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サッカー豆知識

部活に成績をつけるからサッカーが嫌になる。 楽しんで続けられ、日本が強くなる「最強の強化方法」とは

公開:2018年6月14日

キーワード:FIFAランキングドイツプレー人口ワールドカップ日本代表競技人口部活

いよいよ開幕するワールドカップ。フランス大会以来、本大会へ連続出場していますが、日本のサッカーが強くなったとは言えません。日本の現在のFIFAランキングは61位。(2018.6.7時点)、今大会のグループリーグ対戦国はすべて格上です。今後日本がサッカー強豪国となっていくにはどうすればいいのでしょうか。

前編ではFIFAランキングと競技者人口の相関について、データを元に話してくれた幸野さん。FIFA ランキング1位のドイツは20%を超えるサッカー人口がおり、サッカーが生活の一部になっている人が多いことがわかります。

後編では楽しんで長く続けるために、日本はどう変わっていけばいいかお話を伺いました。

(取材・文:鈴木智之)

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(写真はサカイクキャンプ)

■年齢が進むにつれて競技人口が減る日本の問題点

「日本の競技者人口の推移を見ると、ジュニア年代での登録選手数が一番多く、年齢が上がるに連れて減っていきます。つまり、きれいな円錐形になるわけです。しかし、競技人口比率が20%を超えているドイツは、ジュニア年代にサッカーを始めた人が、年齢を経ても辞めずに自分のレベルに合ったリーグでプレーしています。結果として円錐形のピラミッドではなく、円柱形にプレー人口が推移していきます」

子供から大人まで年齢関係なく、サッカーをプレーすることを楽しむドイツ。かたや小学校卒業時、中学卒業時、高校卒業時と学校の区切りでサッカーを辞める選手が多く、年齢が進むに連れて、競技人口が減っていく日本――。

「ドイツはサッカーを始めた人が辞めません。サッカーに関わる人が多い、肥沃な大地があります。それは代表チームの強さにも現れていて、ドイツやブラジルは招集できるメンバーの中で同じぐらいの強さのチームが3、4つできます。でも、日本はそうではありません。選手人口が少ないので、選手層が薄いんです。国外でプレーしているブラジル人はおよそ1,200人と言われていて、それは J リーガーの数に相当します。そこから見ると、日本のFIFAランキング61位は妥当な結果かもしれません。大事なのは、肥沃な大地を作ること。ジュニアからシニアまで、すべてのカテゴリーの集積が日本代表に反映されていくんです」

ジュニアからシニアまで、男女ともにサッカーをプレーする人、サッカーに関わる人を増やす。代表選手を選ぶ分母を大きくすることが、代表チームの強化につながることは、想像に難くありません。

「過去のFIFAランキングを見ても、競技人口比3%台の国がワールドカップでトップ10に入ったことはありません。そこから考えると、トップ10に入るにはまず6%にする必要があります。日本の倍です。そのためにまずすべきことは、プレーする場所、つまりグラウンドを増やすこと。中学年代のクラブチームが少ないから、チームを作りたいと思う人がいたとします。ですがクラブユース連盟に登録を届け出ると『どこのグランドを使うのですか?』と言われて『決まったグラウンドはありません』と答えると、『そんなチームは加盟を認められません』と言われて終わりです。熱意があっても場所がなければ、サッカーをしたり、教えることができないんです」

とくに首都圏のグラウンド不足は深刻です。日本サッカー協会も現状を理解しており、アクションを起こそうとはしていますが、多くのステークホルダーが関わる案件のため、簡単に解決できる問題ではありません。

「グラウンドを増やす。既存のグラウンドを効率的に使う。無駄な試合を減らして、トレーニング効果の高い試合を増やす。これらが、現状すぐに手をつけられる、選手を増やすための施策だと思います」

■800チームが100チームに減少。続けられる環境が少ない

なかでも「無駄な試合を減らし、トレーニング効果の高い試合を増やす」ことは、知恵を使えばすぐにできます。

「以前、サカイクでもご紹介しましたが、千葉県のU-11リーグの試合を調べたら、29%が5点差以上つく対戦チーム双方にとって無意味な試合でした。およそ3試合に1試合が、実力差のある相手と試合をしているわけです。もっともトレーニング効果があるのは、同等か少し上の力のチームと対戦するときです。形だけのリーグ戦ではなく、1部、2部、3部とカテゴリーを分け、選手の移籍を活発にし、その選手のレベルに合った試合ができる環境を一刻も早く作るべきです」

環境整備と同時進行で取り組みたいのが、サッカーを始めた子を辞めさせないこと。競技人口を増やすためには、一度サッカーを始めた子が少年、青年、大人になるまで、続けられる環境が必要です。幸野さんは「そのためには、スポーツを体育から取り戻すことが重要」と言葉に力をこめます。

「東京には小学生年代のクラブが800近くありますが、中学生年代になると100に減ってしまいます。クラブチームに入れない子たちは、しょうがなく中学校の部活に行くか、サッカーを辞めてしまいます。小学生年代は楽しくサッカーをしていたのが、部活になると先輩後輩の関係、1年生は球拾いなど、体育の"育"、つまりスポーツに不必要な教育の部分が入ってきます。それが嫌でサッカーを辞める子も出てしまうのが現状です」

日本のスポーツ環境として、本来スポーツとは切り離して考えるべき、教育と体育が繋がっていることが、理不尽な指導、体罰などの温床になっていると幸野さんは指摘します。

次ページ:スポーツに成績をつけるから部活が楽しくなくなる

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文:鈴木智之

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