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こころ

2019年1月21日

燃え尽き症候群を防ぐために、指導者&保護者が意識すべきこと【英国サッカーの最新事情】

キーワード:イングランドエゴ・オリエンテッドタスク・オリエンテッドバーンアウトマーレー・志雄心理学心理的ストレス燃え尽き症候群身体的ストレス

燃え尽き症候群と聞くと、何か節目となるような大きな大会の後などに全力を出し切ってなってしまう、そんなイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。

確かに小学校、中学校最後の大会などは思い入れも強く、大会後は何もやる気がでなくなるようなこともあるでしょう。ただ実は日々のちょっとしたストレスが蓄積して、なんでもない日常の延長線上で燃え尽きてしまうこともあるのです。

今回はそんな燃え尽き症候群に関して、そして親やコーチがそれを防ぐためにどのように子供に接していく必要があるかを、イングランドのサウサンプトン大学レディースFCのトップチームの監督と、BTCスポーツクラブU13でコーチを務めるマーレー・志雄(しおん)さんにお話をうかがいました。

前編では燃え尽き症候群に至る2つの理由と、「結果」ではなく努力したプロセスを評価することが大事だということ、イングランドには日本のように「子どもを厳しく見てやってください」とコーチにお願いする保護者はほとんどいないことなど、日本の保護者、指導者も参考にしたいことをご紹介しました。

後編では子どもが燃え尽き症候群になるのを防ぐには、親や指導者が何を意識すればいいのかをお送りします。

近年心理学が非常に重要視されているイングランドの知見にはたくさんの学びがありました。

(取材・文:内藤秀明/編集協力:下田朝陽)

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燃え尽き症候群にならないためには親、指導者の意識も大事 (写真はサカイクキャンプ)

 

<<前編:燃え尽き症候群になる2つの原因と心理的ストレスの原因

■保護者が気にすべき4つのポイント

燃え尽き症候群を回避するためには、実際に指導を行う指導者はもちろん、子どもと多くの時間を共にする保護者の協力も不可欠です。以下では、日頃の生活から意識できる4つのポイントを紹介します。

1.「結果を聞かない」

帰り道の車での会話ではその日の結果を聞いてしまいがちですが、なるべくグッと堪えましょう。「今日は何を学んだ?」というように、子どもがサッカーにおいて何を学んだのか、「タスク・オリエンテッド(プロセス重視の方向性や目標設定)」に繋がる要素で会話をすることが重要です。

2.「子どもが相談しに来るような関係性を構築する」

子どもが困ったとき、保護者を頼ってくれるような関係性を作ることも重要です。その時に重要となるのは、親はただ怖い存在になるだけでなく、子どもに心理的な安心安全を確保してあげることです。もちろん日々叱らなければならないことも多いとは思いますので、バランスが非常に重要になります

3.「サポートを示す」

子どものことをよく観察し、必要なタイミングでサポートを示すことも大切になります。子どもの事を一番分かっている保護者が、その子に合ったストレスの対処法などを提示できると、心理的ストレスの緩和に貢献することができます。明らかにストレスが溜まっている時期には、テレビゲームする時間を普段より長めに許すなど、子ども目線を持つことが重要です。

4.「コーチと親の境界線を引く」

タスク設定をしているのはコーチです。試合中に指示を出す保護者を見かけることがありますが、コーチと全く違うことを言ってしまうと子どもは混乱してしまいます。自分はコーチではないと考え、試合中はなるべく見守ってあげましょう。

これはコーチ側の対策になりますが、もしどうしても保護者が指示を出すことを止められないようであれば、コーチ側がから「今週はこういうことをやってきたので、もし声掛けをするならこういうのにしてください」と共有しておきましょう。そうすることで子どもたちの混乱を避けることに繋がります。

■指導者が気にすべき4つのポイント

1.「プレー時間のコントロール」

これまでも述べてきたように、燃え尽き症候群には身体的な負荷が大きな原因の1つとなっています。練習のみならず、試合の出場時間もコントロールするように意識しましょう。日本では1日に複数の試合を行うようなスケジュールがよくありますが、できるだけ控えましょう。選手たちにとっては過負荷となる場合が多くあります。

2.「オフの重要性」

ここでいうオフは単発的なものではなく、長期的なまとまったオフを指しています。例えばイングランドでは夏に1か月程度年末年始にも2週間ほどオフ期間を設けています。

この年代の選手は、サッカーの上達と同じくらい身体の成長も大事です。普段は食事で摂取したエネルギーをサッカーで消費していますが、長いオフがあると、そのエネルギーを身体の成長へと回すことが可能です。また、サッカーから離れる期間を敢えて作ることで、普段は感じることのない「サッカーをしたい気持ち」を引き出し、定期的にモチベーションを高めることへと繋がります。

実際に日本でも、このような取り組みを始めているチームもありますね。

3.「選手との関係性」

選手と指導者の関係は、あくまで人間同士だということを忘れてはなりません。選手が困ったときにコーチを頼ってくれるためにも、普段から関係性を強化しておくことが必要でしょう。ジュニア年代の選手に対しては学校で何をしているか、流行りのYoutuberは誰なのかなど、サッカーと関係のない話題でのコミュニケーションが効果的です。

4.「意思決定プロセスに参加させる」

ここまではストレスを中心に語りましたが、モチベーションも非常に重要です。

モチベーションを高めることでも、燃え尽き症候群は回避できます。というのもモチベーションは燃え尽き症候群を回避するための基礎体力みたいなものなのです。例えば「モチベーション10」「ストレス20」だと差し引きマイナスなので燃え尽きのリスクが高まりますが、「モチベーション100」「ストレス20」なら差し引きプラスなので耐えられるという考え方です。

そしてモチベーションを高めるために「意思決定プロセスに参加させる」というのが効果的です。具体的には、その日の最後のメニューであるミニゲームのルールを選手が決めることで、主体的に練習に参加している感覚が芽生えます。「自分でチャレンジする」「コーチが後押ししてあげる」環境を与えることで、サッカーを楽しいものだと感じるようになるでしょう。

このように、選手が燃え尽き症候群にならないためにも、ストレスをため込まず高いモチベーションで練習に取り組めるような環境作りが保護者や指導者には求められます。

今回紹介したポイントを意識しながら子供たちに接することで、サッカーを嫌いになるという最大の不幸が起こらないように気を付けましょう。

<<前編:燃え尽き症候群になる2つの原因と心理的ストレスの原因

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取材・文:内藤秀明 編集協力:下田朝陽

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