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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~

ジュニアユースと学業の両立どうなんだ問題

公開:2016年12月 9日

キーワード:島沢優子悩み母親

■中学生以降に有効な『動かない子育て』

例えば、文武両道でしかもサッカーの強い高校への入学を目指す。高校でなくても大学でも良いでしょう。もしくは、仲間のなかに同じような境遇、価値観をもつ子を見つけて「アイツには負けたくない」と切磋琢磨する。ライバルをモチベーションにする。そのうち「両立できる自分」に強いこだわりやプライドを持つようになります。
 
傾向を言うと、周囲のチームメートたちはどうしてもサッカー漬けになりがちです。そこを同調せずに、いかにわが道を行けるか。12歳にして、息子さんは大きな挑戦をするわけです。
 
一番の課題は、モチベーションが落ちたときにどう乗り切るか。レギュラーになれない。苦手なポジションを攻略できない。ケガをしたなど、うまくいかないときがあります。つまり、モチベーションを持てない時間が必ず出現します。自暴自棄になったり、学業もサッカーもあきらめかけたりします。気持ちが落ち込むと、勉強へのモチベーションも失いがちなので成績も落ち込みます。
 
そんなとき、親は絶対否定してはいけません。
 
「だから難しいって言ったでしょ」
「できるわけないじゃん」
「中途半端に終わるならサッカーは辞めたら?」
 
文字にすると残酷な言葉ばかりですが、取材すると結構みなさんそのような毒を吐いています(笑)。これらの言葉(毒)は、単に親の苛立ちを子どもにぶつけているだけで、何の助けにもなりません。みなさんの中には「だからおまえはダメなんだ」と親に言われ、こんちくしょうと這い上がってきて成功された方もいらっしゃるかもしれませんが、効果は長続きしません。刺激されて一瞬モチベーションを持てたとしても、自発的な意欲ではないので継続できません。
 
「うちの子のモチベーション、大丈夫かな?」
 
そんなふうに息子さんを眺めながら、サポートしてあげてください。
 
顔色、食欲、家での会話が弾んでいるかどうか、笑顔があるか。気持ちの揺れをキャッチできるはずです。気づいたからといって何もする必要はありません。
 
どの年代も言えることですが、特に中学生以降は「動かない子育て」が奏功します。少しくらいうまくいかなくても、親はどんと構える。干渉せず見守ることで、子どもは「自分は親に信用されている」という強い自己肯定感を持ちます。これは思春期の子を支える太い杖になります。
 
「クラブ変えたら?」
「コーチに言って平日1日は塾で休みますってママが言ってあげる」
 
逆にこんな“転ばぬ先の杖”は、そのとき救ったかに見えても、子どもをつぶすことになります。
 
「あなたは大丈夫。必ずいい3年間になるよ」
 
そんな捉え方をして、励まし続けてください。もしレギュラーになれなくても、練習試合や公式戦後のBチーム戦でのプレーをほめましょう。「よくカバーしたね」と、結果より頑張る姿を認めること。「最近どう?」とか「頑張ってるね」という短い言葉でも十分。子どもは親の愛情を受け取ります。
 

■文武両道のポイントは、睡眠と学習の時間の使いかた

最後にテクニックの部分をお伝えしましょう。どんなスポーツも文武両道で大事なポイントは「学習時間の捻出」と「健康バランス」です。
 
ほかの生徒よりも、圧倒的に家庭学習に取り組む時間は少なくなります。Jでなくても、クラブでプレーする場合の練習開始時間は5時以降。終了はおおむね8時過ぎ。帰宅時刻は早い子で9時、遅い子は10時を回ります。
 
中学生は、人生でもっとも身長が伸びる時期。成長面を考えると、11時に就寝しなくては成長ホルモンの分泌が間に合いません。すでにご存知かと思いますが、睡眠は量ではなく「時間帯」がものを言います。中学生でも理想的なのは9時就寝5~6時起床だと思いますが、そこが難しければ、少しでも早く寝て、6時前後に起きて朝1時間集中して勉強する。時間をどこで確保するかといったことを一緒にシミュレーションしてもよいでしょう。
 
 
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島沢優子(しまざわ・ゆうこ)
スポーツ・教育ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実 そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート 夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てる テニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。

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文 島沢優子

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