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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

試合で相手にボールを譲る消極的な息子を何とかしたい問題

公開:2023年3月29日

消極的で足元にボールが来ても蹴らない息子。色々言われるのも嫌なようで助言しようにも話を聞かない。

これから成長する姿に期待したいが、チームメイトがどんどん上達していく中、親が焦ってしまう。どうしたらいい? というお悩みをいただきました。

スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、子どものサッカーに関わる保護者としてどうあればいいか、これまでの知見をもとに、5つのアドバイスを送ります。
(文:島沢優子)

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(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

<<最近練習に身が入らない息子、ライバルに差をつけられ親が焦っています問題

 

<サッカーママからのご相談>

はじめまして。

サッカーを始めて10か月になる小学1年の息子のことで相談です。

試合(練習も本番も)や1対1などの練習でも全く積極的に動けず、自分の足元にボールが来て蹴ればゴールに入るような場面でもシュートを決めようとする姿勢もなく、立ち止まってしまいます。

人と争うようなことが嫌いで、試合中でも相手にボールを譲ってしまいます。

助言をしようにも色々言われるのも嫌なようで話を聞いてくれません。

親としては、なんで蹴らないのかな? どうして積極的に動かないのかな? と考えると悲しくなります。

チームメートがどんどん上達していく中、焦ってしまいます。

これから成長する姿に期待したいのですが......。何かアドバイスがあればよろしくお願いします。

 

 

<島沢さんからの回答>

ご相談いただき、ありがとうございます。

小学1年生では体格も、物事への理解度もばらつきがありさまざまです。よって、出来ないことが多いと親も落ち込みますね。私にも経験があります。

 

■試合中、我が子のシャツをインしに行く親の心理

以前、少年サッカー3年生の大会で、試合のハーフタイムに子どもたちがベンチ前でコーチの前で半円になる状態で話を聞いていたときのことです。

ひとりのお母さんが、自分の息子に駆け寄って背後からサッカーパンツにシャツをインしました。そこにいた私たち他の親は「そこは子どもの世界だよ。(親が)世話を焼かないほうがいいのでは?」と話しました。

ところが、そのお母さんは「だって、うちの子だけ(シャツが)出てたんですもの。みっともないし、恥ずかしい。皆さんにも迷惑じゃないですか」と言うのです。

行動の背景には「ちゃんとしてほしい」「わが子が他者によく見られたい」という虚栄心が見え隠れし、痛々しく感じられました。ほかにもシャツが入ってない子どもはいました。邪魔と感じれば自分で入れればいいのです。

今回ご相談くださったお母さんの精神状態は、まさにこのシャツをインしたくてたまらない女性と同じような気がします。

いわく「ゴールできそうな場面でシュートを決めようとする姿勢が見られない」「相手にボールを譲ってしまう」と、わが子が「できないこと」に焦ってしまい、居ても立ってもいられません。

 

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■子どもは親にがっかりされると余計に自信を失う

お母さんの子育て全般は相談文だけではわかりませんが、書かれてあることだけで見ると「自分の理想の姿ではない息子」にイライラしているように見えます。無論、ゴールをバンバン決めて、相手のボールを強引に奪って見せれば、お母さんは誇らしい。そうではないことに、嘆き悲しんでいるように見えます。

子どもは、自分のことを一番わかっていて、最も身近な親からがっかりされてしまうと、余計に自信を失います。この「自信」は「自己肯定感」といって、「何があっても自分は大丈夫」「僕は今の僕でいい」「今の僕をお母さんは大好きなのだ」といった自分を肯定する力です。

この自己肯定感はエネルギーの素。子どもという小さな車がグングン前に進むためのエンジンなのです。

つまり、親が「うちの子はあれもできない。これをやろうとしない」と嘆き悲しむのは、車からガソリンを抜いているようなものです。その一方で、息子さんのことを「人と争うようなことが嫌い」と書かれているように、お母さんは息子さんの性格を知っています。であれば、そこを息子さんが自分で乗り越えるのを気長に待っていればいいのです。

 

■子どもは変わっていくもの! サッカーの面白さに目覚めると積極的になることも

息子さんはサッカーが好きで自分なりに頑張ろうとしているのだろうと思います。人を押しのけてまでぐいぐい行くことができないのかもしれません。

このような子どもは珍しくありません。うちの息子も2年生くらいまでは常に団子サッカーの最後尾を走っていました。試合をすれば自ら守備側に回り、前に出ようとしませんでした。そんな性格なのです。

しかしながら、だんだんサッカーがわかって来て、サッカーの面白さに目覚めると、自分からゴールに迫ったり、体をぶつけてボールを獲りに行くようになりました。サッカーが「そういうもの」であり、それが日常なので抵抗がなくなるわけです。

息子さんはまだ7歳。今はまだ「お目覚めの前」なだけです。2、3年、4年生くらいになったら、例えばコーチの方から「あんなに怖がってたのにすごくアグレッシブにプレーするようになったね」と言われるようになります。どんなコーチの方に聞いても「子どもは変わっていくものだ」と皆さんおっしゃいます。

 

 

次ページ:お母さんの気持ちが楽になる5つのアドバイス

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※ご相談者様のお名前、チーム名等は記事に掲載いたしませんのでご安心ください。
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文:島沢優子

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