こころ

2010年12月15日

【第6回】子どものやる気を引き出すために --「"なぜ?"を"なに?"に変える」

■"なぜ?"を"なに?"に変える質問テクニック

子どもたちの潜在的な意欲、能力を最大限に生かし、自立する力を養う「教育コーチング」という考え方。この普及に取り組んでいるのが、日本青少年育成協会です。第六回目のこのコーナーでは、PM級認定トレーナーの本田恵三さんに「質問の仕方」についてお話を聞いていきます。

コーチングの第一歩は、相手の話を聴くこと。そしてより積極的に聴くために大切なのが質問です。実は、質問の仕方にもいくつかのテクニックがあるのをご存知ですか? そのひとつに"なぜ"を"なに"に変える質問があります。

たとえば、大切な場面でトラップに失敗した子がいたとします。そのときにしてしまいがちなのが"なぜ失敗したの?"という質問です。 これは、"あなたは間違っている""私には理解できない"といった攻撃・批判・否定のメッセージとして相手に届きます。

そこで、"なぜ"を"なに"に変えると、このような質問になります。"トラップに失敗した原因はなに?"この質問は、"あなたはOK(間違っていない)""あなたについて教えてほしい"というメッセージとして相手に届きます。

言われた側は"攻撃された""否定された"とは受け取りません。子どもは自分のエネルギーを、"反発や逃げ"にではなく、次に繋がる原因探しに使うことができます。"練習をさぼっていたからかな..."、"緊張していたからかな..."。子どもなりに答えを持っています。

"なに"を使った質問はほかにも色々作ることができます。"あなたが最高のトラップをするために必要なのはなに?"、"トラップの苦手なところはなに?""大事な場面で100点満点のトラップができたらどんな気分?"など。コーチは相手に対して、"評価・判断"のかわりに"興味・関心"をもって質問をします。

人はだれでも、自分の中に答えを持っています。質問は、"あなたに興味を持っているよ""もっと知りたい"というメッセージとして相手に届き、相手は"認められている""信頼されている"という安心感の中で自分の気持ちや考えを話すことができます。"なぜ・・・"で問いただしたくなったときはぜひ"なに・・・"という質問を使ってみましょう。

本田恵三//
社団法人日本青少年育成協会本部所属。少年サッカー指導歴15年のベテランコーチ。子どもたちのやる気を引き出す理論と手法に定評がある。

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