サッカー豆知識
言い訳を探す子は伸びない。失敗を重ね、28歳で米国留学の元Jリーガーが語る"サッカー後"のキャリアの築き方
公開:2017年10月16日 更新:2017年10月17日
前回は、憧れのJリーガーになりながらも2年で引退した理由、プロになる前に身につけておいた方がいいスキルなどについてご紹介しました。後編では、セカンドキャリアを意識したスポーツを通じてのアメリカ留学のメリットと、留学するうえで心がけたいことをお伝えします。
自身の経験をもとに、元Jリーガーの中村亮さんが渡米・留学サポート会社『With You』を立ち上げたのは6年前のこと。28歳を過ぎてからアメリカの大学に留学した際に「アスリートなりの学び方がある」と気付いたことがきっかけでした。(取材・文:原山裕平)

(写真は少年サッカーのイメージです。記事内容とは関係ありません)
■日本では平均的でも、海外では高く評価されるスキル
一般学生の留学のサポート業務も行うものの、中村さんはあくまで「スポーツがキーワード」と語ります。
「僕のようにサッカーばかりやってきた人間でも英語を身に付けることができた」という経験を、同じような境遇に置かれてきた高校生たちに味わってほしいという想いが大きいからです。
まず、中村さんはアメリカの大学に進むメリットを次のように語ります。
「日本の大学はやっぱり、居心地が良すぎるんですよね。この4年間で、遊べるだけ遊んでおけという風潮が、まだあると思います。一方でアメリカは、社会人の下地を身に付ける期間としてとらえられています。日本の企業の新人研修で習うようなことは、大学のうちに身に付けていますし、インターンもほとんどの学生がやっている。一言でいうと逞しいんです。もちろん、日本人がその中に入ると理不尽に感じることも多いし、ストレスがたまることもあります。でも、言葉も文化もルールも違う中で、何とかしていかないといけないという気概が生まれてくる。若いうちにそういう困難を乗り越えていくことで、言葉を覚えられるのはもちろん、逞しさも育まれていくんです」
またサッカーを続けていくという意味でも、アメリカの大学にはとてもいい環境があると言います
「日本人のように足もとの技術の高い選手は、アメリカには少ないんですよ。だから、日本の中では平均的な技術であっても、アメリカにいくとそこが長所になる。もちろんパワーやスピードでは敵わない部分もありますが、それだけではサッカーはできませんから。日本人の技術や戦術眼といったものは、アメリカの中では際立つし、向こうの監督も高く評価してくれる人が多いですね」
■学業成績が悪いと試合に出られない
ちなみに、アメリカの大学では学業がおぼつかない選手は試合に出られないという規則があり、スポーツと学業の両立が求められる点も、優れた環境であると中村さんは付け加えました。

(写真は少年サッカーのイメージです。記事内容とは関係ありません)
現状、サッカー選手を目指すためにブラジルやヨーロッパに留学する選手が多いなか、その夢が絶たれれば、すべてを失うことになりかねません。しかし、このアメリカ留学の目的は、あくまで語学力の向上や社会性を培うことにありますが、大学でサッカーを続けながら、上手くいけばプロも目指せるという付加価値も備わる点に最大の魅力があるのです。
「もちろん、サッカーをやりたいという目的だけでは、この留学は意味がないかもしれません。でも、語学を学び、社会性を身に付け、プロのサッカー選手になれる可能性もある。たとえなれなくても、手に入れられるものは大きいはずです」
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文:原山裕平