて『やってやろう』ということになったわけです」
 

■自分のやりたいことがようやくできる

松田部長は代表チーム部に所属して、アルベルト・ザッケローニ監督を支えていた時期もある方です。Jリーグの草創期にはその事務局で辣腕を振るった過去もあるわけですが、本人としては「まさに自分がやりたいとずっと思っていた仕事なんです」と語り出します。
 
「外から見ると代表チーム部という花形部署から左遷されたみたいな見え方なのかもしれませんね。でも、誤解です。やっと自分がやりたいと思ってきたことができるという状態なんです。やることは幅広いし、自分が協会にいる間に全部ができることだとも思っていないですけれど、いまやっておくことが将来に繋がっていくのだと思っていますし、一石を投じてやろうと思ってやり始めたところです」
 
続けて、こうも言います。
 
「『世界に追い付け、追い越せ』。競技力向上だということで日本サッカー界はずっと頑張ってきました。それ自体は素晴らしいことですよね。僕もそこに関われたことを誇りに思っています。ただ一方で、そういうピラミッドが築かれていく中で、サッカーから離れていく子どもたちが大勢いることも確かですよね。せっかくサッカーを好きで始めたのに。自分の子どもを通しての経験もそうですし、自分がシニアの選手としてサッカーをしていても感じることが本当にいろいろあるんです。別に上手くなくても続けられるし、楽しめる環境があっていいし、あるべきだと思うんですよ」
 
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