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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

故障してサッカー辞めたい中1をどうするか問題

公開:2017年3月16日 更新:2017年3月21日

キーワード:やめたいオスグッド挫折自信を失う親世代

これまでずっとエースだった息子の初めての挫折。コーチに相談しながら見守りたいとは思っているものの、自信をなくしているわが子に優しく接したらいいのか、親世代が経験したように厳しく接したらよいのかと悩むサッカーパパ。
 
自身もサッカー少年少女の母として子育てした経験を持つ、教育・スポーツジャーナリストの島沢優子が、読者の悩みに答える『蹴球子育てのツボ』。 今回は、自信を失っているわが子への接し方についてお答えします。(文 島沢優子)
 
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<<転勤で環境が変わる息子のケア問題
 
<サッカーパパからの相談>
息子は中学1年生。小学生時はいつも先発でチームでエースでした。地区トレセンにも漏れた事なくこれまで来ました。
 
が、中学生になり、まずまずのクラブチームにスカウトされ入ったものの、膝のオスグッド悪化で練習もままならず、痛みが引いても試合には選ばれないように。昨年末ごろから辞めたいとこぼすようになっています。
 
コーチにはまだ伝えてはいないのですが、辛い事を初めて経験するという事もあってか自信もなくしておるようです。
 
まだまだ子どもですし技量はあるので、膝が完治し自信が戻るまで頑張ってみたら?と声をかけ、コーチとも相談しながら対応を、と考えているのですが、親として優しくしてやるべきか、我々(49歳)世代の時のように厳しく続けさせるべきか、少々気を揉んでます。どんな対応が良いでしょうか?
 

■意識して「やさしくしてやる」必要はない。厳しくするのは逆効果

小学生のころは「速い・大きい・うまい」のうち、ひとつか二つ持っている子が活躍しますが、中学生になると体の大きさやスピードの格差が少なくなり、基本技術もまわりがだんだん追い付いてきます。小学生の頃とは力関係が逆転するのも、実はよくあることです。
 
息子さんは自信をなくしているうえに、焦ってもいるのでしょう。周囲の追い上げにあっているのに、故障で満足に練習できないのですから。小学生時代にエースで、試合に出るのが当然だったわけなので、より強い挫折感を感じているはずです。
 
アドバイスが三つあります。
 
ひとつめは、接し方についてです。
 
わが子が挫折の渦中にいるときに、親のほうが悶々としたり、焦ったような態度を見せないこと。中学生になって、サッカーで親が口を挟むべきことはそんなにありません。日々、淡々とした態度でいてください。
 
特に冷たくしなくてよいのですが、意識して「やさしくしてやる」必要もありません。また、厳しくするのは完全に逆効果でしょう。
 
日本の大人(特に昭和世代)は、子どもを這い上がらせるのが好きです。自信をなくして不安になっている子に対し「何やってんだよ」「このままじゃ落ちて行くだけだぞ」などと、不安を与え煽ることで対処する人が多いです。自分たちもそうされてきたので、仕方がないことかもしれません。
 
ですが、このやり方は、安易で難易度が低いぶん、失敗するリスクも高いです。厳しくすれば、サッカーを「続けさせられる」など、不可能だと考えてください。
 
ここは「まだ試合に出られないのか?」とか「どうなってるの?」などとせかしてはいけません。
 
「ゆっくり治せよ。君はまだ13歳だよ。大丈夫だよ」そう励ましてあげてください。加えて、一度習得した技術は、失われることはありません。体がもと通りに動ければ、同じようにプレーできるはずです。そんなことも伝えてあげるとよいでしょう。
 

■息子にとってのサッカーとは何か、他にやりたいことがあるのかを問いかける

そして、ふたつめ。辞めたいという息子さんと「サッカーは自分にとって何か?」を問いかけてあげてください。
 
お父さんが一方的にお説教するのではなく、息子さんが自分の気持ちを整理するのを一緒に手伝ってあげる。そんな心づもりで、話してみてください。
 
ケガしたからと腐って、このままやめて後悔しないのか。
 
サッカーが本当に好きなのか。辞めて、代わりに打ち込みたいものがほかにあるのか。もし、サッカー選手として続けて行くのであれば、いま彼自身がやるべきことは何か。そんなことも含めて、親子で話し合ってみてはいかがでしょうか。
 
中学生でもアスリートです。アスリートとして彼がやるべきは、十分膝を休ませて完治させなくてはいけません。と同時に、リハビリしながら自分ができることを探し、サッカーに興味を持ち続けながら、完全復帰を目指すことだと考えます。
 
故障と戦う日々を、マイナスのままにしてしまうのか、プラスに転じさせるかは、彼次第です。動けないぶん、腹筋や背筋、体幹を鍛えるトレーニングなどをやってみる。けがをしにくい体をつくれるよう、柔軟性を高めるトレーニングをやってみる。いろいろな時間の使い方ができます。
 
チームで活動するときは、ベンチで自分ならどうするか考える。仲間に声をかけてやる。道具の片付けや、防寒具の始末など、ベンチの子がやる仕事は結構あります。そういったことを率先することで、「自尊感情」が生まれるはずです。
 

次ページ:同じ境遇から復活した人の話をして勇気を与える


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※ご相談者様のお名前、チーム名等は記事に掲載いたしませんのでご安心ください。
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文:島沢優子

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