スペイン・バルセロナを拠点に、世界中でサッカー選手の指導・コンサルティングを行うサッカーサービス。日本ではU-13向けのスクールを始め、プロチームやプロ選手のコンサルティング、『知のサッカーDVD』などを通じ、世界最先端の指導メソッドを紹介しています。U-13向けのスクールは東京・横浜・千葉・埼玉で活動しており、多くの子どもたちが楽しみながらサッカーを学んでいます。
4月上旬、サッカーサービスのスクール生と、サッカーサービスキャンプに参加経験のある選手たちが、スペインのタラゴナで開催された『マレ・ノストルムカップ』に出場しました。これはU-8~U-18の各カテゴリーで争われる国際大会で、参加者が4000人にも上る一大イベントです。(取材・文/鈴木智之)
■日本人は、技術も体力も高いのにどうして勝てないのか?
日本から参加したサッカーサービスチームはスペインの強豪と戦い、多くの経験を積むことができました。参加した3カテゴリーのうちU-12チームが対戦したのは、スペインのジェスイータス・サリア。カタルーニャ州リーグで上から2番目のカテゴリーに所属するイグアラーダ。カタルーニャの最上位リーグに所属する強豪マンレッサ。地域の強豪チーム、セグラといった、スペインのトップレベルのチームが相手です。
スペインの強豪チームと戦い、結果は1勝1分2敗。日本と欧州のカテゴリー分けの違いで、1学年上の相手と戦うことになった選手もいる中、善戦することができました。チームを率いたポール・デウロンデルコーチは言います。
「選手たちは非常によくやったと思います。現地の大会コーディネーターは『正確なパスが出せて、テクニックもある。試合の最後まで体力が落ちず、走力がある』と評価していました」
日本の子どもたちは、持ち味であるテクニックや持久力を発揮することができたようです。しかし、結果はグループステージで敗退。なぜ、個人レベルでは賞賛されるテクニック、走力を発揮しながらも、勝利という結果につながらなかったのでしょうか? ポールコーチは大会を振り返り、次のように分析します。
「試合の序盤、10~15分は優位に試合を進めることができていました。問題はスペインのチームが、我々のプレーに対応してきたときです」
例をあげて説明します。
「この大会は7人制で行われていて、われわれは2-3-1のシステムでスタートしました。相手も同じシステムです。そのときはいいプレーができていました。相手は我々に主導権を握られたので、試合の流れを変えようと、1-3-2のシステムに変更してきました。FWを1人から2人に増やし、われわれの最終ラインの選手がボールを持つと、前から激しくプレスをかけてきたのです。そこで、こちらは最終ラインを1人増やし、3-2-1に変更しました。しかし我々の選手たちは、相手の高い位置からのプレスを回避するプレーができませんでした。こちらはスクール生とキャンプ生の混合チームで、大会前の1日しか練習することができなかったというエクスキューズはあるのですが、相手が対策をとってきたときに、それを打ち破るプレーができなかった。これは大会を通じて見られた現象で、課題だと思っています」
取材・文/鈴木智之