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お父さんレフェリーは裁判官じゃない!高圧的ではなく"毅然"と笛を吹こう

公開:2016年10月13日 更新:2023年6月30日

キーワード:ファウル子育て審判

サッカー少年のお父さんお母さんのなかには、子どもの試合でレフェリーを経験する人がいます。コーチの人手が足りないからと頼まれて「まあ、子どもの試合だから」と親切心から笛を吹くことを受け入れたのに、いざゲームが始まるとプレーする子どもたちやコーチ、周囲で観戦するお父さんお母さんたちから判定ミスを指摘されてしまったらいい気持ちはしません。そういう局面に立たされたとき、あなたはどのように笛を吹くべきでしょうか? 周囲の指摘を受け入れて自分の判断を覆すべきでしょうか? 「審判の判定は絶対だ、文句を言うヤツは許さない」と高圧的に振る舞うべきでしょうか?
 
子どもたちの成長のためには、どのようなレフェリングが求められるのでしょうか。一緒に考えていきましょう。(取材・文 石井紘人)
 
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<<あなたのレフェリーへの文句が、サッカー少年の成長を止めている
 

■観戦することで高いレベルのレフェリングに触れている子どもたち

子どもたちに「レフェリーのせいで負けた」という逃げ道を作らないようにする一方で、レフェリーも日々精進しなければいけません。
 
ガンバ大阪にスカウトされ、その後、リオデジャネイロ五輪代表まで名を連ねることになる藤春廣輝選手など、多くの全国区ではなかった選手たちをJリーガーとして輩出している大阪体育大学の坂本康博総監督は、「今は情報化社会です。日々、サッカーを取り巻く環境が進化していることをレフェリーは意識しなければいけません」と教えてくれます。
 
「一昔前、トップの試合を見るために、我々は渡航してワールドカップを観に行かなければいけなかった。それが今では、ワールドカップだけでなく、欧州チャンピオンズリーグやイングランドプレミアリーグなどもテレビで観戦できる。当然、子どもたちもレベルの高いサッカーを知ることになりますし、レベルの高いレフェリーも目にする訳です。子どもの試合だからと高を括ってレフェリーを務めるのは大間違いです」
 
そういった意味では、お父さんお母さんレフェリーを取り巻く環境は、以前より難しくなっていると言えます。子どもたちは、トップレベルのレフェリーたちのミクロクラスの正しい判定はもちろん、高いコミュニケーション能力にも間接的に触れています。「それはプロの試合だから」ということを子どもたちが理解してくれれば一番良いのですが、そうはいかないかもしれません。
 
つまり、必然的に子どもたちと触れ合うレフェリーには経験が求められます。現在、ユースレフェリーなどを育成する傾向にありますが、J1リーグから退いた経験のあるレフェリーたちが、子どもの試合を担当する環境も必要ではないでしょうか。選手育成で経験のあるコーチが必要とされているのと同様です。経験のあるレフェリーたちの動きを見て、経験の少ないお父さんお母さんレフェリーたちも学んでほしいと坂本総監督は言います。
 
「残念ながら今でも、ほとんどセンターサークルから動かないレフェリーを見かけます。動かないから選手とコミュニケーションもとれない訳です。たとえば、しっかりと動いていれば、選手が不満をもっていてもレフェリーから『今のは○○だったよ』と流れの中で伝えられます。それだけでレフェリーと選手の関係は変わります。私は、レフェリーは裁判官ではないと思っています。選手に高圧的な物言いをするべきではありません。どちらかというと、ディレクター、演出家の要素があるのではないでしょうか。子どもたちがエキサイトしてしまった時に、ガス抜きをするような、ゆとりがあればよいと思います。そのためには、サッカーも知らなければいけません」
 

■“高圧的”ではなく“毅然”と笛を吹くべき

お父さんお母さんレフェリーに、そのレベルを求めるのは酷かもしれません。ですが、国際審判員の家本政明氏が師匠と呼ぶ動作解析のプロフェッショナル・夏嶋隆先生も「高い意識を持つことでレベルは上がると思います」と坂本総監督に同調します。
 
「とにかくレフェリーは迷わないことです。いまは子どもの試合でもプロの影響もあってか、レフェリーへのファウルアピールが行われてしまっています。そういった背景もあるのですから、迷いにつけこまれないようにしなければいけません。そのためにも毅然さが必要です。一方で、レフェリーもスポーツというならば、しっかりと動かなければいけませんし、毅然と高圧的の違いも理解しなければいけません」
 
“相手を一方的に上から押さえつけるような態度”である高圧的と違い、毅然とは“自分の信念を貫くしっかりした態度で臨む”ことです。信念を貫くためには、努力と忍耐が必要になります。ルールの勉強、子どもたちの試合時間を走りぬくフィジカルをつけるという努力から、担当試合前日に暴飲暴食をしないことや睡眠時間など自らを律する忍耐も必要になります。試合前のウォーミングアップやピッチチェック、両チームのコーチとのコミュニケーションなどの立ち振る舞いも子どもたちに見られているでしょう。そういったバッグボーンが揃って、初めて子どもたちの抗議にひるむことなく、柔軟なコミュニケーションで対応できるようになるのではないでしょうか。
 
 
次ページ:安全、公平、喜びのためにルールはある
 

 
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取材・文 石井紘人

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