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サッカー歴30年の親が子どものプレーを指摘し過ぎてはダメな理由 【クラウスの金言】

公開:2015年7月 8日 更新:2020年3月24日

キーワード:クラウスモダンフットボールモチベーション父親

■子どもはいつでも親に答えを求めているわけではない

いらいらしてしまうのは期待の裏返しでもあります。親からすれば愛情表現の一つでもあると。しかし、それが子どもたちにとっての負担やストレスになってしまっていたら、それは悲しいことです。クラウスは一例を挙げて説明します。

「つい最近まで日本に行っていたんだ。そのときに、とにかくずーっと自分の子どもに何らかの指示を与え続けていた父親がいた。日本語だったから僕には内容はわからない。でも休憩中もずっと何かを話していた。それは普通のスクールだったんだ。優秀な選手を集めたタレントグループでもない。指示を受けていた子はグループの中で一番動きが良くなかったよ。一番サッカーをやりたくなかったんだから。そうした親を持つ子どもにとって、最大の苦痛がなにかわかるかな? 試合のあと、自分の車に向かう10分間だ」

子どもはいつでも親に答えを求めているわけではありません。まして試合や練習の度に怒られたり、文句を言われるためにサッカーをしているわけでもありません。子どもたちにとって望ましいのは、学校や練習から帰ってからのたわいのない会話。そうしたなんでもない時間が子どもにやすらぎを与えます。もちろん何もかもを許していいわけではありません。時にはじっくりと時間をかけて、子どもの悩みに耳を傾け、時にはっぱをかける。そうしたメリハリのある関係が大切なのです。

また子どもに絶えず何かを話す親というのはコーチの仕事を理解しようとせず、いつも何らかの不満を抱いているとクラウスは指摘します。「自分もサッカーをずっとプレーしていた」「毎週サッカーをテレビで見ている」という論拠を並べることはできます。しかし、子どもたちには、まだ数年間の経験しかないことを忘れてはいけないのです。そして子どもたちに経験をする場を与えていく大切な仕事を育成年代のコーチは担っているのです。

「例えば車の修理を頼んだとする。車を預けて、家に帰って、『直りましたよ』という電話を受けて、車を取りに行き、お金を払う。そういうものだろう? 修理をしているときに隣に立ってあーだこーだ言う人はいないはずだ。それなのに、サッカーのときは常に隣に立って小言を言ってもいいと考えている。それでいいのだろうか」

「『私はもう30年間サッカーをやったし、みてきているんだ』ということを主張する人がいる。僕はいつも『私は30年間無事故で車を運転している。でも車の修理をしたり、作り上げたりすることはできない』と答えるんだ。育成というのもそういうことなんだ。我々は子どもたちを育て上げる、作り上げていく仕事をしている。そして育成年代はまだ完成ではないんだ」

クラウスが言うように、コーチにはコーチのビジョンがあります。すべてのコーチがプロフェッショナルな知識と経験を持っているわけではありません。だからこそお父さんお母さんとコーチがコミニュケーションを取り、長期的な視点で子どもの成長と向き合えるかが大切になります。親は親の、コーチはコーチの責任をしっかりと持ち、ある程度は現実的な目を持つことが大事でしょう。そして子どもには子どもの時間を与える。そうした時間の中で彼らは自分で学んでいきます。

次回:子どもが「練習に行きたくない」と言うなら行かせるべきではない【クラウスの金言】

クラウス・パブスト(Klaus Pabst)

ドイツの名門「1.FCケルン」でユースコーチや育成部長を務め、多くのブンデスリーガを輩出。ケルンで最初となるサッカースクール「1.Jugend-Fusball-Schule Koln」を創設し、サッカー指導者養成機関としても知られる国立ドイツ体育大学ケルンで講師を務めるなどドイツサッカー育成の第一人者である。
日本へは何度も訪れており、指導者講習会や選手へのクリニックを開催。日本サッカーの育成にも造詣が深い。


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取材・文 中野吉之伴 写真 田丸由美子

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