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こころ

2018年7月 5日

カーンからラーム、ノイアーへ... ドイツ代表のキャプテン変遷は現代に求められるリーダー像?|W杯、世界で注目された名キャプテンたち

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前回は、過去のワールドカップにおける「リスペクト」を感じる場面を紹介しました。明日から準々決勝がはじまるロシア大会でも、本大会に出場した32カ国の選手はもちろんのこと、予選を戦った208の国や地域の選手たち一人ひとりに物語があります。W杯は、国を超えた友情や因縁など様々な感情が渦巻く大会とも言えます。

そうした中で、これまで各国の「キャプテン」にもあらゆるドラマが生まれてきました。例えば、02年の日韓大会で来日した際に日本で絶大な人気を集めた、イングランド代表のデイヴィッド・ベッカム選手。日本中の男性がこぞって髪型を真似した「ベッカム・ヘアー」は、一大ブームとなりました。

今回は過去のW杯での出来事を振り返りながら、チームの顔ともいうべき「キャプテン」の資質とその変遷をお送りします。

(文:本田好伸 写真:兼子愼一郎)

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(左:ドイツ代表のキャプテンを務めたフィリップ・ラーム選手 写真:兼子愼一郎)

■栄光と挫折を知る、世界的な2人の名キャプテン

ベッカム選手は23歳で出場した98年のフランス大会、決勝トーナメント1回戦のアルゼンチン戦で一発退場となってしまいました。現在アトレティコ・マドリード(スペイン)の監督であるディエゴ・シメオネのファウルに苛立って"報復"した行為は、紳士的な人物で知られる現在の彼のイメージからは想像もできないものでしょう。イングランドはその試合に敗れ、ベッカム選手は当時、イギリス国内でW杯敗退の「戦犯」として扱われてしまいました。

それから4年、日韓大会にキャプテンマークを巻いて出場したベッカム選手は、決勝トーナメント1回戦でまたしてもアルゼンチンと対戦すると、前半にPKを決めて1-0の勝利に貢献しました。1度は自国を敗退させた戦犯と批判されながらも、キャプテンに選ばれるまでに成長した裏には、強い意志とたゆまぬ努力があったことでしょう。日韓大会ではベッカム選手のスマートなプレースタイルや風貌も相まって、彼は世界中で注目されるスター選手の地位を確立しました。

W杯で挫折と栄光を味わったベッカム選手とは逆に、思わぬ形でピッチを去った選手もいます。先日のUEFAチャンピオンズリーグでレアル・マドリードを前人未到の3連覇に導いたジネディーヌ・ジダン監督です。当時、すでに世界的スター選手だったジダン選手は、06年のドイツ大会を最後に現役引退を表明していました。キャプテンマークを巻く彼のプレーには誰もが注目していましたが、事件は決勝で起こります。

フランスとイタリアの決勝戦、ジダン選手は98年大会以来の優勝を遂げて有終の美を飾るはずでした。試合はジダン選手がゴールを決めながらも、イタリアが追い付き延長戦に突入。すると延長後半5分、ジダン選手は自分をマークしていたマルコ・マテラッツィ選手に対して「頭突き」をしてしまいました。当然この非紳士的行為に対してレッドカードが提示され、ジダン選手は退場処分に。キャプテンを失ったフランスは、PK戦の末イタリアに敗れてしまいました。あと少しで手が届きそうだったW杯のトロフィーをチラリとみて、無言でロッカールームに下がっていく姿が思い出に残っている方もいるのではないでしょうか。

この場面は、相手の挑発に乗ってしまったジダン選手の"浅はかさ"など様々な議論を呼びましたが、国と国の威信を懸けた"戦争"とも表現されるW杯において、平静を保つことが容易ではないと想像できます。

キャプテンとは、チームの勝利のためにすべてを出し切って戦います。どの選手よりも勝負にこだわっている分、良いプレーとラフプレーは、本当に紙一重で起きるのかもしれません。心技体、そのすべてを整えることが選手に求められる永遠の課題なのではないかと思わせるような出来事でした。

■ラームが示した現代型リーダーの資質

英雄となるキャプテン、最後に"不祥事"を起こしてしまうキャプテンなど、国を背負うリーダーには様々なストーリーを見ることができますが、近年は、代表チームに求められるリーダー像にも変化があります。

ドイツはその象徴かもしれません。ドイツは元来、強烈な個性を持つリーダーが"大将"のように君臨するチームでした。90年のイタリア大会でキャプテを務めたローター・マテウス選手は、ドイツ代表最多150試合、W杯25試合出場という偉大なキャリアの持ち主で、当時もドイツを16年ぶりの頂点へと導きました。ただ一方で、チームメートとの確執が何度も報じられるなど「衝突の絶えないキャプテン」でもありました。

06年の母国大会をオリバー・カーン選手、その後のチームをミヒャエル・バラック選手が引っ張るなど、ドイツにはカリスマ性を持ったリーダーが台頭してきました。ですが彼らは、強力なリーダーシップでチームを引っ張る"大将"タイプのリーダー。周囲と良好な関係を築く一方で、すべてのチームメートから信頼を集める選手ではありませんでした。

そうした中で現れたのがフィリップ・ラーム選手です。10年の南アフリカ大会、14年のブラジル大会でキャプテンを務め、仲間と積極的にコミュニケーションを図って信頼を集める"対話型"リーダーでした。

ブラジル大会でドイツを4度目の優勝に導いたラーム選手は17年に33歳で現役を引退。イタリア代表のキャプテン、ジャンルイジ・ブッフォン選手は、「キミと対戦できたことを誇りに思う。いつでも勝利を目指し、とてもフェアな選手だった。将来の幸運を祈っている」と引退を惜しむメッセージを発信しました。

ライバル国の主将にそう言わせるほどの人格者は、"皇帝"フランツ・ベッケンバウアー選手などと並んで6人目の「ドイツ代表名誉キャプテン」に選ばれ、誰もが認める存在であることが証明されました。

次ページ:ラームの後継者たちの共通点

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文:本田好伸、写真:兼子愼一郎

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