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健康と食育

試合前日の食事はパスタがいいって本当? 血糖値を上げない食べ方が大事なワケ

公開:2017年8月24日 更新:2020年10月15日

キーワード:エネルギー低GI体を大きくする栄養素血糖値食育

みなさんは「試合前日はパスタを食べるといいらしい」という説を聞いたことはありませんか。
米やパンよりも早くエネルギーになり、得たエネルギーが持続するのでスポーツ選手は試合前に摂取しているらしい......という話を耳にすることもあり、パスタはサッカーと相性がいいイメージが強いかもしれません。パスタの栄養や摂取のメリットについて、元日本オリンピック委員会強化スタッフで、現在はアスリートや企業の栄養アドバイザーであり、WATSONIA代表の管理栄養士の川端理香さんにお話を伺いました。
今回は「パスタと血糖値の関係」をご紹介したいと思います。(取材・文:小林博子)
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■パスタは優秀な低GI食品

パスタは小麦粉からできています。つまり、栄養素的には脳や筋肉のエネルギー源となる「糖質」となります。
サッカーというハードなスポーツをする子どもは、エネルギー消費量がかなり多めです。まずは消費したエネルギーを補充するために、糖質をしっかり摂ることが大切です。
体を維持するために必要なエネルギーがあって初めて、カルシウムやタンパク質などの栄養素は体の成長に使われるというわけです。パスタも糖質の一種。まずはエネルギー源であることを心得ておきましょう。
パスタの原料である小麦粉は米よりも消化吸収が早く、油を使ったり、高カロリーなソースとともに食べることが多いため太りやすいイメージもあるかもしれませんが、川端さんによるとGI値といって血糖値を上げる度合いを表す数値が油と一緒に摂取することで低くなるといいます。
「パスタを食べるメリットは、いろいろありますが、血糖値の上昇率が低いというのは着目すべきポイント」と川端さん。成長期にある子どもの食事で血糖値を意識する意味について、詳しく聞きました。

そもそも、「血糖値」とは

血糖値とは、血液の中に含まれるブドウ糖(血糖)の数値です。穀類、イモ類、果物や砂糖などの「糖質」が元となり、食事後に消化吸収されてブドウ糖になって血液に入り、活動するためのエネルギーとして全身に運ばれます。通常の状態では血糖値を下げるインスリンと上げるグルカゴンなどのホルモンの作用によって調節されています。
血糖値には1日の中で数値が変動する空腹時血糖値と食後血糖値というものがあり、食事を摂ると一時的に数値が上がり、時間が経つと下降していくという波を繰り返しているものですが、その波が急激すぎると心や体に不調を及ぼしたり、肥満体型の原因にもなってしまうのだそうです。
近年「糖質制限」や「低糖質ダイエット」という言葉を見聞きすることがありますが、これも血糖値の上昇と下降の波の幅をおさえるために糖質の摂取量をおさえるという方法です。

子どもは血糖値を上げすぎないほうがいい?

では、子どもの食事において血糖値の上昇をおさえる意味はどこにあるのでしょうか。
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「血糖値が急激に上がると、満腹感を得られますので、食が細い子どもは食事の全体量が減ってしまいます。成長期ですから、なるべくたくさん食べてほしいですね。また、血糖値の急激な上昇は血管を傷つける原因となります。将来の心筋梗塞や脳卒中など血管系の病気になるリスクを上げてしまうことにも」
「子ども時代は成長期であるとともに、食事の基礎をつくる時期でもありますから、"血糖値を上げない食べ方"を今から身に着けることは、健康でいるためにとても大切なことです」と川端さんは教えてくれました。
また、「グルコーススパイク」(血糖値スパイク)という言葉も、最近メディアなどで耳にすることが増えてきました。グルコーススパイクとは、健康診断では正常値なのに食後の短時間だけ血糖値が急上昇して再び正常値に戻ることです。老若男女関係なく誰でもなると言われており、放っておくと動脈硬化や脳梗塞などを引き起こす危険性もあるといわれています。
それだけでなく、急激に上がった血糖値が急激に下がることで低血糖状態となり、イライラしたり集中力が下がるなど、日常生活にも支障がでてきてしまうのだとか。
競技や年齢によってはあえて血糖値をあげる食べ方で回復を促すこともありますが、子どもの場合はスポーツだけでなく、健康な体を作るという意味で、このあたりは余計な情報にまどわされずに意識したいものです。
サッカーをするしないに関わらず、健康的な食生活とは切り離せない「血糖値」。
子どもの栄養について考えるなら、血糖値のことも無視はできません。普段の主食は米が多い家庭も多いかもしれませんが、研いで炊く時間がなかったり、毎日和食では飽きてしまうこともありますよね。米以外の主食も食事に取り込みたいときには、同じ糖質でもパスタにして、野菜や肉、魚介類などを多くとりいれることもお薦めです。暑いこの時期は、冷製パスタにしても良いでしょう。
後編では、しっかりエネルギー補給ができて、他の栄養素も摂取できるパスタの調理法や、一緒に摂るとよい食材などをご紹介します。また、パスタ食には『和食の唯一のデメリット』を解消する" ある理由"もあるのだとか!どうぞお楽しみに。
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川端理香(かわばた りか)/管理栄養士
スポーツ栄養WATSONIA代表。元日本オリンピック委員会強化スタッフ。2004年アテネオリンピックでは「VICTORY PROJECT」のチーフ管理栄養士として、2008年北京オリンピックでは強化スタッフとして全日本男子バレーボールチームのサポートを行う。
Jリーグでは、これまで浦和レッズ、東京ヴェルディ1969、ベガルタ仙台、サガン鳥栖、FC岐阜、コンサドーレ札幌などのトップチームや、横浜FマリノスやFC東京などの個人選手や、プロ野球選手やプロゴルファーなどのサポートも行っている。また、企業の栄養アドバイザーや大学、専門学校の講師を務めるなど多岐にわたって活動。
著書に『サッカー選手の栄養と食事』『子どもの身長を伸ばす栄養と食事』『10代スポーツ選手のケガ予防の栄養と食事』(大泉書店)、『カラダの悩みは食べ方で99%解決する』(ゴルフダイジェスト社)など多数。
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