考える力

2011年7月 8日

バルセロナ流、サッカーがうまくなる考え方―『知のサッカー』特別対談Part1

バルセロナ(スペイン)のカンテラ(下部組織)を長年指導し、シャビを始め、多くのプロ選手を育てたジョアン・ビラ氏。彼のDVD『知のサッカー』をJSC CHIBAの川島和彦監督に見てもらいました。日本のジュニア年代の指導者として、トップレベルの実績と経験を持つ川島監督は、ジョアン・ビラ氏の指導に何を感じたのでしょうか? ジョアン・ビラ氏に密着取材し、育成年代の指導現場に精通する、スポーツライター・鈴木智之氏との対談を、2回に分けてお届けします。

■ジョアン・ビラの話す『教育』。サッカーがうまくなるための"考え方"を教えている。

鈴木「ジョアン・ビラ氏(以下、ジョアン)はDVDの中で、「育成年代において、もっとも大切なことは、サッカーの『教育』を施すこと」といっています。私は日本の指導現場で「教育する」という言葉を聞く機会がなかったので、新鮮に映ったのですが、U12を指導している川島さんは、そのあたりをどう感じましたか?」

川島「実はDVDを見ていて、ジョアンの口から「教育」という言葉が出てきたので、その単語だけ、ノートにメモをしていたんです。おそらく、日本でいうところの教育と、ジョアンがいう教育はニュアンスが若干、違うのではないかなと思います。ジョアンのクリニック(注:日本のU12を対象に行われた、5日間のトレーニング)を見ていても、練習を止めて、細かく指示を出す場面が多かったと思うんです」

鈴木「そうですね」

川島「そこで彼が何をいっていたかというと、2種類に分けられるんですね。ミスに対して、『そのプレーは今のうちに、やめなければいけないよ』と指摘することと、失敗をしても『大丈夫だよ』という、2種類の声かけを使い分けていました。彼らの中で、『ミスをすること=悪いこと』ではなくて、たとえばキックミスをしても、何もいわずに続けさせる場面も多くありました。

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