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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

勝利至上から全員出場にチーム方針が変更。息子のモチベ下がっちゃう問題

公開:2018年7月12日 更新:2018年8月22日

キーワード:保護者全員出場勝つためのサッカー勝利至上主義小3指導者監督

小3の息子のチーム。昨年までの監督は「勝つためのサッカー」をしていたからついてきたのに、今の監督はうまい下手も関係なく試合に出すので、勝てないし上手な子ども達のモチベーションが落ちている。息子もレギュラーだったのに...移籍も検討したほうが良い? とのご相談です。

サッカーママとして先輩の島沢さんが、あなたの気持ちに寄り添った3つのアドバイスを送ります。お子さんが何のためにサッカーをしているのか、あなたのご家庭でもいま一度確認してみてはいかがでしょうか。(文:島沢優子)

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※写真はサカイクキャンプのものです。 質問者及び質問内容とは関係ありません

<<借りたユニを洗濯せずに返却するチームメイトに困惑しちゃう問題

<サッカーママからの相談>

こんにちは。
本当に悩んでいます。

息子がサッカー少年団の3年生に所属しています。
昨年までの監督は、県大会等にも出場させた監督で練習も試合も見て、勝つためのサッカーをしていました。

市の大会でも優勝していました。それに息子も楽しくレギュラーで出場していました。ですが、昨年の夏に監督が代わり、平日の練習は見られないので、土日のみの試合だけをみる監督に代わりました。

以前は、練習に出ない選手は試合に出さない。というスタンスだったのに今では、うまい下手も関係なく試合に出すので、勝てないし上手な子ども達のモチベーションが落ちてきています。息子もなかなか試合に出られなくなって、正直つまらなくなっています。

親たちは本当にイライラしてしまいます。主人は、納得がいかないので移籍を考えています。

少年団は、親の負担が大きくてそれだけでも共働きの私達家族としては大変ですが、いい監督だったから付いてきたのに......。という思いもあり、正直移籍したいです。

息子は、地元の友達がいるので踏ん切りつかないようですが、モチベーションが落ちているのは間違いないです。

どうしたらよいでしょうか。
主人ともサッカー少年団についての喧嘩が耐えなくて、正直つらいです。

<島沢さんのアドバイス>

メールありがとうございます。

お母さん、本当にお辛そうですね。共働きはわが家と同じ。お仕事も抱えながら、お子さんのサッカーのサポートをしてこられたのですね。活動を支えるのは大変だけど、勝利すればその大変さも報われるという本音を正直に書いてくださいました。ありがとうございます。

ご相談の件、私から三つほどアドバイスさせてください。少々耳の痛いことも言いますが、御理解いただけると幸いです。

 

■本当は怖い「勝つためのサッカー」

ひとつめ。
お母さんとお父さんは、ともに「勝つサッカー」をしていた前の監督さんを支持されているようですが、私は今の監督さんのやり方を好ましく思います。

小学生の間は全員出場がベスト。みんなが楽しくサッカーをする。試合をする。ずっと同じメンバーで何試合もして、ベンチの子はずっと見ているだけという少年チームはまだ多いですが、指導者の方々はみなさん徐々に「平等に試合を経験させる」という意識が出てきたように思います。

しかも、9歳ということはまだ3年生か4年生ですよね。小学校中学年です。楽しく試合をして、試合で見つかった課題をみんなで練習する。そのなかで、子どもたちそれぞれがサッカーの楽しさを体と心に浸みこませていく。そんなことがジュニアでは一番重要です。

と、ここまで読んで、お母さんは「聞きたいのはそんなキレイ事じゃないわ」と感じているかもしれません。

ところが、このキレイ事に見えることが、少年サッカーの本質なのです。その本質を「少年時代に何を優先すれば子どもは伸びるか」とすると、それは「頻度も、結果に対する外圧も過度にならず、サッカーが何より楽しいと感じること」と現代では考えられています。

ところが、「頻度も、結果に対する外圧も過度」になってしまうのが、勝利至上主義という病つまりは「上手いメンバーだけ出して、相手の弱点をついて勝つサッカー」なのです。
どんな病かというと、以下のようなものです。

1.サッカーを楽しむもしくは追求するよりも、勝つために試合に出ることが目的なので、高学年や中学、高校になってレギュラーになれないと、簡単にサッカーをやめてしまう。

2.勝つことが目的なので、試合で負け始めると嫌になってしまう。最後までやりきるというフェアプレーができない。

3.勝つことが目的なので、親子ともにミスをした仲間を責めたり、ファウルを取ってくれなかった審判を責めたりして、スポーツによる人間形成がなされない。

さらにいえば、この病は目に見えないところでじりじりと選手生命を脅かします。小学生の、しかも低学年や中学年で罹ると非常に厄介です。

■何のためにサッカーをやっているのか、お子さんと話し合ってみましょう

「息子もなかなか試合に出られなくなって、正直つまらなくなっています」
お母さんが書かれているように、相談文のなかでうかがえるのはになりますが、の兆候はないでしょうか。

これまで息子さんと似たような子どもをたくさん見てきました。

「もっと強いところでやりたい」となって、他のチームに移籍したものの、高学年になって試合に出られなくなったり、中学生になってジュニアユースクラブでメンバーには入れないと「サッカーはもういいや」と言ってすんなり辞めてしまいます。

その決断には、保護者のサッカーに対する考え方が大きく影響しています。
「わが子が出て、試合に勝つサッカーを見たい」
「わが子がレギュラーでいる姿を見たい」
そのような親の期待に応えられない自分を、子どもは受け止められなくなるのです。

目の前の子どものキラキラした姿を見続けたい気持ちはお察ししますが、そう遠くない未来のために親としてどうあるべきかを考えてみませんか。

試合に出られないと言いますが、恐らく新監督さんのやり方では他の選手と同じ時間は出ているはずです。それなのに、サッカーに対するモチベーションが落ちてしまうのは、非常に残念です。

よって、ふたつめのアドバイスは、試合に出る時間が少なくなったらやる気がなくなるのは残念だね、という話を親御さんにはしてほしいのです。

もっといえば、何のためにサッカーをやっているのか? という話まで発展させてもいいと思います。その際に、本人が今のチームでは物足りない、もっとレベルの高いところでやりたいと言うのなら、他のクラブを考えてもよいかもしれません。

次ページ:伸びる子の親の共通点とは

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※ご相談者様のお名前、チーム名等は記事に掲載いたしませんのでご安心ください。
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文:島沢優子

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