考える力
自分たちで決めて動くから「楽しい」し、周囲への感謝にも気づく。子どもが主体の大会が成長のきっかけになる理由
公開:2026年3月27日
3月14日、埼玉県の松伏町にて「第2回遊馬カップ(4年生ノーコーチング大会)」が開催されました。
この大会は、子どもたちが会場の設営、当日の運営、試合の審判を務める「子どもが主体の大会」として開催していている「フォレストカップ」(主催:伊勢原FCフォレスト・神奈川県)と同じフォーマットで行われています。
フォレストカップとは会場設営、出場メンバーも作戦も子どもたちで。ベンチに大人が入らない子ども主体の大会>>
大会を主催する草加遊馬キッカーズの代表水野寛之さんに、どうしてこの大会を始めたのか、その裏にあった思いを伺いました。
また、選手たち、参加したチームの指導者が「この大会に参加して良かったこと、感じたこと」も聞いてみましたのでご覧ください。
参加チームと保護者のみなさんで記念撮影
■フォレストカップに参加して、自分たちもやってみたいと思った
草加遊馬キッカーズは、草加市で活動するクラブチーム。チームの育成理念として、サッカーだけでなく人間性を育てることを重視しており、サカイクにも賛同し、「サカイク認定パートナー制度」にも申請済みのチームです。
チームの代表を務める水野さんが、もともと伊勢原FCフォレストの代表、一場哲宏さんと交流があり、フォレストカップに参加したことが、この大会を開催したきっかけの一つでした。
「実際に自分たちが(フォレストカップに)参加してみて、子どもたちが主体的にイキイキと動いている光景を目の当たりにして『いいな』と感じたんです。そして『自分のチームでもやってみたい』と思い、昨年から始めました。」
■練習の最後のゲームで審判をお願いしているからできる
小学生年代で試合の審判(主審、副審)を務めるのは難しいのでは? と思う方も多いと思いますが、草加遊馬キッカーズでは4年生ぐらいから普段の練習の最後に行うゲームで選手たち自身に審判をお願いしているのだそう。
そのおかげで、主審、副審の当番の組み合わせも自分たちで考えて大会を運営することができていました。
また、子どもたちも慣れた様子でプレーのジャッジを行い、サイドラインでも堂々とオフサイドフラッグを上げるシーンなどが見られました。
■子どもたちの声:「自分たちでやることで、大人の大変さがわかった」
草加遊馬キッカーズの選手たちに、この大会に参加しての感想を聞いてみました。
6年生のテル君(大会開催時、4月から中学1年生)
大会主催の苦労だけでなく、試合中の自分を客観視する機会にもなったと語ってくれたテル君
「大人が普段の大会で何をしてるのか理解できました。大会主催するのって大変なんだなと。審判の体験では、自分のジャッジに抗議されることもあって、判断することの厳しさと心の大変さが分かりました。自分が試合中こんなことしてるんだなっていうのが客観的に理解できて学べました」
5年生のトモヒロ君、シュン君(大会開催時、4月から6年生)
審判の大変さを実感したと語る5年生の二人(左からトモヒロ君、シュン君)とチームの代表・水野さん
大変だった点としては、それぞれ以下のようにコメント。
「オフサイドの判定が難しいです」(シュン君)
「ジャッジに対して文句を言われたり、ちょっとメンタルが......」(トモヒロ君)
しかしながら、初めての大会で洗礼を受けつつも試合が進むにつれて徐々に慣れていったようで、「PKを取って、『いいジャッジだった』と言ってもらえたりして嬉しかった」と、自信をつけたと教えてくれました。
3人とも、普段の練習の中で審判を経験しているとはいえ、自分たちが出場するほとんどの大会では大人が大会運営や審判をしてくれているため、その大変さに気づき、大人への感謝の気持ちが生まれたことを教えてくれました。
出場メンバーや交代選手を自分たちで決めることに関しては「普段からそうしているから」と、特に難しいことではなかったとも明かしてくれました。
■2年生も「自分たちで決めるのが楽しい」と実感
自分たちで決めることが楽しかったと教えてくれた戸ヶ崎イレブンの選手たち
この日は4年生の大会でしたが、参加チームによっては下の学年も参加していました。
戸ヶ崎イレブンの2年生の選手にも、この大会に参加した感想を聞いてみたところ、「自分たちでやった方が頭に残るし、勉強になる」との回答。
自分たちで決めることを経験したことで「成長した」とも。たった1日、ほんの数時間の出来事でも自分の成長を感じられたようで「楽しかった。また参加したい」と嬉しそうな笑顔を見せてくれました。
■参加チームの指導者の声
この大会に出場したことで成長を感じたのは選手だけではありません。何人かの指導者にも、気づきや子どもたちの変化を聞いてみました。(掲載は五十音順)
稲荷FC
「この大会には昨年も出場させていただいていて、2回目です。少年団の方針としてサッカーは楽しくやりつつも、サッカー以外の人間性を高めるということで、人へのリスペクトだったり自分の身の周りの整理だったりもしっかり教えていこう、というのがあるので理念に賛同して参加しています。そういうのが実践できる場なので良いですね」
蒲生東SSS
「普段は大体コーチが指導しているので、この大会では普段と違った自主的な動きっていうのがすごい見えるので、すごく良いですね。見てて楽しいですし、本人たちも内側から湧き出るようなプレーが出てるかなと感じます。多分、次の練習試合などでもコーチから指導を受けるんじゃなくて、自分たちでやろうっていうのが出る気がしています」
戸ヶ崎イレブン
「いろんな発見があって面白かったです。大会の合間のミーティングではピッチの中で話せなかった子もベンチに戻ってきてからはコーチ抜きの選手同士の話し合いで意見が言えたりして。自分自身も試合を見ていて『言いたいな』って思っちゃう部分も多々あったんですけど、そこは耐えました。選手にも指導者にとっても発見があったり、学びになる体験ですね。こういったやり方を自分たちのチームでも取り入れたいと思いました」
戸塚フットボールクラブジュニア 「コーチから言われず自分たちで全部やる機会はなかなかないので、参加させてもらってありがたいですね。選手たちも自分たちでキャプテンを決めたり、リラックスしてサッカーができていると感じます。また機会があれば参加したいですね」
選手たちは自分で考えて動くのが楽しいと感じられ、指導者たちは子どもたちの主体性に気づくきっかけとなる大会でした。
たった1日で子どもが成長するきっかけとなるので、その方法の一部でもチームで取り入れてみるのも良いかもしれません。
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この大会は「サカイク10か条」に賛同してくださることが参加の条件で、当日は各チームの参加人数分「子どもが心からサッカーを楽しむための親の心得」が配布されました。
皆さんのチームも登録して活用してみませんか?