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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

最近練習に身が入らない息子、ライバルに差をつけられ親が焦っています問題

公開:2023年3月22日

キーワード:エースコーチサッカースクールチームのエースライバル差をつけられた移籍親の焦り

チームのエースと言われていたのに、最近練習に身が入らずもう一人のエースと差がついた感じがあって焦っている、というお父さん。

今度サッカースクールに入れて、チーム移籍も考えている。

本人はそこまでサッカーが好きでないのかとも思うが、本心は分からない。気楽な様子の息子を見ていると腹立たしいが、どうすればいい? というお悩みをいただきました。

スポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、子どものサッカーに関わる保護者としてどうあればいいか、これまでの知見をもとにしたアドバイスを送ります。
(文:島沢優子)

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(写真はご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)

 

<<仲間に意見する息子が悪者に。子ども同士のいさかいを何とかしたい問題

 

<サッカーパパからのご相談>

はじめまして。

小学校三年生の息子が小学校のチームでサッカーをしています。一応、今のチームではエースと言われていたのですが、最近練習に全然身が入らずゲームばかりしているせいか、もう一人のエースのお子さんと差がついた感があって焦っています。

今度スクールに入れる予定ですが、今のチームのコーチとも合わないようでよく怒られていますので隣の小学校のチームへ移籍を考えております。

本人は隣の小学校のチームに行きたがっている様子ですが、妻は反対している状況です。

私が焦っても仕方のないことだと思いますし、本人もそこまでサッカーが好きではないのかなと思っているのですが、息子の気楽な様子を見ていると腹立たしいです。

このままスクールに入れてもよいものなのでしょうか? また、隣の小学校のチームに変わる必要があるのでしょうか? ちなみにそのチームは市内で二位と強いチームです。

息子の本心も分かりません。つたない文で申し訳ございませんがご教示の程よろしくお願い致します。

 

 

<島沢さんからの回答>

ご相談いただき、ありがとうございます。

お父さんの心情が、さまざま綴られていますね。そのなかで私への質問は、スクールに入れることとチームを替わるという二つのことの是非が問われています。しかしながらお父さんにとって最も大きなこころの揺らぎは何でしょうか。

「エースと言われている息子に期待をしているのに、もうひとりのエースの子と差がつき始めた」という事実。こちらではないでしょうか。

以下、私のほうから三つアドバイスをさせてください。

 

■「差がついて焦っている」のは、親のエゴによる感情 秀でてない息子は愛せないのか

まずひとつめ。

お父さんは、エースの子とわが子を自分の中で比べる親としての自分を、どうお考えでしょうか? 例えば、パートナー(妻)から、他の男性と年収や学歴、家事の時間やその能力、もしくは容姿などを比べられたらどう感じられますか?

私は数々の親子を取材してきましたが、能力や成果を他の子どもと比べる親御さんで子育てがうまくいっている方はほぼいらっしゃいません。他の子どもと比べれば、そのことをたとえ口に出さなくても、子どもには伝わります。多くの人は「負けてるぞ。もっと頑張れ」と奮起させる材料になるとおっしゃいますが、それは間違っています。

他の子どもと「差がついて焦っています」とありますが、そこには誰よりも秀でている子どもでいてほしいというエゴが見えます。エゴが強い親御さんは、子どもに任せられないので、子どもの気持ちを聴いたり、寄り添うことがあまり上手ではありません。そういったことをしない代わりに、評価ばかりしてしまいます。お父さんも「本人もそこまでサッカーが好きではない」「息子の気楽な様子を見ていると腹立たしい」と評価が目立ちます。

そのエゴが強く出て、それを子どもが感じ取ってしまうと「サッカーが上手い自分しか愛してくれない」という結論になります。そうなると、親に愛してもらうためにサッカーを頑張ることになります。

しかし、そのモチベーションでサッカーに取り組むのは限界があります。そして、年齢やレベルが上がってゆくにつれ壁を越えられなくなると、そういう子どもたちは「もう、サッカーはいいや」となります。親の理想でない自分に耐えられなくなる。苦しいのでサッカーをやめることしか道がなくなります。

秀でていないありのままの息子を愛せないのではないか? 苦しめているのではないか? そんなことを一度自問自答してみてください。

 

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■すべて親がリードしてしまうとろくなことはない

ふたつめ。

スクールに入れることも、チームを替わることも、その是非を尋ねられても私は答えられません。

なぜスクールに入れたいのか? そもそも、息子さんはどんな理由でそのスクールに入りたいのか、もしくはそういった意志を確認していないのかも書かれていません。隣の小学校に移ることも同じです。息子さんが移りたい理由、お母さんが反対している理由もわからないので、申し訳ないのですが何とも言えなせん。

ひとつ言えるのは、すべて親がリードしてしまうとろくなことはないということです。上述した「能力や成果を他の子どもと比べる親御さん」は、子どもへの過干渉が目立ちました。多くのことを「〇〇させたい」「〇〇をやらせたい」と、すべて親の決定なのです。

子どもが成長するために、私たち親は子どもと一緒に良い環境を選びともに努力します。

子どもが主語で「成長する」は自動詞ですね。ところが、「お父さんが子どもを移籍させる」「お父さんが子どもスクールに行かせる」というものになると、主語はお父さんで他動詞になります。

 

 

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文:島沢優子

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