考える力

2018年8月27日

子どもたちが「失敗したら恥ずかしい」を払拭し、挑戦するようになったきっかけ -しらゆり招待 オランダ遠征①-

■「失敗すると恥ずかしい」を払拭できたきっかけ

サッカー面では、オランダサッカー協会に所属し世界中でオランダサッカーの考え方の普及に努めているアド・ダークセンコーチより「オランダのサッカー理論」をテーマに講義を受け、実践的なトレーニングも体験できたようです。

アドコーチの講義を熱心に聞くしらゆりの子どもたち(写真提供:しらゆりシーガルス)

「講義の内容は『オランダサッカーの原理原則』でした。攻撃時にはゴールを目指してプレーすると同時に、状況に応じて幅と深さを意識して、ピッチを広く使い、パスをつないでゲームを作ること。守備時には相手のボールを奪いに行くことや、自陣のゴール前に集結することを学びました。オランダ人のアドコーチに『ピッチを広く使って!』『パススピードを上げて!』『サイドチェンジを使って!』と言われていたので、子どもたちは積極的にチャレンジしてました」

現地のクラブとの練習試合も実施し、「日本では経験することのない体のぶつかり合いや、球際の激しさで圧倒されました」と振り返る一方「日本人の瞬間的なスピード、攻守の切り替えの速さでは相手を上回ることができました。初めての国際試合で、選手の経験値は上がったと思います」と、貴重な経験を積んだ様子でした。

現地での2日目にはオランダからドイツへ移動し、一場監督が大学生時代を過ごしたケルンの街観光とドルトムントのスタジアムツアーに参加。81,000人収容の大きなスタジアムで子どもたちの印象に強く残ったのは、ハイブリッド芝に日光の代わりに電気を当てて芝を大切に育成していること、スタジアムの中に警官を配備した牢獄がある事でした。選手が使用するロッカールームはやはり子どもたちにとってテンションの上がる場所で、香川真司選手が使用する席の写真をパシャパシャと撮りまくっていたそうです。

本大会前に行ったAZSV Aalten(オランダの街クラブ)との練習試合前には、神奈川県伊勢原市の名産でもあるコマを使って、オランダ人の子どもたちとコミュニケーションをとることにも成功。

「オランダの子たちにとっては初めての経験で、最初は難しそうでしたが、何人かはうまく回すことができていました。教えた選手にとっても、嬉しい瞬間でしたね。この時も英語でも日本語でもなく、ジェスチャーなどでコミュニケーションをとっていました。言葉が完璧でなくても通じ合えることがわかったのは収穫だったと思います」

オランダ・ドイツ遠征を通じて、世界基準の球際の激しさを体感し、言葉は通じなくてもコミュニケーションがとれることを知った選手たち。

英語もオランダ語もしゃべれなくても、「ハロー!」「サンキュー」など、知っている単語でも買い物もでき、オランダの子どもたちにジェスチャーでコマのレクチャーもできたことはしらゆりの子どもたちにとって大きな手ごたえとなりました。

「外国人に対する壁がなくなり、積極的にチャレンジするようになりました。日本では『恥ずかしい』など失敗を恐れる風潮がありますが、いまの彼らには感じられません。挑戦する心が、自然と身についていたようです」と感想を述べてくれた一場監督。

異文化に飛び込み、積極的にコミュニケーションをとることで、多くの学びや自信を手にしたようです。

後編では大会を開催してみてどんな反応があったか、相手チームのコーチの感想などもお伝えしますのでお楽しみに。

<<運営、審判、試合の作戦まで子どもたちだけで実行!しらゆり招待

前へ 1  2

関連する連載記事

関連記事一覧へ

関連記事

関連記事一覧へ