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2020年度はプロ12人輩出! "常勝・明治"が追求する、徹底的な個の強さとは?

公開:2021年6月10日

キーワード:Jリーガーライフスキル全国大会大学サッカー明治大学栗田大輔監督正解関東大学サッカーリーグ

関東大学サッカーリーグで2連覇中の明治大学サッカー部。2020年度の卒業生は12人がプロになり、多くのJクラブで活躍中です。2019年度には大学5冠を達成するなど、輝かしい成績を残す"常勝・明治"。チームを率いる栗田大輔監督のモットーとは?

発売中の栗田監督の著書「明治発 世界へ! 明治大学サッカー部監督・栗田大輔の結果を出し続ける、組織マネジメント論」(竹書房)から一部を抜粋し、紹介します。
(構成・文:鈴木智之)

 

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関東大学サッカーリーグで2連覇中、常勝・明治が追及する「個の強さ」とは

 

■強い個人がクリエイティブにプレーする

明治大学サッカー部には、前任の神川明彦さんが作った「三原則(球際、切り替え、運動量)」という言葉があります。それをベースに、私は選手たちに「強い個人がクリエイティブにプレーすること」を求めています。

なかでも大事にしているのは「徹底的な個の強さ」です。それをサッカー面と人間性の両方で追求しています。

大学は最後の育成の段階です。そこですべきはエンジンを大きくすること。車にたとえるなら、カローラよりもポルシェの方がスピードが出ます。なぜならポルシェの方が、エンジンが大きいからです。

サッカー選手としてのエンジンが大きければ、どのようなサッカーにも適応することができます。プロに進めば、様々な監督がいて、多様なスタイルがあります。ひとつのクラブでも監督が変われば戦術が変わり、求められるプレースタイルも変化していきます。

そうなったときでも、すぐに適応できる選手になってほしい。明日、ヨーロッパのクラブからオファーが来たとしても、何食わぬ顔でプレーできるようになってほしい。その観点で日々のトレーニングを考えるとともに、選手の指導にあたっています。

 

■守備の強度が低い中でトレーニングをしても、試合で活きる技術は身につかない

ベースとして必要になるのは、ハイプレッシャーのもとでの認知と判断に基づく技術の発揮。そして、攻守に高い強度でプレーし続けることのできる運動量。この2つは徹底して鍛えます。

守備の強度が低い中でトレーニングをしても、試合で活きる技術は身につきません。それを実行するためのハードワークは、どのポジションの選手にも求めます。

選手に対する要求は高いです。明治が求める基準、スタイルに適応するために、自分は何をすべきか。何が足りないかを、選手たちは日々、自問自答しています。

客観的に自己分析し、課題に向き合ってチャレンジする考え方、やり抜く心も大切です。そして最終的には、自分の特徴をチームの中で発揮すること。自分の能力を、チームの勝利のために活用することができるようになると、トップチームのスタメンに定着していきます。

 

■プライドや過去の成長にしがみつくと、成長が止まりかねない

明治に来るのは高校やJユースの中心選手で、プロから声がかかる選手もいれば、かからなくて大学に来た選手もいます。

全員に共通するのが「プロになれないから、明治に来た」ことです。何かが足りないから、高校卒業時にプロに行けなかったという反骨心は、誰もが胸に秘めています。

私が心がけているのは「自分には足りないものがあるから、明治に来たんだ」と気づかせること。成長させるために、ここに来たんだというマインド作りを徹底して行います。

純粋に、自分の成長に対して、上に矢印を向ける。それが明治の最大の特徴だと思います。プライドや過去の栄光にいつまでもしがみつくと、成長が止まってしまいかねません。それを自信につなげるのは結構ですが、彼らは成長過程なので、自信は胸にしまっておけばいいのです。

そういう選手ががむしゃらに努力することが大切で、周りの選手も、年代別日本代表に選ばれた選手が必死に努力して、実直にやっていたら「もっと自分もやらなければいけない」という気持ちになりますよね。その環境を仲間同士で作りあえているのが、一番大きいと思います。

 

■先輩たちから学ぶことができる

卒業していった先輩から学ぶことができるのも、明治の良さだと思います。

大学時代、一緒にプレーした選手がプロに行って活躍している姿を見ることで、練習や試合で感じたことをリアルに思い出し、「プロになるためには、あのレベルが必要なんだ」と思い返すことができます。

そうしてさらに努力していくサイクルができているのも、明治からプロ選手が毎年のように出る要因のひとつではないでしょうか。

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2020年には12人がJリーガーになった

 

■才能×努力×考え方

私は選手に「才能のある選手が努力したら、いい選手になれると思う?」と聞くことがあります。すると、ほとんどの人が「なると思います」と答えます。

でも私は、なる人と、ならない人がいると思っています。

毎日の練習は足し算で、積み重ねです。そこに掛け算をして、才能に努力と考え方を加えます。「才能×努力×考え方」です。そこで考え方の部分がネガティブな思想であれば、いくら才能があって努力しても、マイナスに転じます。

反対に、ポジティブな考え方のもとで努力を積み重ねることができれば、結果はプラスに転じます。自分をコーディネートする力を持っていれば、その積み重ねは乗数になるのです。

 

■練習は朝だけ 自分の時間をどうコーディネートするかでその後の人生が変わる

誰でも1日は24時間、平等です。大学生は時間もたくさんあります。だからこそ学校に行って勉強するのも大事ですし、ゼミで色々な知識を学ぶことも大切です。

体育会系の学生の場合、部活動の仲間との付き合いがメインになりますが、同じ思想で同じ考えの人たちと固まるよりも、せっかく大学に来たのだから、色々な人達と付き合って、視野を広く持ってほしいと思っています。

明治の練習は朝だけです。サッカー以外の時間はたくさんあります。自分の体をケアしたり、読書をしたり、映画を見るなどなんでもいいのですが、自分の時間をどうコーディネートするかで、その後の人生が変わってくるという話はよくします。

若いときは、色々な価値観に触れてほしいです。物事を一つの面から見るのではなく、多角的な見方ができるようになってほしい。いまは多様性の時代と言われていますが、様々な価値観を知ることで、人間的な幅も広がるのではないでしょうか。

 

■自ら人生を切り開け

「自ら人生を切り開け」というのが、私のモットーです。そのためには実力をつけなければいけないし、常にどうすれば成長できるかを考え続け、行動に移していくことが大切です。サッカーも同じで、自分に何が求められているのか、足りないものは何なのかを考えてほしい。

そうしてできた個としての強いベースがあれば、どこのチームに入っても、「あの選手は戦える」「最後に決めてくれる」「守ってくれる」となり、評価されます。それが、サッカー選手としての道を切り開くことになると思っています。

 

※この記事は「明治発 世界へ! 明治大学サッカー部監督・栗田大輔の結果を出し続ける、組織マネジメント論」(竹書房・刊)より抜粋したものです。

 

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栗田大輔(くりた・だいすけ)
1970年生まれ。静岡県出身。静岡のサッカー名門校・清水東高校から明治大学政治経済学部へ進学、サッカー部へ入部。卒業後、大手ゼネコンに入社。2005年に横浜市で小中学生を対象にしたクラブチーム「FCパルピターレ」を設立。13年に明治大学サッカー部のコーチとなり、翌年は助監督、そして15年に監督に就任。その年に総理大臣杯、関東大学1部リーグ戦で準優勝。16年には創部95年で総理大臣杯初優勝。同年の関東大学1部リーグで6年ぶり4回目の優勝を果たし2冠達成。19年には総理大臣杯、インカレ(全日本大学サッカー選手権大会)、関東大学1部リーグ、さらには総理大臣杯予選を兼ねたアミノバイタルカップ、天皇杯予選を兼ねた東京都サッカートーナメントを加えた「5冠」を達成。関東大学サッカーリーグ所属チームとしては初の偉業を成し遂げた。監督就任から6年間でタイトルを10個、プロサッカー選手を50人以上輩出している。

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構成・文:鈴木智之

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