こころ

2017年9月12日

その褒め方、選手にちゃんと響いてる? 子どもたちが伸び伸びプレーする「声かけ」とは

選手と監督とでは一つ一つのプレーに対して、異なった評価や解釈をすることが普通だと考えられます。ピッチ内での様々なプレッシャーがある中で見えている景色と、ピッチ外から俯瞰的に見える景色とでは違いがあるのは当然ですが、それ以外にも目指しているプレー、求めているプレーで違いがあると当然観察の仕方も異なります。
 
ドイツでサッカーコーチとして活動するかたわらサカイクにも寄稿する中野吉之伴さんが、先日開催された国際コーチ会議で発表された講義・講演から「選手とのコミュニケーションの取り方」についてご紹介します。
 
国際コーチ会議で例として挙げられたとある研究報告では、選手サイドはみんな監督からもっと評価されることを望んでいますが、指導者サイドは選手が「自分は評価されてない」と感じているとは思っていないことが多いそうです。(取材・文:中野吉之伴)
 

■指導者にとって理想的な選手の特徴

例えば監督が考える理想像を挙げるとどんな選手が思い描かれるでしょうか。
 
「勇敢で、活発で、自分から動きだせる」
「エゴイスムを律し、チームのために戦える」
「自分と同じように考えている」
「社会的な能力があり、責任を担うことができる」
「ミスすることに不安がない」
 
こうしたイメージに合う選手は、監督からも一目を置かれやすいですし、自然といい関係を持てているはずです。そうした選手は「監督から評価され、信頼を受け、こちらから意見交換ができる」環境にあります。
 
でも中には、監督と大きな距離感を感じている子どもたちもたくさんいます。
 
評価されていないと思っている選手は、「ミスをしたらどうしよう!」という不安を常に抱えながらプレーしています。そうするとなかなか、思い切ったプレーができません。
 
そうした選手の葛藤を指導者がわかっていないと、「あいつのプレーは積極性がないからダメだ」という一側面からの判断だけで切り捨ててしまうことになります。
 

■自分を「ちゃんと見てもらえている」実感が欲しい

ではどういう評価を受けると選手は「監督からの信頼」を感じることができるでしょうか。
 
どの選手のプレーに対しても、「あのシーンのポジショニングがよかったね」とか、「ゴール前に走りこんだ動きが味方選手をフリーにしてゴールにつながった」という、一見目立たないけれど、意図を持ったプレーを読み取り、評価してくれると、「ああ、ちゃんと見てもらえているんだな」という実感を得ることができます。
 
ですので、試合でも、練習でも、可能な限りすべての選手のポジティブなアクションをメモしておきましょう。また選手の評価をする前に、「自分は選手みんなに対してフェアな評価をしているだろうか?」という自問自答をすることも大事ですね。
 
フェアな評価とは同じ基準で選手すべてを判断するのではなく、それぞれの選手の現在位置を把握し、自分が求める要求と、彼らが取り組んでいる内容が適切かどうか、その取り組みに自分が満足できているか、そしてできていない場合はなぜなのかという、問題解決のヒントを提示することが求められます。
 
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