考える力

2015年5月 5日

サッカーを"職業"と捉える国に"習い事感覚"の日本が近づく方法

今回、話を伺ったカレカコーチは元ブラジル代表、銀メダルを獲得したソウルオリンピックのメンバーでもある。12歳からクルゼイロで育ち、そのままプロデビューしキャリアを積み重ねるクルゼイロの生き字引
 

■サッカーにより“生きるステータス”を得られるブラジル

サッカーに対する捉え方が違う背景には、こんなことも影響しているのではないだろうか。ブラジルでは、名門クラブチームに入り活躍すると、そのクラブチームが用意した街で暮らすことが許される。“街”とは厳密には自治体という意味ではなく、クラブチームが設けたエリア内に商業・医療・教育などの生活利便施設を用意した、いわば“選手村”のこと。その選手村には、本人のみならず家族も住まわせることができる。ブラジル国内でも生活水準の低い地域の子どもたちにとっては、まさに夢のような話。
 
「そうした環境や待遇の違いがあることを、日本の皆さんはご存じでしょうか? 私たち『クルゼイロ・ジャポン』が日本でサッカーを教えるということには、単なるサッカー技術だけではなく、このような文化の違いを、日本に居ながらにして感じていただきたいという思いもあるからです。当然、技術面や戦術などは日々の中でコーチングしています。しかしもっと大きな『ブラジルサッカー』という文化そのものを体感することは、今後のサッカー人生に大きな影響をもたらすことと思います。日本の子どもたちはたくさんの国のサッカーに触れられるチャンスがあるわけですから、疑似体験の中で自身の力に変えていってほしいですね」とカレカ氏。
 
ハングリー精神こそが、スターダムにのし上がれる糧になっているのかもしれない。“職業に就く”という気持ちでサッカーを選ぶブラジルの子どもたち。それに対し、日本の子どもたちがもし“習い事のひとつ”という域を脱することができなければ、精神力だけでなく技術の面でもそれを上回る可能性は少ないだろう。とはいえ、経済状況やインフラなどにおいて違いがある中、日本の子どもたちに「親兄弟を養うつもりでサッカーをやれ」といっても難しいだろう。そうではなく、ブラジルのサッカーに対する捉え方を知ることで、自身がどのようにサッカーと向きあうのか、という「考える力」を養ってほしいと思うのだ。
 

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