蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

2025年7月23日

周りとコミュニケーションが取れない息子、サッカーの技術が伸びる以前の課題をどうしたらいいかわからない問題

チームメイトはもちろん、コーチともコミュニケーションが取れないわが子。確認しなければならないことも全て親任せ。

サッカーが伸びる子は自分から質問できるし、積極的に周りと話せる。チームスポーツをするにあたって今のままでは伸びないよね? と悩むお母さんからご相談をいただきました。

スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの知見をもとに具体的な声掛けと対応法を伝授します。
(構成・文:島沢優子)

 


(写真は少年サッカーのイメージ ご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

 

<サッカーママからのご相談>

はじめまして。

小6の息子が周りとコミニュケーションが取れない事に悩んでいます。

チームメイトはもちろんですが、コーチとも人間関係が築けておらず、話しかける事ができません。

何か確認しなければならない事が生じた時も全て親任せ。

第一声がかけられないならと、繋いだ事もありますが、未だに変わらず......。

自分から質問できる、積極的に周りとコミュニケーションを取れる選手は能力も高いと感じます。

サッカーの技術以前にチームスポーツをするに当たって今のままでは伸びないと思うのですが、何か方法ありますでしょうか。

 

<島沢さんからの回答>

ご相談ありがとうございます。

コミュニケーションが苦手な息子さんを前にして、お母さんが焦燥感を募らせている状況が目に浮かぶようです。

じれったく感じますよね。私の息子や娘も小学生のころは自分からコミュニケーションをとるタイプではなく、引っ込み思案でした。母親の私は無駄に(?)社交的で自己主張も強いのですが、人見知りの強い夫に似たのだろうと考えていました。

ご相談文だけの理解なので、多少こちらの思い違いがあるかもしれませんが、私から3つほどアドバイスさせてください。

 

■アドバイス①子どもは成長するもの 今できてないからって焦らなくて大丈夫

1つめ。まずお母さんに伝えたいのは、子どもは「成長する生きもの」だということです。三食きちんと食べて、気持ち良いお布団でよく眠り、よく遊べば、自然に成長します。ここを理解してください。

しかも息子さんはいま、サッカーという極上の遊びを経験しています。小学生のうちは楽しくサッカーができればいい。そんなふうに考えましょう。

子どものころおねしょしていても大人になってする人がいないように、子どもはどんどん変わっていきます。

わが家の子どもたちも、今ではごく普通に他者とコミュニケーションしています。何も心配することはありません。

 

■アドバイス②引っ込み思案なわが子を否定しないこと 心で思っても表に出さないように

2つめ。

次にやらなくてはならないことは、引っ込み思案な息子さんを否定しないことです。

(もう少しコミュニケーションがとれるようになったらいいなあ。そうすればサッカー選手として成長できるんじゃないかなあ)と、このようにこころの中で思うことはあってもいいでしょう。

しかし、考えていることは、ちょっとした感情の揺れがきっかけになって声になってあふれ出ることがあります。

しかも、否定する気持ちが強くなることで以下の表現になったら、息子さんはどうでしょう。

(積極的に周りとコミュニケーションを取れる選手は能力が高いよね。今のままじゃ伸びないね)

恐らく傷つくことでしょう。子育てでもっとも大切な軸は、自己肯定感を育むことです。

あなたのここがダメ、これが足らないと、親が欠点ばかりに目を向けてしまうと、子どもはどんどん自信を失います。一番近くにいて自分のことを最も理解してくれている人たちの意見はとても重いのです。

それに対し、他人であるコーチや、チームメイトから「わからないなら自分から質問しろ」とか「積極的になれ」などと否定されたとしても、家に帰ってお母さんや家族から「大丈夫だよ」と励ましてもらえればエネルギーを失わずに済みます。

例えばお母さんから「頭の中には言いたいことがあるのかな? だったら、そのうち口に出して言えるようになるよ」と言ってもらえる環境なら問題ありません。僕は今のままでいいんだと感じて頑張れます。 

  

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