考える力

2014年9月17日

現場コーチが考える! 全少冬季移行がもたらすメリットとは?

8月3日から9日にかけて第38回全日本少年サッカー大会(以下、全少)が開催されました。参加48チームが熱いバトルを繰り広げ、最後に笑ったのはセレッソ大阪U-12。スピード感あふれるアタッキングサッカーが“最後の夏”を制す形となりました。
 
 
ここで“最後の夏”と書いたのには理由があります。全少は今年を最後に、開催時期を冬へと移すことになったのです。8人制への移行から始まった全少と小学生年代の改革は、その最終局面に入ったと言えるでしょう。大きな変更点は年間を通じたリーグ戦が創設(あるいは既存のものを転用)され、それを全少の都道府県予選とリンクさせることになったことです。こうした変革について、現場の指導者たちはどう感じているのでしょうか。
 
 

■全少に内在する確かな価値と弊害とは?

 
東京都の街クラブ、FCトリプレッタの米原隆幸代表はこの改革を「ようやく世界のスタンダードに近付いたというか、(リーグ戦は)必然的に整備されることになったと思っています」と肯定的でした。「2種(高校生)、3種(中学生)はすでにそうした流れになっていたことを思えば、4種(小学生)は“やっと”。もっと早くこうなるべきだったと思います」と言います。
 
米原代表は全少について「この大会があったからこそ育成できてきた部分は間違いなくありました」とその価値を認めつつ、同時に「トーナメントで一発勝負ばかりという弊害も確かにありました」とも言います。
 
 
一方、横河武蔵野FCジュニアの戸田智史監督は、実際に全少に出た経験を踏まえて「大人もその大会に『出たい』『勝ちたい』という思いがどうしても強くなってしまうんです。以前、全少に出させてもらったときは、大会が終わってからガクンと(メンタルが)落ちてしまいました。それがすごく嫌で、いまは『大会に出るために』というアプローチはしていません。今年全少に出ることはできましたが、前に出たときとは(大会に向けての感覚が)違いますね。高校サッカー選手権もそうですが、ひとつのシンボルとしてそういう大会があるのは良いことだと思いますが、そこへ指導者がどう持っていくかですよね」と語ってくれました。

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