考える力

2018年5月24日

「しっかりやれ」じゃ変わらない。子どものパフォーマンスがぐんぐん良くなる魔法の声かけとは

■放っておいても子どもは育つはウソ! 考える力をつけるために親、指導者はどうすれば良い?

その意味で、親や指導者にも確かな分析力が求められます。そして子どもたちの疑問に対して、正解を与えるのではなく、分析的に考えるための働きがけが、最も重要なアプローチとなるのです。

(自ら考えて答えを導き出す習慣をつける事が大事だと三森先生は言います。 写真はサカイクキャンプ)

「ミスをしても、怒るのではなく、何でそうなったの? と聞く。子どもたちにミスの原因を考えさせるのです。そうすると子どもは、だんだん自分で考え、解決策を見つけられるようになるのです。欧米の指導者は、まずは褒めることから始めます。いいところを言ってあげたうえで、『あることをやったらもっとうまくなるけど、それは何だと思う?』 と正解を与えずに、自ら考えさせて答えを導き出す。これがコミュニケーションなんです」

三森先生は、日ごろから分析的な問いかけをしてあげることが重要だと言います。サッカーだけでなく、日常にもそれを行なえる場面はいろんなところに存在します。

「例えばスパイクを買いたいという子どもに対し、ただお金を渡すのではなく、『どうして?』と聞くこともひとつの手段です。『なんでそれが必要なの?』『こっちのスパイクではダメなの?』そうした問いかけをすることで、子どもは必要な理由を考えるようになります」

「放っておいても子は育つ」という言葉は、嘘だと三森先生は言います。親がそうした環境を作ってあげなければ、考える力は育まれないですし、コミュニケーションが成立することはないでしょう。

しっかりと考えを持ち、分析的に考える習慣と、それを言語化させる能力を身に付ける。そこで初めて本当のコミュニケーションが成り立つのです。

三森ゆりか(さんもり・ゆりか)/つくば言語技術教育研究所所長
東京都出身。上智大学外国語学部ドイツ語学科卒。中高の4年間を旧西ドイツで過ごした経験、および商社勤務時代に海外の人との交渉に立ちあった経験から、言語技術の重要性を痛感。

ドイツ式の言語技術教育システムを参考に独自でカリキュラムを考案し、1990年につくば言語技術教室を開設。その後、つくば言語技術教育研究所に改称。

現在は同研究所の他、日本サッカー協会、日本オリンピック委員会、学校、大学、企業などでも講師を務める。

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