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競技力向上のベースになる「ライフスキル」とは? 考える力と感謝の心を育てるサッカーキャンプの指導プログラム

公開:2026年4月23日

キーワード:キャンプサカイクキャンプサッカーキャンプライフスキル自分で考える

今年で14年目を迎えたサカイクキャンプ。ほかのサッカーキャンプとの大きな違いは、競技力向上のベースになる「ライフスキルプログラム」の導入です。

子どもたちは、そこでどのような「ライフスキル」を学んでいるのでしょうか。

前半から引き続き密着取材を通して、その学びや参加者のリアルな声をお届けします。

(取材・文:木村芽久美)

 

サカイクキャンプ 初日午前中はサカイクのノベルティシャツを着てグラウンドに集合

 

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■自己分析から始める座学。トップ選手の共通点とは?

初日のトレーニングが終わると、子どもたちはそれぞれ次の行動へと移ります。初参加で3年生以上の子どもたちは、初回セミナーの準備へ。低学年やリピーターの子どもたちは、お風呂の準備に取りかかります。

やがて座学が始まると、サッカーノートが配られ、まず菊池コーチがこう語りかけます。

「これまでに約8000人がこのキャンプに参加してくれましたが、今回の47人、みんなに会えるのを楽しみにしていました」 

その言葉に、子どもたちは少し緊張を解きながら耳を傾けます。続いて映像が流れ、乾貴士選手、田中碧選手、鎌田大地選手といったトップ選手たちの姿が映し出されると、子どもたちからは笑顔が広がります。

コーチは彼らを例に挙げながら、「一流の選手は共通して、自分自身をよく理解している」と伝えます。その後は自己分析のワークへ。

プリントを使い、20の質問に対して1~4の4段階で自己評価を行います。集計すると、5つのライフスキルそれぞれのスコアが可視化され、自分の強みや課題が見えてきます。数値として捉えることで「どこを伸ばすべきか」が明確になり、子どもたちは自分の課題に主体的に向き合いやすくなっていきます。

 

■考える力と感謝の心を育てる、ライフスキルプログラム

サッカーノートの最初には、「ワクワクする目標を持とう」というメッセージが掲げられています。

子どもたちは「明日どうなっていたら最高か」「5年後、10年後にどうなっていたいか」といった理想の姿を思い描き、そこから逆算して、このキャンプでの目標を設定することの大切さを学びます。

ライフスキル講義の「リーダーシップ」では、仲間と離れて一人でいる子どものイラストを見せ、「この場面でどうする?」と問いかけます。

すると子どもたちからは、「一緒に頑張ろう」「仲間に入って」「一緒にやろう!」といった声かけが自然とあがりました。コーチは、リーダーシップとは「人の上に立つこと」ではなく、「相手の立場に立って行動すること」だと伝えます。その具体例として、日本代表のキャプテンを務めた遠藤航選手や長谷部誠選手が、PKを外した選手に「ドンマイ」と声をかける姿を紹介。

サッカーに限らず、困っている人に手を差し伸べたり、仲間をカバーしたりする行動もリーダーシップであることを伝えました。

このようにトップ選手の行動を例に出したり、想像しやすい状況を設定し、問いを投げかけながら、5つのライフスキルについて理解を深めていきます。

「チャレンジ」については、「チャレンジしようとすると、どんな気持ちになる?」と問いかけます。

子どもたちからは「失敗したらどうしよう」「不安」といった率直な声もあがりました。

コーチはその気持ちに寄り添いながら、「サッカーはミスの多いスポーツ。だからこそ結果だけでなく、チャレンジすること自体に価値があるんだよ」と伝えます。

失敗を恐れず一歩踏み出すことの大切さを、子どもたちは実感していくのです。

 

■感謝の心とチャレンジする力を育てる、低学年のライフスキル

サカイクキャンプ キャンプ専用のサッカーノートを使い、考えを深める時間です

 

新1年生にとって座学は難しいのではないかと思われがちですが、低学年には専用のサッカーノートが用意されており、ライフスキルも「感謝の心」と「チャレンジ」に絞って伝えられます。

その中でも印象的だったのは、初参加の子どもたちと同様に行われた、U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ決勝の映像視聴です。

過去の大会で称賛された、試合後、優勝したFCバルセロナの選手たちが喜びを分かち合ったあと、対戦相手である大宮アルディージャジュニアの選手たちに歩み寄り、ハグをする姿が映し出されます。

この場面についてコーチは、「みんなはこんな風にできる?」「なんでできるんだろう」と問いかけ、「サッカーを楽しめるのは誰がいるからだろう」と子どもたちの視野を広げていきます。すると新1年生の子どもからも、「保護者の方や監督、仲間、コーチ」といった答えがしっかりと返ってきました。

コーチは、「ありがとう」と感謝を伝えることの大切さや、感謝の気持ちを忘れずにサッカーを楽しむことの重要性を伝えます。さらに、「チャレンジしない方が恥ずかしい」という言葉を合言葉に、ピッチの上だけでなく日常生活においても積極的にチャレンジしていこうと促しました。

高学年やリピーター向けのライフスキルは最後に行われましたが、日常生活を大切にすることや、初参加・低学年の子どもへのサポート、自分で考えることの重要性が、より強調して伝えられていました。

   

■ライフスキルを学ぶために参加した子どもたちの声(初参加・リピーター)

サカイクキャンプ 中には「楽しい」から16回も参加してくれたリピーターも

 

今回で16回目の参加となるリピーターのアマネくん(6年生)は、食事の準備などでコーチから頼られる、いわばキャンプの「長男」のような存在です。現在はチームには所属せず、スクールでサッカーを続けており、中学生になったら部活動の雰囲気を見て、サッカーを続けるかどうかを決めたいと話してくれました。

「どうして16回もキャンプに参加しているの?」と尋ねると、「楽しい」以外には、はっきりとした理由があるわけではないとのこと。それでもお母さんは、「他のことは続かないけれど、このキャンプだけは自分から『行きたい』と言って続けている」と話しているそうです。自分の軸を持ち、考えながら話す姿が、とても印象的でした。

4回目の参加となるリピーターのダイスケくんくん(3年生)は、お兄さんと一緒に初参加した際は、まだ小学校入学前でした。お母さんは「いつもと違う仲間と関わることで、サッカーだけでなく人としても成長してほしい」という思いです。ダイスケくん自身も「ライフスキルを学んでいかしていきたい」と話してくれました。チームではゲームキャプテンを務めており、よく声を出しているとのこと。キャンプでの目標は「サッカーが上手くなって帰ること」と力強く語ってくれました。

初参加のソウキくん(4年生)は、お母さんが見つけたWebページをきっかけにキャンプを知り、「5つのライフスキルを身につけたい」と思い参加を決めたそうです。印象に残ったことを尋ねると、「FCバルセロナと大宮アルディージャジュニアの試合映像を見て、感謝について考えた」と教えてくれました。将来の夢は「日本代表!」と元気に答えてくれました。

 

■コーチたちの想い。技術の土台となる「ライフスキル」を育てるために

サカイクキャンプ 技術や年齢が異なってもコーチたちのサポートがあるから安心してチャレンジできます

 

サカイクキャンプには、技術や年齢の異なるさまざまな子どもたちが参加します。

今回のキャンプでは、補聴器をつけたメンバーも参加しており、トレーニング前にコーチがその状況を丁寧に説明し、「困ったことがあったらみんなで助けよう」と共有しました。

このように一人ひとりの個性に寄り添いながら、誰もが安心してチャレンジできる環境が整えられています。

菊池コーチは、ライフスキルをサッカーの技術を支える「木の根っこ」に例えます。根が弱ければ木が倒れてしまうように、ライフスキルという土台があってこそ、選手としての成長があると子どもたちに伝えています。

また柏瀬コーチは「子どもたちにはサッカーが上手いだけでなく、日常生活も大切にし、周りから信頼される選手になってほしい」と話します。

ライフスキルはすぐに結果として表れるものではありませんが、実践を重ねることで少しずつ身についていきます。

菊池コーチは「1回の参加でも、根っこの部分は伝えられる。ぜひ多くの子どもたちに参加してほしい」と語ります。

今回は女子の参加はありませんでしたが、女子が参加する場合、必ず女性トレーナーがサポートに入るので親としても安心できます。

ぜひ一度キャンプに参加し、技術向上のベースとしても大事な考える力と人間力を育むサッカーを体験してみてください。

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取材・文:木村芽久美

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